Hot from PARIS いまパリで起きているコト 百貨店を変えた、パリジェンヌのウェルネス志向。

パリでいま注目の出来事を、パリ支局長の髙田昌枝がリポート。コロナ禍でウェルネス意識が高まったパリでは、これまでと違う視点でホリスティックな美の提案を行うアドレスが増えている。

スキンケアとサプリを組み合わせ、イン＆アウトのビューティで人気のホリデルミー（www.holidermie.com）とエーム（https://aime.co）。ふたつのパリブランドが生まれたのは2019年だった。医食同源の考え方が基本にあるアジアと違って、ホリスティックな美容がパリジェンヌの間に浸透したのは比較的最近のことだが、パンデミックの間に意識がぐっと進んだ感がある。家で料理して正しい食のあり方を考え、オンラインでヨガを始め、自分の心と身体に向き合ったパリっ子たち。コロナが一段落しても、戦争の影、エネルギー問題、環境問題、と気分が沈みがちな現代に、特に若い世代にとっての最優先テーマはbien-être（ウェルネス）だ。大切なのは、心と身体の健康。職場環境やライフスタイルを語るにも、ヴァカンスや食を語るにも、そのワードがあふれている。

ギャラリー・ラファイエットに登場したフロア「ウェルネス・ギャラリー」は、そんな空気を象徴しているようだ。香水や化粧品を扱うビューティ売り場とは別に、本館地下の3000㎡をまるごとウェルネスに捧げたのだ。ここにはホリスティックなケアプロダクトとキャビンに加え、ボクシングやカーディオトレーニングを提案するジムがあり、ヨガやジム用のウエアとグッズ、関連図書、ヘルシーな食を提案するレストランが並んでいる。整体師や運動療法士による施術、食事療法プログラム、クライオセラピー（冷却療法）。さらにはセックストイ、ストーンセラピーまであり、心身ともにより健康に、快適に、幸せに、とさまざまな方向から訴えかけてくる。

---fadeinpager---

また、北マレにオープンしたホ・カランも"ウェルネスセンター"を標榜する。CBDをはじめとする麻の有効成分を使ったスキンケアブランドが提案するのは、リラックス。ハマムやトリートメントのほか、CBDアクアバー、麻由来の食材やライフスタイルのセレクトを提案し、ヨガなどのワークショップも開催していく。麻と松の成分を吸引する３分間は、３時間の森林浴と同じリラックス効果があるといい、これも人気を呼びそうだ。

リラクセーション、スポーツ、スピリチュアルまで、ウェルネスのあり方は人それぞれ。今後もウェルネスをキーワードにしたアドレスは増えていきそうだ。

●1ユーロ約146円（2022年10月現在）

＊「フィガロジャポン」2022年12月号より抜粋