パリでいま訪れるべき5大新名所 ③ 18世紀の王室を垣間見る、パリの新アドレス。
Paris 2023.05.02
Hôtel de la Marine
オテル・ドゥ・ラ・マリーヌ
ポーランド風の天蓋付きベッドがエレガントなヴィルダヴレー夫人の寝室。ほとんどの家具が当時実際に使用されていたオリジナル。
コンコルド広場に面し、オテル・ドゥ・クリヨン、オートモビル・クラブと対をなすオテル・ドゥ・ラ・マリーヌ。あまり知られていないが、ここは、ルイ15世時代に建てられて王の調度品保管室となり、管理官の邸宅、職人アトリエ、さらには装飾芸術品の展示室も兼ねていたという。革命後は海軍が使用し、19世紀には数々の外交レセプションや舞踏会の舞台となった。この場所が、大規模な改修を終えて一般公開を開始。荘厳なファサードの奥に隠された18世紀のアール・ドゥ・ヴィーヴルを語るアパルトマンが公開されている。
管理官がゲストを招いてディナーを催したダイニングルーム。ビュッフェには、階下の厨房から食事を運ぶ仕組みが隠されていたという。
絵画の飾られた廊下も幾重にも重ねられていた塗料を取り除き、18世紀当時のままに忠実に再現された。壁のパピエ・ドミノテが目を惹く。
没入感を誘うオーディオガイドとともに館内に入ると、ルイ16世の調度品管理官だったヴィルダヴレー男爵夫妻のアパルトマンが目の前に現れる。執務室や食堂の奥に、ムッシューとマダム別々の寝室、浴室などが続くフロアは、いままでそこに人がいたかのような臨場感のある展示が秀逸。扉も床も18世紀当時そのままに忠実に修復され、壁には手仕事感のあるパピエ・ドミノテやプリントシルクが張られている。照明や家具調度はもちろん、国が保管していたオリジナル。当時は職人技のショールーム的存在でもあっただけに、いずれも緻密な象嵌が施されたり、当時の最新技術で扉が開閉したりと逸品揃いだ。
18世紀のアパルトマンのほか、カタールの王族によるアール・サーニ・コレクションの常設展と企画展もお見逃しなく。見学の後は、老舗カフェ・ラペルーズでランチをどうぞ!
年2回の企画展を行うアール・サーニ・コレクション。開催中のヴェネツィアのルネサンスアートの展覧会は5月7日まで。6月末からは、中世アートの展覧会予定。
展示空間は建築家・田根剛のデザイン。常設展会場は花びらにも似た真鍮のオーナメントに覆われた異空間。
メインディッシュのタラのココナッツミルクソース「Cabillaud, Citronnelle, Lait de Coco, Coriandre, Riz Blanc」28ユーロ
クラシックな内装のカフェ・ラペルーズは、コンコルド広場側と中庭のテラス席も人気。朝食から、サンドイッチの軽食、伝統フレンチの食事まで、一日中賑わう。
オテル・ドゥ・ラ・マリーヌ
2, place de la Concorde 75008
tel:非公開
ⓂCONCORDE
開)見学:10:30〜18:15最終入場(月~木、土、日) 10:30〜21:15最終入場(金)
休)1/1、5/1、12/25
料)グランドツアー:一般17ユーロ、アール・サーニ・コレクション:一般11.50ユーロ
※チケットは予約したほうがいい
www.hotel-de-la-marine.paris/jp
Café Lapérouse
カフェ・ラペルーズ
tel:01-53-93-65-53
営)朝:8:00~11:00 ランチ:12:00~14:30L.O.
ティー:15:00~18:00 ディナー:19:00~22:30L.O.
無休
要予約
https://cafelaperouse.com/hotel-de-la-marine-concorde
●1ユーロ=147円(2023年5月現在)
●日本から電話をかける場合、フランスの国番号33の後、市外局番の最初の0を取ります。フランス国内では掲載表記どおりかけてください。
●各紹介アドレスのデータ部分のⓂは地下鉄の駅、Ⓣはトラムの駅を示しています。
●掲載店の営業時間、定休日、商品・料理・サービスの価格、掲載施設の開館時間や開催時期などは、取材時から変更になる可能性もあります。ご了承ください。
*「フィガロジャポン」2023年5月号より抜粋
photography: Yuji Ono text: Masae Takata(Paris Office)