パリ、今も息づくレトロなインテリアを訪れる ここはマイアミ? メルセデス・ホテル、驚きのアールデコ。
Paris 2022.10.29
アールデコ・スタイルが満開。パリ17区にこんな建築物があるとは! photos:Mariko Omura
パリにこんなアールデコの建物があったの??と遠くからでもびっくりさせられるのが「Hotel Mercedes Paris(オテル・メルセデス・パリ)」だ。ピンク色の外観はまるでマイアミビーチに並ぶ有名なアール・デコ建築のひとつのよう。1929年の建築物でかつては低所得家庭のための宿だったそうだが、37室とデュプレックス・スイート1室からなる4ツ星ホテルに生まれ変わった。室内建築を任されたのは、ドロテ・ドゥレイユ。内装を手がけるにあたり、彼女はこのマイアミ的外観にインスパイアされたという。
左: オネスティ・バーを備えたロビー・サロン。 右: 室内建築家のドロテ・ドゥレイユ。photos:Hervé Goluza
小さなフロントを設置した地上階のロビーフロアは、ピンクとセラドンブルーの組み合わせに70年代のポップなタッチが加えられている。オネスティ・バーがあり、宿泊者はのんびりとここで時間を過ごせるのだ。サロン、そして廊下、階段のカーペットもドロテによるデザインで、グラフィックなモチーフが目を愉しませる。客室内はシンプルな中に明るい色と曲線の遊びが利いていて、心地よい雰囲気。優しいカーブを描く木製のオリジナルデスクがモダンさをプラスしている。建物の7階と8階の2フロアを繋いだデュプレックス・スイートは50㎡という広さ。窓からの眺めと8メートル高さの壁を覆う植物のウォールペーパーが魅力の空間は、いつもとはちょっと違う特別なパリ滞在向けだ。
左: 客室例。スタンダードは1泊190ユーロ〜。 右: バスルーム。ビオブランドの「Terre de Mars」が備えられている。photos:Hervé Goluza
左: ドロテ・ドゥレイユがデザインした曲線が美しい家具。 右: 2フロア繋がる壁の高さが8メートルあるデュプレックス・スイートルーム。photos:Hervé Goluza
20年代後半に流行ったモダンなモチーフにインスパイアされたカーペットがチャーミングだ。photos:Hervé Goluza
地下の朝食ルームにはさらなる驚きが待っている。アールヌーヴォーの巨匠ジャック・グリュベールが手がけたステンドグラスが保全されているのだ。アールヌーヴォーとアールデコの特徴が交差しているモチーフである。こんなレトロな空間に浸って朝食をとると、ホテルの外に出た時に未来時間にタイムスリップしたような錯覚が起きそう。
左:地下の朝食ルーム。右:朝食ルームの入り口にもステンドグラスが。photos:(左)Hervé Goluza、(右)Mariko Omura
editing: Mariko Omura