2ツ星女性シェフが開いた、フランス的魚料理のヴィーヴ。

Paris 2022.12.21

フランスの料理界で活躍する女性スター。シェフというと、すぐに名前が挙がるのがエレーヌ・ダローズ、アンヌ=ソフィー・ピックだ。そのひとつ下の世代に目を向ければ、今年41歳のステファニー・ル=ケレックが注目に値する。人気テレビ料理番組「Top Chef」で2011年度の勝利者である彼女は、ホテルのル・プリンス・ド・ガル内のレストラン「La Scène」でシェフを務め、ミシュラン2ツ星を獲得した。あいにくとこのガストロノミーレストランをホテルがクローズすることになったため、彼女はホテルを去り、自身のレストランをモンテーニュ大通りにオープン。こちらの名前も「La Scène」で、開店2カ月後の2020年1月にすぐさまミシュラン2ツ星を獲得した。昨年は16区にエピスリー&惣菜の「Mam」も夫ダヴィッドと開くなど活動はとても活発だ。

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左: ステファニー&ダヴィッド・ル=ケレック photo:Antoine Marceau 右: 人気のタコ料理。かすかにハリッサを利かせたソースがタコの味を引き立てる。89ユーロ(ハーフ59ユーロ)

ル=ケレック夫妻が仕掛けた新しい冒険は、魚介レストランである。かつてアラン・デュカスの魚介レストランだった「Rech」の後を継ぎ、今年10月に「Vive(ヴィーヴ)」をオープンした。シェフやスタッフのキャラクターゆえか、インテリアゆえか、店内は陽気な活気で満ちあふれている。本当においしい料理を前にすると、それだけで幸せ気分になるせいだろうか。ひょっとすると、陽気な食事は、ちょっとした遊びだけどカラフルなナイフの中からマイナイフを選ぶところから始まるのかもしれない。

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左: 店内に入るや明るい色に迎えられ気が浮き立つヴィーヴ。 中: 着席後、客それぞれがナイフをセレクトする。 左: MOFのフレデリック・ラロスのパン。これだけ食べてもおいしく、また料理のソースを1滴も残さず食べるお供に最高だ。パン籠はブルターニュの牡蠣養殖所の籠をヴィクトワール・フォンテーヌがリサイクルしたもの。photos:Mariko Omura

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ヴィーヴで料理を担当するのはダヴィッド。環境留意の漁業により捕獲された新鮮な素材を生かして、生で、マリネして、グリルして、ポワレして、蒸して……とシンプルな調理法のコンテンポラリーな魚料理がメニューに並ぶ。たとえば、ホタテ貝。オーダーを受けたら貝を開き、殻つきのまま一瞬火を通すだけという調理法なので、鮮度をしっかりと味わえる。またヴィーヴでは魚の熟成も行っていて、3日~4日、ときには10日……これで味もテクスチャーにも厚みが出るそうだ。フレッシュな牡蠣やエビ、カニなどのフリュイ・ドゥ・メールもアラカルトで、あるいは盛り合わせでオーダーができる。グリルしたパン、バターとともにいただくオイルサーディンは、2016年から2021年までの年代ものを揃えている。5種の添え温野菜も魚料理に負けないおいしさ。あれこれシェアして、いろいろ味わってみるとヴィーヴの魅力をよりエンジョイできそうだ。

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左: メニューの「生」から、カンパチ(手前/26ユーロ)とマグロ(28ユーロ)。魚それぞれの味を引き出すソースや香りづけが素晴らしい。 中: 温かい料理からホタテ貝(38ユーロ)。 右: 温かい料理から「Vive à la flamme」はスパイスと花でカラフルなソースが食卓に華やぎを演出。photo:Mariko Omura

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左: クラシックメニューから、ハマグリのファルシ(22ユーロ)。 中: 野菜メニューから、海藻とレモンのブイヨンの味がカリフラワーのローストにマッチ(15ユーロ)。 右: デザートから、イル・フロッタント(17ユーロ)。

インテリアはAgence Costaに託された。1階は花崗岩の長いカウンターが実に見事。ここで白ワインとフリュイ・ドゥ・メールの盛り合わせで、シンプルに魚介を味わうのもよさそう、と思わせるデザインだ。カウンターの向かいのテーブル席は、赤系の布とブルーのテーブルが不思議なカラーマッチで目を楽しませる。2階に上がると、なんといっても見逃せないのは壁を飾るヴィクトワール・フォンテーヌによる貝のフレスコ画。ブルターニュ地方のさまざまな島にはそれぞれ固有の貝があり、複数の島からの貝が壁画の中で豊かな色彩を広げている。海がなんだか身近に感じられる店内、季節の魚料理を味わう楽しい時間をヴィーヴで!

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左: 1階。左がカウンター席でシーフード・ビストロのように魚介が氷の上に並んでいる。 右: 2階席の奥の部屋。

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左: 2階。メインルームと奥が鏡で仕切られ、ヴィクトワール・フォンテーヌによる壁の貝の装飾が鏡に写り込んで2倍の長さに見える。 右: ブルターニュの島々から集めた貝。その種類、色の豊富さに圧倒される。

Vive
62, avenue des Ternes
75017 Paris
営)12:00~13:00、19:00~21:30(月〜土) 12:00~13:00、19:00〜22:00(日)
無休
www.vive-restaurant.com

editing: Mariko Omura

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