インテリアに蘇る魅惑の遺産(1) アリックス・D・レイニスの白いうつわに17世紀の鳥が舞う。
Paris 2023.06.28
左: ブティックのウィンドウを新しいジュエリー、そしてうつわの新コレクション「Orsini」のプレートが飾る。 右: 「Orsini」コレクションの食卓。photo:(左)Mariko Omura、(右)Alix D.Reynis
国立自然史博物館で2年前に開催された『プレシャス・ストーン』展。そこでAlix D. Reynis(アリックス・D・レイニス)の目を引きつけたのは、264×137cmの巨大なテーブルだった。白っぽいカラーラ大理石にプレシャスストーンでカラフルに描かれているのは、生命と平和を象徴する小枝や花をくちばしにくわえた無数の鳥が飛び交う光景。さらにテーブルのフレーム部分には死、そして再生を象徴する昆虫が。1659年にイタリアの貴族オルシーニ家がフランスの好意を得ようと、マザラン枢機卿にプレゼントしたもので、「オルシーニ家の大テーブル」と呼ばれる傑作である。コルベールが王室のために1665年に買い上げ、テュイルリー宮殿、ルーヴル宮殿で飾られていた。その後、自然史博物館の前身である王立コレクションの所蔵となるのは、ルイ15世時代のことだ。
左: プレート(98ユーロ)は3種のモチーフ違いがある。 中: 小皿(58ユーロ)とテーブルの図版。 右: 脚付カップ(66ユーロ)、カフェ・タンバル(48ユーロ)。photos:(左・右)Alix D.Reynis、(中)Mariko Omura
いつだって、ミュージアムはアリックスの偉大なるインスピレーション源である。このポエジーあふれる美しいテーブルにインスパイアされ、アリックスは新しい食器のコレクションを発表した。このテーブルから鳥たちが、アリックスの真っ白いリモージュ焼きのうつわに時代を超えて飛翔してきたかのよう。プレート、脚付コーヒーカップ、タンバル……自分のためのパリ土産としてセットで揃えてもいいし、食卓の小さな悦び用に一点を大切に持ち帰っても……。
editing: Mariko Omura