人類博物館内、新生したカフェ・ドゥ・ロムで特別なひととき。
Paris 2023.05.09
このエッフェル塔の眺めもカフェ・ドゥ・ロムのご馳走のひとつだ。グランドオープンは5月13日。それ以降、ランチタイム、ティータイム、アペリティフ、ディナー、ラウンジタイムとさまざまな時間を過ごせるようになる。photos:Pmonetta
トロカデロ広場に面した人類博物館。1階の奥に知る人ぞ知る、レストラン「Café de l’Homme(カフェ・ドゥ・ロム)」がある。現在はディナーのみだけれど、5月13日からはランチタイムも営業するので、より活用しやすくなるだろう。店内、テラス席の向こうに空が広がっている。地上階から入るもののエッフェル塔に向かって高台に建つ建物なので、テラス席からは眼下にトロカデロ庭園、シャン・ド・マルスという眺めを堪能できる。1937年万博に際して建築されたシャイヨー宮の建物内という立地とこの景色……これだけでも素晴らしいご馳走なのだけれど、カフェ・ドゥ・ロムでは経営者のココ・クーペリ・エッフェルとクリストフ・ボノが大切にするおもてなし心が反映されたサービスと、新しいシェフによるハイクオリティな料理も待っている。特別な場所、特別な食事。五感が刺激され、忘れがたいパリの思い出づくりができそうなレストランだ。
左: 植物を配した内装のレストラン。 右: 自然の美しさは料理にも。前菜の「Jardin de l’Homme」(24ユーロ)。photos:Pmonetta
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シェフのフォディ・フレムはレバノン人だが、フランス料理をベースにスパイスやハーブなどを巧みに操って、繊細でインターナショナルな味わいをクリエイトしている。たとえば前菜ならタコ料理にはフェタチーズやザタールのスパイス、フォアグラには洋ナシのポシェとホームメイドのブリオッシュ、鯛のセヴィーチェにココナッツミルク……といった風で、味覚の旅が楽しめるのだ。メニューは前菜、魚&甲殻類、肉類、リゾット&パスタ、シェア料理、サイドディッシュ、チーズ&デザートという構成である。いまの時代に不可欠な野菜料理についてはリゾット&パスタに見つけられ、また前菜の野菜、フルーツ、花、ハーブを盛り合わせた「Jardin de l’Homme(ジャルダン・ドゥ・ロム)」は店名をつけるほどの野菜の自信作だ。シェフが選ぶ食材が季節の素材であり、クオリティの良いものであることは特筆するまでもないだろう。
左: シェフのフォディ・フレム。 中: 前菜、ストラチャテラとグリーンピースのガスパチョ(24ユーロ)。 右: 大西洋のラングスティーヌのカダイフ巻き(42ユーロ)。 前菜といってもボリュームがしっかりとある。photos:(左・中)Pmonetta、(右)Mariko Omura
左: 前菜から、フォアグラ(32ユーロ)。 中: 肉料理のメインから、ランド地方のチキンのヴォロ・ヴォン(38ユーロ)。 右: マダガスカル産のエビ、ココナッツ・リゾット添え(40ユーロ)。photos:Mariko Omura
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パティシエのトマ・ガブリエルによるシニアチュール・デサートは「アロエベラ-キウイ-ライム」。フレッシュで消化にもよい香り高い一品である。またパヴロヴァ、サン・トノレ、ミルフィーユなどクラシックなフレンチパティスリーも彼がどういまの時代向けに解釈しているのか気になって……デザート選びは迷いそうだ。
左: デザートの「アロエベラ-キウイ-ライム」(16ユーロ)は食べるのが惜しい美しさ。 右: クリエイトしたパティシエのトム・ガブリエル。photos:Pmoonetta
左: プラリネとパッションフルーツのサン・トノレ(17ユーロ) 中: レモンとハーブのパヴロヴァ(16ユーロ) 右: バスク地方の名産チェリーのフォレ・ブランシュ(18ユーロ)
ワインリストを見るとシャトー・ラトゥール、ペトリュスといたった銘品が見つかる。これらは価格的に特別すぎるかもしれないけれど、気軽にこのレストランならではの体験ができるのは、ミネラルウォーター! サヴォワ地方「Bonneval(ボンヌヴァル)」のスティルウォーターとスパークリングウォーターを揃えている。このナチュラルミネラルウォーターそのものは2000年の歴史があるが、ボトルでの商品化は2021年に始まったばかり。パリではスーパーマーケットでの取り扱いはないので、この機会に味わってみよう。
左: マグロ腹身のオリーブオイル漬け缶(210g)はNutriaブランド(55ユーロ)。カフェ・ドゥ・ロムだけが入手できたという逸品なので、シェアして味わって! 中: ナチュラルミネラルウォーターのボンヌヴァル。スティルのラベルは青。 右: ワインリストは愛好家を唸らせる品揃えだ。photos:(左・中)Mariko Omura、(右)Pmonetta
レストランのアールデコ調インテリアを手がけたのは、パリの室内建築界の人気デュオであるジル&ボワシエだ。石、木、ブロンズといった素材が植物と交じり合い、エレガンスが漂う空間。少しばかりおしゃれして出かけようか。
Musée de l’Homme
17, place du Trocadéro
75116 Paris
営)ランチ12:00~14:30(L.O)、グルマン・タイム14:30~18:30、ディナー18:45~23:30(L.O)、ラウンジ18:30~翌2:00
無休
www.cafedelhomme.com
@cafedelhomme
editing: Mariko Omura