<オペラ・ガルニエでオートクチュール・ショー その1> マリア・カラスに捧げる、ステファン・ローランのクチュール。

Paris 2023.07.20

伝説のディーヴァ、マリア・カラスは1923年生まれ。12月2日に『ガラ・マリア・カラス』が催されるオペラ・ガルニエで、ステファン・ローランは彼女の生誕100周年に捧げる2023-24秋冬クチュールコレクションを発表した。クロード・ルルーシュ監督が次回作のためにこのショーを撮影したそうだが、どんな映画なのか詳細は明らかにされていない。ショーではオペラ・ガルニエの大階段を活用した華やかなフィナーレが圧巻だった。このシーン、映画で見られるのではないだろうか。

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オペラ・ガルニエの有名な大階段でフィナーレ。

偉大なマリア・カラスに捧げるショーの始まりは『ラ・トラヴィアータ』の悲劇を予測させる哀切に満ちた前奏曲から。ステファンお気に入りのモデルであるニエベス・アルバレスが纏っていたのは彼女の歩みによって裏地の白が襟、裾にのぞく黒いガザールのロングドレス「カラス」。そのあと彼女同様にヘアメイクでディーヴァに変身したモデルたちが白と黒のドレスを展開する中に赤が2点という、31点からなるコレクションだった。カラスが演じたオペラの役と彼女自身、そして彼女がステファンにもたらす感動がコレクションのインスピレーション源だという。赤は「トスカ」と「ゼフィレッリ」。前者はカラスの歌声で有名なアリアで、後者は映画『永遠のマラア・カラス』を監督したオペラの演出家フランコ・ゼフィレッリの名前をとっている。ギリシャ神話でおなじみの金羊毛を想起させるゴールドレザーのカーリー・ヘッドピース、そしてドレープが流れ落ちる赤のドレスで、これはカラスが主演したギリシャ神話がベースの1969年の映画『王女メディア』からのインスピレーションだ。ショーの音楽は彼女が歌うアリアであり、また「妥協しないから自由なのよ」などと語るインタビューに答える彼女の声……ベリーニのオペラ『ノルマ』の「清らかな女神」が流れると、さすが“悲劇の歌姫”と呼ばれたカラスである。その歌声に涙を誘われる。カラスは65年前の1958年12月19日に、このオペラ座でガラ公演を行なったそうで、その時の熱狂を再現するかのようにアカンサスの葉のモチーフのホワイトレザーを飾った純白のドレス「ノルマ」がコレクションを締めくくった。

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左から「カラス」「トラヴィアータ(椿姫)」「ヴィスコンティ」。

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左から、「オペラ・ガルニエ」、そのディテールの竪琴、「パレ・ガルニエ」 。photo:(中)Mariko Omura

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左から「トスカ」「ゼフィレッリ」「ノルマ」。

Stephane Rolland
https://stephanerolland.com

editing: Mariko Omura

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