パリでいま訪れるべき5大新名所 ① フランスの知性と出会う、美しき図書館。

Paris 2023.04.30

Bibliothèque Nationale de France (BNF),
Bibliothèque de l’Institut
National d’Histoire de l’Art (INHA)

国立図書館、国立美術史研究所図書館

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マキアヴェリからマダム・ドゥ・セヴィニェまでの文学者の肖像を彫刻したメダルが閲覧者を見下ろすラブルストの間。アート、モード、建築など、文化史の分野で170万冊という世界最大のコレクションを誇るINHA図書館の閲覧室では、16万点が自由に閲覧できる。アクセスするには、事前に研究・閲覧希望のテーマを申請して入館登録を。

ルイ14世の宰相マザラン卿の住まいだった館に、王立図書館が居を構えたのは1721年のこと。以来3世紀にわたって、出版される書物を1冊ずつ納品させ、周囲の建物を吸収しながら国立図書館(BNF)は膨大な蔵書を保管してきた。長い間一般に閉じられていたこのBNF発祥の地が、12年に及ぶ改修工事を経て再オープン。往時の荘厳な姿を取り戻したばかりか、開かれた文化施設に生まれ変わってパリっ子を喜ばせている。

新生BNFの象徴はサル・オーヴァル(楕円の間)。約30 × 40メートルの楕円、天井高18
メートルという圧倒的な空間が、誰もが無料で利用できる開架閲覧室になった。部屋をぐるりと囲む書棚には、2万冊を要する書籍が並ぶ。とりわけ、フランスの誇るバンド・デシネ9000冊が自由に手に取れるのもうれしいニュースだ。

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エントランスホールから美術館へと誘う螺旋階段。

また、銀に輝く螺旋階段を上がって美術館に向かえば、歴代国王のコレクションに起源を持つBNFの所蔵品常設展を見学できる。古代ローマ時代のオブジェから、地図、版画、貨幣やメダルまでの作品はもちろんだが、壮麗に修復された歴史空間にも注目。見事な天井画と金箔の施された17世紀バロックのギャルリー・マザランには、ことに希少な作品が展示されている。

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階上には、7つの歴史空間を展示室とするBNF美術館がある。常設展は年に一度展示が変化。全長45m、ジョバンニ・フランチェスコ・ロマネッリの天井画が見下ろすギャルリー・マザラン。

複数の建物が融合し、リシュリュー・サイトと呼ばれるこの場所には、BNFのほかに、国立美術史研究所(INHA)と国立古文書学校の図書館も同居する。なかでも、19世紀半ばに造られ、パリでもっとも美しい図書室の誉れ高いラブルストの間は、世界最大の美術史関連コレクションを誇るINHAの閲覧室。アートファンなら、憧れの一冊を手に、ここに座って贅沢な時間を過ごしたい。

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1666年に生まれた王立図書館に起源を持つBNFのコレクションから、貨幣やメダル、ジュエリーなどの貴金属を展示するキャビネ・プレシユー。地上階には企画展を行うスペースもある。 

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館内ではローズベーカリーがスイーツと軽食を提供する。サラダやキッシュ、スープなど、季節の食材を使ったランチをどうぞ。月曜休業。

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定番のキャロットケーキなど、中央のテーブルにスイーツが並ぶ。ピーカンナッツのタルト6ユーロ。天気の良い日には屋外にテラス席も出る。

Bibliothèque Nationale de France (BNF),
Bibliothèque de l’Institut
National d’Histoire de l’Art (INHA)
国立図書館、国立美術史研究所図書館

5, rue Vivienne 75002
tel:01-53-79-59-59(BNF)
tel:01-47-03-89-00(INHA) 
ⓂBOURSE
開)BNF(開架閲覧室と美術館):10:00〜19:00最終入館(火) 10:00〜17:00最終入館(水〜日) 
INHA:14:00〜18:30最終入館(月) 9:00〜18:30最終入館(火〜金) 9:00〜17:30最終入館(土)
休)BNF:月、祝 INHA:日、祝
料)BNFの常設展一般10ユーロ
※企画展開催時はサイトを参照 
※INHAの閲覧室利用は要登録
www.bnf.fr/fr/richelieu
www.inha.fr

●1ユーロ=144円(2023年4月現在)
●日本から電話をかける場合、フランスの国番号33の後、市外局番の最初の0を取ります。フランス国内では掲載表記どおりかけてください。 
●各紹介アドレスのデータ部分のⓂは地下鉄の駅、Ⓣはトラムの駅を示しています。 
●掲載店の営業時間、定休日、商品・料理・サービスの価格、掲載施設の開館時間や開催時期などは、取材時から変更になる可能性もあります。ご了承ください。

*「フィガロジャポン」2023年5月号より抜粋

photography: Yuji Ono text: Masae Takata(Paris Office)

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