コレット以降のサラ、ジャスト・アン・イデアを設立して活動。
Paris 2023.09.10
サラ・アンデルマン photo:Koto Bolofo
ガリエラ・モード美術館で『la mode en mouvement』展が2025年9月7日まで地下スペースで開催されている。2024年のパリ・オリンピック開催を前に、19世紀から21世紀を対象に美術館の所蔵品をメインに身体活動とモードの関わりを見せるという展覧会だ。締めくくりとなる21世紀の小さなスペースでは、1990年代の後半からコンフォートなスポーツウエアがファッション界で主導権を握るようになっていったことがテーマ。ウィンドウには時代を代表する3ルック、そしてスニーカーの行進といった展示が見られる。3ルックのひとつはヨウジヤマモトの2001~02秋冬コレクションのアディダスとのコラボレーションのルック、もうひとつは2020年にコロナ感染症予防のための外出制限が明けた時にバルマンのオリヴィエ・ルスタンがインスタグラムに上げた「Safe Look」のひとつ。そして3つ目は1997年~2017年にコンセプトストア「colette」でクリエイティブ・ディレクションを務めたサラ・アンデルマンの1ルックだ。彼女はブティックのオープンからスニーカーを扱い、自身も洗練されたカジュアルルックで日々装っていた。彼女の個人的嗜好が反映され、かつ時代に影響を与えたルックのひとつとしてここに紹介されているのだ。コレット時代をともに生きた人々には、顔が真っ白のマネキンでもそのルックとシルエットから、すぐに彼女がモデルだと察せられるに違いない。
ガリエラ美術館の展示より。左: サラのルックは、スウェットがクリストファー・ケイン(2018〜19年)、スカートがPhi(2006年)、バッグがコム デ ギャルソン(2017〜18年)、スニーカーはナイキ エア ヴェイパーマックス(2009年)。 右: スニーカーの展示。photos:Mariko Omura
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さてサラはコレット閉店後どうしているのだろう。表舞台にはあまり登場しないけれど、2018年に設立した「Just An Idea」でアーティストやデザイナーのクリエイティビティを物語る書籍の出版、ブックエンドなど書物にまつわるオブジェの限定販売などをサイトで行っている。時々ポップアップのキュレーションも行い、また6月にはファレル・ウィリアムのオークションハウス「Joopiter」とのコラボレーションで展覧会『Just Phriends』を開催した。コレット時代同様に自分の感性を信じ、アーティスティックワールドに新風を吹き込み続けているのだ。書籍はシリーズで毎回同じフォーマット、同じページ数。限定販売なので売り切れてしまったものもあるが、これまで17冊を刊行した。Just An Ideaで彼女が行っていることはどれも彼女に喜びをもたらすことだという。いかにもサラ!と思わせるJust An Ideaの品は、日本では代官山蔦屋、ボンジュールレコードが取り扱っている。彼女の仕事と人柄をリスペクトする人々に囲まれて、激動のコレット後、幅広く好きなことに集中している活動ぶりは、彼女個人そしてJust An Ideaのインスタグラムでチェックを。コレット時代同様に自分の感性を信じ、アーティスティックワールドに新風を吹き込み続けていることが見えてくる。
ジャスト・アン・イデアが出版した最初の5冊は、ニコール・マクローリン、エリック・ン、ショウ・シブヤ、ダグラス・クープランド、ルイ=ジェロー・カストールのモノグラフィー。最新刊はアンドリュー・ブッシュ。
ルイ=ジェロー・カストールはオークション界から転身したマレのフローリスト。彼のブーケはモード関係者を魅了し続けている。
ジュリー・カワムラによるブックエンドは、高松の八栗五剣山の花崗岩を使用。
左: 三角や長方形などフォルムは3種。 右: Gabriela Noelleによるブックエンドは10セット限定だ。
editing: Mariko Omura