おいしい料理が手頃な価格で。秘密にしておきたいレストラン、ピアノヴァン。

Paris 2022.11.03

11区のトルゥソー通り。ショッピング地区ではないので偶然この道を通ることは少ないだろうし、たとえ通ってもレストラン「Pianovins(ピアノヴァン)」の外観はとても控えめなので気づかずに過ぎてしまうかもしれない。2018年にオープンして以来、密かにエピキュリアンたちを集めている20席ほどの小さな店だ。

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通りに面した小さな入り口のレストラン。中庭に面したスペースで食卓の準備をするのはシェフのミッシェルだ。photos:(左)Mariko Omura、(右)Fabien Breuil

スターシェフのギー・サヴォワのレストランで20年を過ごしたミッシェル・ロンシエールが料理、そしてエリック・マシオンがサービスとソムリエを担当する。長年の知り合いであるふたりが、キッチンからテーブルまでを阿吽の呼吸で進行し快適な食事時間が過ごせる店だ。何よりも食事客を喜ばせるのは、お財布に優しい価格でガストロノミー級が味わえること。季節の素材で構成されるメニューは週替わりだというから、毎週通いたくなる。食事はコースのみで、アミューズ・ブーシュからデザートまでの5皿(55ユーロ)と7皿(67ユーロ)があり、ランチタイムにはこれに4皿(37ユーロ)が加わる。料理は次々とサービスされるので、時間に余裕があまりないランチタイムでも安心だ。

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ミッシェル・ロンシエールによる火加減も味付けもパーフェクトな料理。デザートまで味覚の美しい音楽が続く。photos:Fabien Breuil

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左:シンプルな内装の店内。 中庭の緑が目に気持ち良い。 右:ペリゴール地方の村の名前がブランド名のナイフNontronを使用。切れ味がよく、柘植の持ち手も握りやすい。食べ手への配慮が感じられるセレクションだ。またピアノヴァンではメインの肉や魚料理がいま流行りのくぼんだお皿ではなく、平らなお皿で供される。デザイン優先ではなく食べる人の身になってすべてが考えられている。photos:Fabien Breuil

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たとえば秋のある日の4皿ランチメニューを紹介しよう。これ以上ないほど滑らかなトピナンブール(菊芋)・スープのアミューズ・ブーシュでスタート。前菜は、ほっくりした栗とシャントゥレル(アンズ茸)が顔をのぞかせるカボチャのポタージュだ。メインは季節の野菜のポワレを添えた仔鴨のロースト。そしてデザートは赤ワインでくったり煮込んだアジャンのプラムとパンデピスを添えた少しスパイシーなアイスクリームである。出てくるすべてが繊細で味わい深く……ポタージュのひとしずくも、鴨料理のソースの一滴も残したくない!とお行儀悪いと知りつつも、パンでお皿をきれいに拭いてしまいたくなるだろう。チーズを希望する場合は8ユーロ追加で。牛のチーズ、ヤギのチーズ、そしてバスクチーズの3種の盛り合わせに、赤ワインが欲しくなるかもしれない。5皿のコースの場合はこの4皿に根菜とベーコンを添えたホタテ貝がプラスされる。7皿にはさらにアンディーブのコンフィを添えた大西洋岸のイシビラメとチョコレートがプラスされる。

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秋のある日のメニューより、かぼちゃのポタージュと仔鴨のロースト。photos:Mariko Omura

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左:アジャン地方のプラムがマーマレード状に赤ワインで煮込まれ、スパイス風味のアイスクリームといいハーモニーをなす。 右:カフェ(別料金)はパリ18区で焙煎されるLomi。砂糖をふりかけたメレンゲ、スパイシーなナッツチョコレートはホームメイドだ。photos:Mariko Omura

エリックがフランス、クロアチア、テネリフェ、ジョージアといった世界さまざまな土地から選んだワインは約200種。週替わりのメニューに合わせて、常連客にはワインの発見も料理と同じくらい大きな喜びである。ピアノヴァンは人に教えたくなるレストランであり、また自分だけの秘密にしておきたいレストラン……という困った存在だ。

Pianovins
46, rue Trousseau
75011 Paris
営)12:00〜14:00、19:00〜22:00
休)日
tel:017 83 69 02 14
www.pianovins.com
@pianovins

editing: Mariko Omura

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