パリの手仕事が生まれるアトリエへ。 パリの食卓を彩る、繊細な白い器が生まれる場所へ。

Paris 2023.01.30

ずっと大切にし続けたい素敵なものが出来上がる背景には、手仕事を大事にするクリエイターと情熱あふれる物語がある。彼女たちを訪ねて、パリの小さな仕事場へ。

CASE #04 アリックス・D・レニス

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アトリエの作業台で、石膏モデルに最後の仕上げをするアリックス。リモージュ焼は、窯で焼くと縮むということも考慮に入れながら。

Alix D. Reynis 法律の勉強を経て、2011年、美しく実用的なオブジェを作りたい、と自分の名前のブランドを設立。陶器と繊細なジュエリーのクリエイションを開始。www.alixdreynis.com

サンジェルマン・デ・プレ教会にほど近い店の奥に、小さな部屋がある。4人も入ればいっぱいになってしまいそうなこの空間が、アリックス・D・レニスの陶器アトリエだ。

壁に面した小さなコーナーにはろくろが据えられている。中庭に向かう窓側には作業台があり、小さな筆、金属製のヘラやナイフなどのさまざまな道具が並んでいる。ここで彼女が制作するのは、コレクションの原点となる石膏モデルだ。

「ろくろを回し、削り、磨き、レリーフを彫る。すべてが手作業です」

それはまるで、彫刻家の作業そのもの。うつわに施されたカナージュやツルの絡まるモチーフも、すべて、彼女がフリーハンドで入念に彫り上げたものだ。石膏でモデルをクリエイトしたら、それをもとに型を作る。この型に泥を流し込み、型から外して焼き、釉薬を塗ってもう一度焼き上げるという工程を経て、まずサンプルが出来上がる。サンプルに満足がいけば、複数の型が作られてリモージュの工房に送られ、生産が始まる。

「ブランド立ち上げ当初はすべて自分で手がけていたけれど、手が回らなくなって。生産をリモージュの工房に託して、いまはクリエイションに専念しています」

彼女のスタイルは、浮き彫りの施された繊細な白いうつわ。インスピレーション源は、18〜19世紀のパリの建築や、内装に見られるデザインの数々だという。

「コレクション『ジャコブ』は、この店の天井のレリーフからなのよ」

パリの街が与えてくれるアイデアは尽きないようだ。

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サンジェルマン・デ・プレ地区、ジャコブ通りの2号店(22, rue Jacob 75006 tel:33-(0)1-42-02-27-36)。美しくセッティングされた冬のテーブルがパリらしい。天井近くの壁の浮き彫りは、2号店オープンの記念コレクション「ジャコブ」のアイデアソースになったデザインだ。アトリエはこの店の奥に。

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アトリエの棚で出荷を待つ白いランプシェードたち。中にひとつだけ、深いグリーンのランプが見える。

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蚤の市やブロカントで見つける建物の古いレリーフももちろんアイデア源。

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作業台に置かれていた陶器の色見本。彼女のコレクションに色が登場する日が近いのかもしれない。

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アクセサリーケースやマグなどに、アルファベットやイニシャルを加えられるパーソナライズサービスも。レタリングで文字を入れている。

*「フィガロジャポン」2023年2月号より抜粋

photography: Julie Ansiau editing: Masae Takata (Paris Office)

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