日曜日、オデオン地区で気軽な美食を求めてコルヴェールへ。

Paris 2023.05.23

サンタンドレ・デザール通りとグランゾーギュスタン通りのコーナーを占めるレストラン「Le Colvert」が、冠詞をとって「Colvert(コルヴェール)」として4月に改装オープンした。まず覚えておきたいことは、ここは日曜も営業していることだ。さらに場所は最寄駅がオデオン。サンジェルマン界隈では、手頃な価格で気軽にクリエイティブな料理を楽しめる店が少ないので、これはうれしい。ビストロでもなくレストランでもなく、どちらでもあってということで、コルヴェールは“ビストラン”なるカテゴリーを提唱している。オーセンティックで気前がよくてグルマンで。そんなコルヴェールをパリの行きつけの店にしてみてはどうだろうか?

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サンタンドレ・デザール通りとグランゾーギュスタン通りに面するコルヴェール。photos:Florian Domergue

新たにシェフに迎えられたのはアルノー・バティストで、彼もまた人気TV番組「トップシェフ」出身である。腕の見事なタトゥーはいまの若いシェフたちと共通しているけれど、そのヒゲゆえか眼力ゆえかちょっとした個性派俳優といった風貌だ。料理界が注目する存在である。彼がコルヴェールに移るにあたりエグゼクティブ・シェフを務めていたパリ郊外の「Les Mérovingiens」を去るということも話題となっていた。

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左: シェフのアルノー・バティスト。 右: シェフおすすめから。仔牛のタルタルをシソの葉で包み、スモークしたマスの卵と胡椒の種を乗せた前菜(17ユーロ)。日本の野菜や調味料にも、いまの世代のシェフらしく関心を抱いている。鮮度のよい素材が得られてこその冒険的ひと皿だ。photos:Florian Domegue

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メニューに並ぶのは、料理人が腕を競う「トップシェフ」で評価対象となる味わい、盛り付け、テクスチャーといったポイントが全て満たされた料理。どれも繊細だ。アラカルトも気になるし、週替わりのランチタイムメニューも気になるし……。どちらも地元の季節の素材が主に使われている。TV番組によって注目される前、ル・ムーリスやキャレ・デ・フォイヨンといった星付きレストランでの経験があり、またヤニック・アレノのアレノテックでのビストロ経験を積んでいるアルノー。このビストランでこうした経歴を持つ彼ならではのクリエイションに腕を振るうのである。

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アラカルトより。左: スモークしたビーツの前菜(14ユーロ)。 中・右: ビーフもホロホロ鳥も、シェフのオリジナルソースは一滴も残したくない深い味わいだ。photos:Florian Domergue

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週替わりのランチメニューは前菜とメイン、あるいはメインとデザートで29ユーロ。前菜、メイン、デザートで35ユーロ。左: チーズのコンテのクリームを詰めたニョッキ。鶏の出汁と酸味の利いたサラダとともに。 中: キノコのスライスで飾った仔牛のブランケット風。サイドには温野菜のニンジン。 右: りんごのデザート。ヴェルヴェーヌの緑色のパウダーがフレッシュだ。photos:Mariko Omura

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ガラスで囲まれた明るいレストラン。インテリアはアンヌ・アロッシュとジル・スプリエのデュオによる建築事務所AGEGILに託された。地上階の空間は建物の建築当時のむき出しの石の壁、それと対をなすように牧歌的風景画のクラシックなタペストリー風のストロー・ウォールペーパーが壁を飾っていて自然の魅力を店内に添えている。空間で目を引くのは、立派な亜鉛のバーカウンターだ。ビストロチェアが並べられ、テーブルとして活用されている。ワインにも力を入れている店。この席でグラス片手に料理をシェアする食事も悪くなさそうだ。

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左: ビストロチェアや昔ながらのタイルの床に、カウンター席のガラスがモダ二ティをプラス。 右: オービュッソンのタペストリーを思わせる壁紙がフランスのブルジョワ家庭宅といった様相を作り上げる。photos:Florian Domergue

Colvert
54, rue Saint-André des Arts
30, rue des Grands Augustins
75006 Paris
営)12:00~14:00、19:00~22:30
無休
www.colvert.paris
@colvert.paris

editing: Mariko Omura

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