モンテーニュ大通りでお買い物なら、食事とお茶はマ・ダムで。
Paris 2023.12.23
パリ8区、モンテーニュ大通りを含むトリアングル・ドール(ゴールデン・トライアングル)地区にはリュクスなブティックが立ち並ぶ。ショッピングは楽しいけれど、良い雰囲気でおいしい食事ができる店が少ないのが難点の界隈だ。マリニャン通りのオテル・マリニャン・シャンゼリゼの1階にオープンしたレストラン「Ma Dame(マ・ダム)」は、貴重な存在である。ホテルのレストランといっても、通りに面して小さな扉があるので、ホテルを経由せず気軽に入りやすい。
店内のインテリアはパリでよく見かける装飾的でもミニマルでもなく、どことなくミステリアスで自然の温もりを感じさせる。シャンゼリゼ大通りからそう遠くない場所ということをすっかり忘れさせ、まるでパリではない土地に旅に出たような気にさせる空間だ。室内建築家キャロル・ファイファーの感性は家具のセレクションにも生かされている。
ホテル内のレストランであるマ・ダムの店内。毎朝7時30分からはビュッフェの朝食がここでとれる。
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ホテル客に対してきめ細やかなサービスを担うレストランなので食事時間帯はとても柔軟で、朝食のために7時30分に開いたら、ランチ、ティー、ディナーにと22時30分まで営業が続く。15時のランチでも、18時のディナーでもOKということだ。シェフはパレ・ロワイヤルの高名なグラン・ヴェフールで働いていた中田誠である。近郊の素材、生産者からダイレクトに買い付ける素材......季節の味をシェフは繊細な料理に仕立てている。ランチもディナーも食事内容は同じ。アラカルトだけでなく、35ユーロ(前菜+メイン、メイン+デザート)か45ユーロ(野菜+メイン+デザート)のセットメニューはランチのみならず、ディナーでも同じ価格で提供している。セットメニューの前菜とメニューのそれぞれ2品は毎週木曜に新しいものに。シェフには大仕事だけれど、界隈の常連客には喜ばしい限りだ。
アラカルトの前菜より。カフェブイヨンの栗のヴルーテ。ガンチャーレとリコッタチーズ入り。16ユーロ。
アラカルトの前菜より。ズッキーニのきのこ詰め。イエローズッキーニのケチャップ添え。19ユーロ。photo:Mariko Omura
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アラカルトのメインディッシュは21ユーロ〜。なおセットメニュー(35ユーロ、45ユーロ)でのメインの2提案例は、帆立貝のポワレの栗ソース、あるいはきのこのデュクセルソースとポテトのピュレーを添えたロールキャベツ。これらは週替わりだ。
左: ボルディエのバターで食事時間がおいしく開幕! 右: 中田誠シェフ。ガストロノミー・レストランで培った腕をふるって、クリエイティブな料理を提案している。photo:(左)Mariko Omura
サンマロのボルディエの2種のバターの登場から始まる食事。その締めくくりはシェフ・パティシエールの狭間絵里によるデザートで! いまの季節にはふんわりとしたクリームを乗せたマンダリンのタルトや、りんごが透明なタルトタタン。軽やかで甘みも控えめなので、お腹いっぱいのはずも幸せな気持ちで味わえる。定番はレストランの所在地にちなんだ"トリアングル・ドール"。ほの温かいソフトなチョコレートケーキに柚子のアイスクリームが添えられている。ランチとディナーの間、ティータイムにも開いているレストランなので、ショッピングの後にここで飲み物とデザート1品あるいはカフェ・グルマンでのんびりしてもいいだろう。
左: シェフ・パティシエールの狭間絵里。 右: 彼女によるデザートは食後の楽しみだけでなく、ティータイムにも。マ・ダムはサロン・ド・テのアドレスとして覚えておく価値ありだ。
14, rue de Marignan
75008 Paris
営)7:30~22:30(ノンストップ営業、ランチは12:00から)
無休
https://restaurant-ma-dame-paris.com
editing: Mariko Omura