4月、フォションでパリと京都のガストロノミーの美しい出合い。

Paris 2024.03.23

パリのマドレーヌ広場といったら、寺院の次に誰もが思うのがフォションだろう。広場にエピスリーを構えたのは1886年に遡る。そのマドレーヌ広場の11番地にあたるマルゼルブ大通りとのコーナーに、「Fauchon l'Hôtel Paris(フォション・ロテル・パリ)」が2018年にオープンした。54室のスイート・ブティック・ホテルの誕生である。そのホテルの2軒目の土地に選ばれたのは京都。日本にいながらパリが感じられる「Fauchon L'Hôtel Kyoto(フォション・ロテル・京都)」が2021年に開業した。フォションが日本に上陸したのは1972年と50年以上も前のことで、これはメゾンにとって初の海外進出の地だったという歴史がある。日本とフォションはメゾンのDNAであるガストロノミーを介して、しっかりと結びついているのだ。

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左: マドレーヌ寺院とピンク色。ル・グラン・カフェ・フォションでは味のみならず、視覚の思い出も得られる。 右: マカロンのパルファンにお茶の「京都の夜」も登場する。フォションにしか作れない美味だ。photo: (右)Mariko Omura

パリのホテルの1階を占めるル・グラン・カフェ・フォションのシェフに就任したてのバティスト・リムザンとフォション・ロテル・京都のシェフに昨年就任した林啓一郎。この二人のシェフが手を組んだ「おまかせ」メニュー(72ユーロ)が、4月1日から30日までパリのホテルのレストランで味わえることになった。まさに2つのホテルの出合いである。パリでの和食人気がますます高まっているいま、桜の季節の春を感じさせるメニューはパリっ子たちの舌を喜ばせるに違いない。前菜2種、メイン1品(2品よりチョイス)、デザートのメニューで、飲み物のマリアージュ(プラス12ユーロ)はワインではなく、フォションらしくお茶! 「Ohanami(お花見)」「Un Après-Midi à Paris(パリの午後)」「Une Nuit à Kyoto(京都の夜)」の3種が食事のお供だ。

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おまかせメニュー(4月1日〜30日)のジャーナリスト向けお披露目が3月6日に行われた。林啓一郎とバティスト・リムザンの二人のシェフが一緒に料理。

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当夜、早咲きのサクラで花見気分が演出されたお披露目の会場。photos: Mariko Omura

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フランスの素材を日本のサヴォワールフェールと美的感覚で、という料理は繊細であり、味覚の驚きに満ちている。メインの肉料理「仔牛肉のロースト、モルネー・ソース」を例にとろう。このソースはブルジョワ料理に用いられるベシャメルソースにチーズを混ぜ込んだものだが、林シェフはチーズではなく甘味のある白味噌を用いてモルネー・ソースに和風味をプラスしている。デザートはル・グラン・カフェ・フォションの限定パティスリーである「Bisou-Bisou(ビズ・ビズ)」。キスを意味するパティスリーらしく赤い唇のフォルムが印象的なパティスリーだが、このメニューではグリーンで軽やかでセンシュアルなキスに! このガストロノミーの饗宴に際し、フォションで人気のマカロンにはお茶「京都の夜」味が加わる。「おまかせ」メニューもマカロンも、パリっ子だけに独占させておくのは惜しい。マドレーヌ広場の一角で、おいしいエイプリル・イン・パリスを!

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「おまかせ」メニューの最初の2品。どちらも海と陸の出合いがハーモニーをなす料理だ。写真上はブルターニュの鯖、サクラ・ヴィネガー味のビーツ、沖縄の海ブドウ。下はホタテ貝とマテ貝の昆布出汁のジュレ、パネのピューレ。繊細なジュレの味と滑らかな食感は忘れがたい。

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メインは魚か肉のチョイス。魚料理は、タラ科のリュ・ジョーヌの照り焼きに柚子バターソース。肉料理は仔牛のローストに白味噌モルネー・ソース。

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デザートは「夜の京都」茶のBisou Bisou。舌を優しく撫でるような滑らかで繊細なテクスチャーが官能的なパティスリーだ。photo: Mariko Omura

Grand Café Fauchon Paris
11, place de la Madeleine 75008 Paris
https://fr.grandcafefauchon.fr

editing: Mariko Omura

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