ニコラ・ジェスキエールが衣装デザインの『スターマニア』を鑑賞。
Paris 2022.12.20
1979年に発表された近未来を舞台にしたロック・オペラ『Starmania(スターマニア)』。公演は大成功し、ミッシェル・ベルジェが作曲した複数の歌の中にはいまも歌いつがれるヒット曲がいくつもある。その後も繰り返し公演が開催されてきたが、2022年度バージョンが演出家トーマス・ジョリーよって製作された。ブローニュのラ・セーヌ・ミュージカルで11月8日から2023年1月29日まで公演が開催され、その後はフランス国内14都市とジュネーヴ、ブリュッセルをめぐるツアーに出る。
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若いエネルギーが炸裂するステージ。オープニングナイトには『スターマニア』世代のセレブリティがラ・セーヌ・ミュジカルに集合した。photos: Anthony Dorfmann
2022年度版はストーリーや悲劇性について創作時の意図に沿ったものということに加え、コスチュームデザインがニコラ・ジェスキエール、そして振り付けがシディ・ラビ・シェルカウイということが話題を呼んでいる。『スターマニア』への参加について、ニコラは「僕はミッシェル・ベルジェとフランス・ギャル(注:ベルジェのパートナー。ともに故人)をずっと以前から崇拝しています。多くの人たち同様に、子ども時代は『スターマニア』の音楽にどっぷりでした。反理想郷についてすごいヴィジョネアぶりのこの作品には魅了されます。カルトなスペクタクルですね」と語っている。確かに1979年に描かれた近未来に登場するのはグローバル化された都会、セレブリティ信仰、虚無的な急進社会……と、未来の先見はなかなかのものだ。ニコラがこうした舞台の衣装を担当するのはこれが初めてのこと。『スターマニア』の象徴的登場人物は2022年だったら、どんなふうに装うのだろうか、と彼は想像した。「作品のテーマはいまの時代にぴったりと共鳴します。だから、超コンテンポラリーな衣装を考えたんです。それらは僕がルイ・ヴィトンで作り上げた服を適応させたものと、新たにクリエイトしたものがあります。まるでルイ・ヴィトンのメゾンのボキャブラリーのレパートリーのように、登場人物のひとりひとりが僕のコレクションのひとつずつを体現しているのです」
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photos: Anthony Dorfmann
公演:~2023年1月29日
La Seine Musicale
Ile Seguin
92100 Boulogne-Billancourt
料金:35ユーロ~
www.laseinemusicale.com
editing: Mariko Omura