エコ・ジュエラーとして蘇った、第二帝政期のメゾン・ルーヴナ。

Paris 2023.01.15

贅沢産業が開花したフランスの第二帝政期にジュエラーとして名を成した「Rouvenat(ルーヴナ)」。創業者レオン・ルーヴナによる宝飾品はナポレオン3世皇后ユージェニーをはじめ、当時の“ファッションアイコン”たちに愛されていた。ジュエラーとなる前、彼は18歳で弟子入りしたクリストフルで頭角を現し、共同経営者として1849年までクリストフル-ルヴナで働いていたのだが、時代の空気を感じ取り高級宝飾づくりへと転身したのである。1851年、職人でもあるが彼は企業家としてジュエリー制作に必要な複数のメティエを一堂に集めた「Manufacture Rouvenat」を10区のオートヴィル通りに設立。この時代にあって珍しいこのスペースで、彼は顧客も迎えていた。色使い、素材の組みわせなどの大胆さで才能あふれるジュエラーとして、ルーヴナはロンドンの水晶宮で開催された万国博覧会、フランスの万国博覧会で金メダルを多数獲得している。このように高い評価を得ていたのだが、彼が1874年に亡くなると、後継者がいなかったためメゾンの歴史はここで幕を閉じてしまったのだ。

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メゾン・ルーヴナのアーカイブより。左は装身具一式、中はネックレス、右はバラ型装飾のデッサン。

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左: パリ10区に生まれたマニュファクチュール・レオン・ルーヴナのアトリエへの入り口。1852年。 右: ルーヴナを21世紀に蘇らせた4人の共同創設者。左からSandrine de Laage、Marie Berthelom、Frédéric de Narp、Coralie de Fontenay。場所も部門も異なるが過去にカルティエで働いた経験のある4名だ。

2022年、高級ジュエリー業界での豊かな経験を持つ4名がメゾン・ルーヴナを蘇らせた。このプロジェクトが始まったのはコロナ禍前のことで、ロックダウン時期を彼らはリサーチに活用。いかにメゾンの精神を守りつつ、いまの時代に適合したジュエラーとするか……。11月15日にオープンしたサントノーレ通り416番地の中庭に面したブティックは、奥がガラス屋根で19世紀のマニュファクチュール・ルーヴナを彷彿させるものらしい。ブティック内、いくつかの家具を除いてはすべてがリサイクルだという。とりわけ販売スペースと奥のスペースとの仕切りに、この場所に合わせて取り付けられた1930年代の木の壁と扉には目を奪われる。インテリアだけでなく、シックでエシカルなラグジュアリーをうたう新生ルーヴナではジュエリーの素材となるメタルも石もリサイクル(購入時に石の証明書が添えられる)。そしてジュエリーを収める宝石箱もヴィンテージの箱にニューヨークのストリートアーティストが仕事を施したもので……と、資源を循環させるサーキュラー・エコノミー型のエコ・ジュエラーなのである。

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左: ブティック内。 中: ストリートアーティストSenzがアンティークの宝石箱にアートを施した。 右: ブティックのショーケース内、レオン・ルーヴナの仕事を展示。phtos:(左・右)Mariko Omura

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ジュエリーのデザインについては、古書店で見つかった12冊の昔のデザイン帳が継承を可能にしてくれている。1851年のバラ型装飾のブローチから「Bolt」というペンダントが誕生したように、クリエイション部門担当のサンドリーヌ・ドゥ・ラージュにとって、このデザイン帳はおおいなるインスピレーション源だ。ブティックにはネックレスに加え、指輪、ブレスレットなど第二帝政期のジュエリーを感じさせる丸いフォルムが魅力のクラシカル・モダンなジュエリーが並んでいる。これからどんなエコ・ジュエリーが提案されてゆくのか。170年の眠りから覚めたばかりのメゾン・ルーヴナ、興味を持って見守ってゆこう。

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メゾン再生時のメインデザインは「Bolt」。レオン・ルーヴナ時代のジュエリーの特徴をなすロザス(バラ型装飾)とパンピーユ(房飾り)が生かされたネックレス。photos:(左)Ben Vigliotta、(右)Paul Schmidt

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左: 「Bolt」のブレスレット。 中: 「Bolt」のネックレスのシンプルなバージョン。 右: パンピーユのイヤリング。

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左: 「Jeton」のリング。 右: 「Jeton」のネックレス。メゾン・ルーヴナのジュエリーの価格は800ユーロ〜。ハイジュエリーピースは120,000ユーロするものもある。

Maison Rouvenat
416, rue Saint-Honoré
75008 Paris
開)10:00〜19:00(月〜金) 11:00〜19:00(土)
休)日
www.rouvenat.com
@rouvenatofficial

editing: Mariko Omura

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