とっておきの美食体験は、次なるグランメゾンで。

Paris 2023.05.08

パリ滞在中、一度は体験したいのがグランメゾンでの食事。名店揃いの街でも、パリジャン垂涎、いま最も旬な2軒をご案内。美的空間とシェフ渾身の料理で、夢のような時間を過ごして。


Ōrtensia|オルタンシア

和のエスプリを巧みに利かせた繊細な味。

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158ユーロのディナーコースから。しっとりとした食感と上質な香りで愛されるロワール地方ラカン産ハトのひと皿「Le Pigeon de Racan en Plusieurs Façons」。胸肉には黒ニンニクペーストを塗り、ゴボウのフレークとライスパフで覆った。手羽は唐揚げ、モモ肉はファルシに。 

名店アストランスが移転にあたり、跡地を日本人シェフ齊藤照允に譲ったニュースはパリ中を駆け抜けた。店名は、アジサイを意味する。「原種が日本で、東洋のバラとして愛され、西洋にも根付いたストーリーに店の未来を重ねました」と齊藤。シグネチャーは前菜の牛肉タルタル。昆布とカツオ節の出汁を隠し味に、燻製香を纏ったジャガイモのムースをのせた一品で、和と洋を繊細に組み合わせた立体的な味はまさに秀逸。鯛の皮はチップに、ハトの手羽は唐揚げにするなど、和の悦しみを伝統フレンチと掛け合わせ、フランス人の心を鷲掴みにする。

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68ユーロの平日ランチコースから。梅が香る昆布締めの鯛のカルパッチョ「Carpaccio de Dorade」。鯛出汁の茶漬け風、鯛の皮のチップを添えた。

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空間は建築設計の経験があるシェフ自身がデザイン。

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齊藤照允|Terumitsu Saitou
1976年岡山県生まれ。2007年に渡仏。パリの高級店、グラン・ヴェフールなどで実績を積み、15区のピルグリムのシェフに抜擢される。19年、1ツ星を獲得。22年にオルタンシアをオープン。

Ōrtensia
4, rue Beethoven 75016
contact@restaurantortensia.com
ⓂPASSY
営)19:30~21:00L.O.(火) 12:30~13:15L.O.、19:30~21:00L.O.(水~土)
休)日、月、4/30~5/9、7/14、7/30~8/22
www.restaurantortensia.com

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Astrance|アストランス

新たな一歩を踏み出した、名シェフの挑戦。

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ホクホクした根セロリに、瑞々しい生チャービルの根のスライスを重ね、オレンジピールのパウダーをちらした。ロースト玉ネギとライ麦の味噌で仕上げたソースを添えて。「Grosse Tranche de Légume」65ユーロ

鬼才アラン・パッサールの一番弟子だったパスカル・バルボ。34歳の若さでミシュラン3ツ星とした自身の店は、多くの美食家に愛された。2019年、2ツ星に降格。以前から思い描いていた移転に踏み切り、新たな決意で22年に新生アストランスを開店。「根セロリとチャービルの根、オレンジのパウダー」や「ハマグリとコリアンダー、柑橘果汁」……旨味×酸味など、風味を巧みに組み合わせる腕は健在。110もの生産者と親密に交流し、食材を厳選。「成長したら森に戻す」と店内を飾るのは樫や松の苗木。「自然との対話」に原点を見いだし、新たな出発を切る。

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前菜のひと皿。ツブ貝のワカメマヨネーズ昆布添え、牡蠣のヘーゼルナッツオイル風味、ハマグリと柑橘果汁。「Quelques Coquillages et Crustacés」85ユーロ

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アラカルトのほか、ランチコースは125ユーロからある。ジョエル・ロブションが居城とした伝説的な店の跡地。

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パスカル・バルボ|Pascal Barbot
1972年生まれ。3ツ星アルページュでシェフを務めた後、2000年にアストランスを開業。22年12月に新天地で再開。自然と向き合い、新鮮な食材を無駄なく使い切ることを信条とする。

Astrance
32, rue de Longchamp 75016
tel:非公開
ⓂTROCADÉRO、BOISSIÈRE
営)12:00~14:00L.O.、19:30~21:30L.O.
休)土、日、1/1、5/1、7/14、7/29~ 8/20、12/25 
要予約
www.astranceparis.fr


●1ユーロ=149円(2023年5月現在)
●日本から電話をかける場合、フランスの国番号33の後、市外局番の最初の0を取ります。フランス国内では掲載表記どおりかけてください。 
●各紹介アドレスのデータ部分のⓂは地下鉄の駅、Ⓣはトラムの駅を示しています。 
●掲載店の営業時間、定休日、商品・料理・サービスの価格、掲載施設の開館時間や開催時期などは、取材時から変更になる可能性もあります。ご了承ください。

*「フィガロジャポン」2023年5月号より抜粋

photography: Taisuke Yoshida text: Aya Ito

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