星つきラ・ダム・ドゥ・ピックで口福のガストロノミー・ランチ。
Paris 2023.10.14
ラ・ダム・ドゥ・ピックの店内。最寄の地下鉄駅はLouvre-Rivoliでパリのど真ん中にあるレストランだけれど、通りの雑踏を忘れて静かな気持ちになれるインテリアだ。photo:Aurélie Lamour
9月22日にヴェルサイユ宮殿で英国王チャールズ3世とカミラ夫人の歓迎晩餐会が催された。料理とデザートを任されたのは3名のシェフで、そのひとりはヴァランスの3ツ星レストラン「PIC(ピック)」のアンヌ=ソフィー・ピックである。地方まで行かずに彼女の料理を味わえるのは、ルーヴル宮に近い「La Dame de Pic(ラ・ダム・ドゥ・ピック)」。スペードの女王(dame de pique)をもじった店名が覚えやすい。世界各地の店も含めて10のミシュランの星を持つという彼女。このラ・ダム・ドゥ・ピックは1ツ星だ。フランスに来たからには一度はガストロノミーレストランで食事をしたい! それも星つきで、という願いをここで叶えてみるのはどうだろうか。この秋から、平日(月~木/祝日を除く)のランチタイムに前菜+メイン+デザートの3品による1時間メニュー(95ユーロ)を提案している。これは食事時間に限りがある食いしん坊に好評である。もちろん時間に余裕があるなら、1時間以上の時間をかけてのんびりと食事を味わうことができる。
前菜はエリック・ロワの人参。 目でしばらく楽しんでから、いただきます! photo:Aurélie Lamour
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3皿でフレンチ・ガストロノミーの粋を満喫できるメニューが素晴らしい。ガストロノミー・レストランなので、3皿といっても食前のアミューズと食後のプティフールというプラスアルファのおいしいお楽しみつきだ。食事のスタートはそば粉のパンと自家製バターの登場から。うつわの蓋のように見える丸いバターがユーモラスである。メニュー例として、前菜はアンヌ=ソフィーのレストランがあるヴァランスから遠くないロワール地方で野菜を栽培するエリック・ロワが育てたビオ人参のロースト。ガスコン地方の豚の背脂がミリ単位の小さな透明なキューブとなって、カラフルな人参に飾られ、シェフお気に入りのふたつの味の組み合わせだというジェルス地方のサフランとアマレットのサバイヨンソース、そしてキャプシーヌの葉のクーリが美しい色彩をお皿に添えている。水玉模様はサフランのハニー! メインはブルターニュのタコ。かつてフランス人は口にしなかったのに最近は愛される海の幸に昇格したタコは、あちこちのレストランがメニューに加えるようになっている。しかしアンヌ=ソフィー・ピックの腕にかかると味わいも食感も別格のタコ料理だ。グリルした後で日本風に炭火焼してあるという。お皿に模様を描くのは黄色とグリーンのズッキーニで、そこにベトナムのコリアンダーとピスタチオペーストのソースが込められている。これには日本のカレー粉を使ったサバイヨンソースが添えられる。希望者はこの後プラス16ユーロでヴュー・コンテにプラム、バタックペッパー、黒レモン添えというチーズのひと皿を。デザートはポム・ギャラクシーといって、しっかりとした甘みのある種類のりんごをバルサミコ酢でコンフィにしたものに、柚子とそば茶が味のアクセントとなっている。ちなみにアンヌ=ソフィーは日本の食材、風味におおいなる関心を持っているそうだ。
メインはブルターニュのタコ。2色のズッキーニがお皿の上に繊細なモチーフを描く。これにカレー味のサバイヨンソースが添えられる。©groupe Pic
ピンクがアクセントとなったインテリアはシンプル&フェミニン。ソムリエを含めて女性たちによるソフトなサービスである。食卓に登場するのは、最後のカフェにいたるまでどれもまろやかな味。ルーヴル通りの雑踏を忘れ、クリエイティビティあふれるフローラル&アロマなガストロノミー・ランチをぜひ!
20, rue du Louvre
75001 Paris
営)12:00~13:30(L.O.)、19:00~20:30(L.O.)
無休
https://anne-sophie-pic.com/paris/#damedepic
editing: Mariko Omura