サンローラン後援で、1月9日までユルゲン・テラーの作品展。

Paris 2023.12.19

地下鉄駅の通路にピンクのトランクスとソックスを履いて半裸で風船を持って横たわるユルゲン・テラー。グラン・パレ・エフェメールで始まった『ユルゲン・テラー i need to live』展のポスターである。彼にしてはなんだか大人しい?? このセルフポートレート、会場の最後に展示されているのは、靴下はそのまま、ピンクのトランクスを脱いだバージョンだ。

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展覧会のポスターに用いられている『Self-Portrait with pink shorts and balloons』Paris 2017 ©️Juergen Teller, All rights Reserved

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展覧会の始まり。左の写真はユルゲンの父が撮影したもの。父との関係は良好ではなく、ユルゲンは16歳の時に家を出る決心をする。その際に「父から自分の旅を写真におさめるといい、と言われて拒否反応を示した自分だけど、いまは写真家だ」という彼の回想が展覧会中で語られる。photo:Mariko Omura

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『Self-prtrait for Business of Fashion』London 2015©️Juergen Teller, All rights Reserved

この展覧会の公式スポンサーを務めているのはサンローランで、クリエイティブ・ディレクターのアンソニー・ヴァカレロは「ユルゲン・テラーは、その知性、ユーモア、そして尊敬の念によって、自身の作品を内省的なゲームに仕立て上げるカメラマンです。その作品はメゾン イヴ・サンローランの創業神話へのオマージュであり、暗示でもあります。今回のサンローランとのコラボレーションでは、クリエイティブな原動力の原点を探求することを目的にしています」と語っている。このユルゲンと自分の関係は、イヴ・サンローランとヘルムート・ニュートンという伝説的デュオに遡ってみると理解しやすいだろうとも。

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イタリアのコモ湖で撮影された、サンローラン2019年春夏コレクションのためのキャンペーン写真より。©️Juergen Teller, All rights Reserved

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左の2点はサンローランの2019年春夏コレクションのキャンペーンより。中央のモデルはFreja Beha Erichsen。右はサンローランの2022年秋冬コレクションのキャンペーンより。撮影はフランスのLe Lavandouにて。photo:Mariko Omura

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展覧会のコンセプトをユルゲンはロンドンの6a architectsに依頼した。1万㎡の広い会場は4つの空間に十字架のように区切られ、照明は明暗なしに均一の明るさだ。そこに広告写真、セレブリティ、プライベート写真、ビデオなど1000点近い作品を展示。写真は時代順でもなく、サイズも大小さまざまで、カルテルもつけられていず、額装もあれば壁の板に貼り付けてピンで留めて、というスタイル。セノグラフィーの担当はキュレーターのトマス・ウェスキーだ。ユルゲンが撮影するリアルでダイレクトな写真は、時にグロテスクでもありユーモアもあって......。30年以上のキャリアにおいて、写真展は世界各地で多数開催されている。ちなみに1990年代初頭にロンドンで彼が写真家として頭角を現すや、1992年に早々と個展を行なったのは東京の渋谷パルコである。

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左:『Bee, honey and finger』Paris 2022 ©️Juergen Teller, All rights Reserved 右:『Suzanne in Hydra』Greece 2017。パリでユルゲンの作品展を2014年、2021年に開催したシュザンヌ・タラシエーヴ(2022年没)。若いアーティストを3区の画廊で支援し続けたギャラリストだ。©️Juergen Teller, All rights Reserved

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2009年に撮影したヴィヴィアン・ウエストウッド。photo:Mariko Omura

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ユルゲンの仕事の中でも、著名人が顔を出さずに多数参加したマーク・ジェイコブスの広告写真、そしてこのビョーク母子の写真が有名なのでは?『Björk and son』Iceland 1993 ©️Juergen Teller, All rights Reserved

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サイズのコントラストの遊びがもたらされた展示方法だ。photo:Mariko Omura

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妻のDovile Drizyte(ドヴィレ・ドリジテ)と共同で過去5年間に取り組んだふたりの関係、結婚生活、子育てのさまざまな側面を反映したプロジェクトも展示されている。 会場の最初に掲げられているユルゲンの言葉によると、4年前に彼女は彼がグラン・パレでの展覧会をする、と予言していたそうだ。その時は、馬鹿げたことを!と思ったユルゲンだったが......。グラン・パレ・エフェメールでのこの展覧会の開催を"僕の世界に入る鍵を得て、僕の仕事を理解してもらえることになれば"と喜んでいる。なお展覧会はパリの後、2024年にミラノ・トリエンナーレに巡回の予定。パリより長い会期となるらしい。

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展示中、シリーズも多数。このドヴィレとの「We are building our future together No.96」Napoli, 2021もそのひとつだ。©️Juergen Teller, All rights Reserved

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左は『The Myth No.50, Grand Hotel Villa Serbelloni, Bellagio, 2022』、右は『The Myth No.133, Grand Hotel Villa Serbelloni, Bellagio, 2022』。イタリアで家族経営のホテルの94室を使って撮影した"受精"をテーマにした個人プロジェクトより。ユルゲンによると彼におけるもっともロマンティックなプロジェクトだそうだ。

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2021年ナポリにて。ウエディングブレックファースト(左)と結婚式。photo:Mariko Omura

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この 展覧会に関連して、ユルゲン・テラー による写真で彩られたホームウェア、装飾品、ウエア、アクセサリー、レコードを含むユニークなライフスタイル・コレクションをアンソニーはユルゲンと共同制作した。これらの商品はパリとロサンゼルスのサンローラン リヴ・ドロワ ストアおよび公式サイトYSL.COMで購入できる。またサンローラン リヴ・ドロワ ストア内のカルチャー・エリアでは、ユルゲン・テラーがセレクトした雑誌が展示されているので、展覧会鑑賞後、サントノーレ通り213番地のリヴ・ドロワ店に行ってみよう。

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ユルゲン・テラー Tシャツは全4種。各35,200円。

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ホームウェアから、クッション(写真左/178,200円)とプレート。購入はhttps://www.ysl.com/ja-jpにて。

『Juergen Teller   i need to live』展
会期:開催中〜2024年1月9日
Grand Palais Ephèmere
Place Joffre 75007 Paris
開)10:00~19:00(12月19日 10:00~14:00、12月20日 10:00~16:00)
無休
料金:15ユーロ
www.grandpalais.fr
saintlaurentrivedroite.com
@ysl
@anthonyvaccarello

editing: Mariko Omura

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