圓爾僧も驚く? パリの黄金三角地帯でエンニ・ウドンが人気。

Paris 2022.12.22

ラーメン、丼もの、カレー、そば、うどん。こうした日本の庶民的な味のレストランは、2区のサンタンヌ通り周辺や若者が集まるカジュアルな10区や11区といった界隈で見つけやすい。と思っていたところ、シャンゼリゼ大通りとモンテーニュ大通りとジョルジュV大通りが囲むトリアングル・ドール(黄金の三角地帯)と呼ばれる高級な一角に、今年の7月「Enni Udon(エンニ・ウドン)」がオープンした。

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高級和食レストランといった外観と内装のエンニ・ウドンは、美意識の高いファッション関係者をひきつけている。手がけたのは建築家Alexandre Schrepferと室内装飾家のChiaki Yatasui。店名の圓爾はシェフで書家であるNobuの筆によるものだ。 photos:(左)Mariko Omura、(右)Guillaume Czerw

黄金三角地帯という土地柄、食事に来るのは界隈のクチュールブランドで働く小ぎれいな装いの人たち。ひとりだったり、グループだったりで、器用にお箸を操っている。その光景、一瞬、ここは東京の外国人食堂?と錯覚を起こしそうになるほどだ。店名に“うどん”とあるけれど、それだけではないのが魅力なのだろう。メニュー構成は冷たいうどんとトッピング、温かいうどん、一品料理、丼、おにぎり。隣のテーブルではフランス人男性が枝豆、鳥の唐揚げ、そして冷やし天ざるうどんをオーダーし、もう片方の隣のテーブルの若者たちはカツ丼と親子丼、そのお隣の女性ふたりは鴨丼ときつねうどん……といった具合。うどんのつゆは上品で深みのある味ゆえか、皆、最後は残ったつゆをスープ感覚で味わっている。うどんも丼もフランス人の食事のチョイスのひとつとして、すっかり定着したようだ。

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左: 「天ざるうどん」24ユーロ 中: 「豚の薄切りとごぼうの円爾うどん」(20ユーロ)の出汁は味噌ベースだ。 右: 天丼、カツ丼、牛丼など丼ものは6種類、そしてカツカレーライスも。 photos:Guillaume Czerw

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左: ランチメニューはうどんにプラス7ユーロで、本日の揚げ物(写真はトンカツ)とおにぎりをセットできる。 中: 天ぷらうどん。 右: 柚子とクリームを添えたどら焼き(6ユーロ)。

うどんの粉もうつわも日本からの取り寄せで、またデザートはどら焼きをはじめすべて手作りだという。パリでうどん??というなかれ。クオリティにこだわった料理は、日本人も納得するおいしさである。毎日通うには少し高級かもしれないけれど、ことさら寒い今年の冬、モンテーニュ大通りやジョルジュV通りでショッピングをしたら、この店にやってきてうどんで暖をとるのがいいだろう。夜の営業は18時からなので、ワインやビールとともに、揚げだし豆腐、焼きなす、カツとじなど居酒屋的に簡単ディナーでも。なお、このエンニ・ウドンという店名は、諸説あるが、13世紀に宋の国から小麦を練ったうどんの技術を日本に持ち帰ったと言われる僧侶の圓爾にちなんだもの。この店内の光景を彼が見たら、まさか800年後にこんなことになるとは!!と、さぞ驚くに違いない。

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左: 個室。 右: 温泉卵や冷奴などと日本酒で、居酒屋的利用も。 photos:Guillaume Czerw

Enni Udon
6, rue de la Renaissance
75008 Paris
営)11:30~15:00、18:00~22:30(L.O.)
休)日
https://enniudon.com

editing: Mariko Omura

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