緑あふれるパティオ! ジャルダン・プリヴェでシンプルなグリル料理を。
Paris 2024.06.25
通りに面した扉が開くところに偶然居合わすと、その奥に広がる美しい中庭に目を奪われることがパリではよくある。扉の数だけ秘密を持つパリ。デパートのサマリテーヌからそう遠くないノヴォテル・パリ・レ・アールもしかりで、ホテルの建物の中に鳥がさえずり、ジャスミンが芳しく香るグリーンに満ちた230平米という広さのパティオを秘めている。そこはレストランのLe Jardin Privé(ル・ジャルダン・プリヴェ)で、パリのど真ん中にこんな心安らぐ空間があったのかと驚くばかり。 同じオープンエアでもテラス席は車が行き交う道に面していることが多いのに対して、中庭のここはとても静か。
パリの中心部に秘密のパティオのレストランが。専用入口がないので、アクセスはホテルのエントランスから。photography: Mariko Omura
夏の間、このパティオのレストランではバーベキューメニューが待っている。庭の一角にバーベキューコンロが設けられ、メイン料理のビーフ、タコ、チキン、メカジキがシンプルにグリルされる。添え野菜はポテトやズッキーニ、キヌアから1種をチョイス。メインディッシュはなかなかボリュームがあるので、前菜の代わりにメインと添え野菜1種か2種(2種目は有料)という寛いだ食べ方も悪くないだろう。これなら季節のタルトやピーチ・メルバなどのデザートも味わえるお腹の余裕が作れそうだし。なお、前菜は爽やかな酸味のグリーン・ガスパチョやスズキのカルパッチョ、夏の定番ブッラータと古代品種のトマトとバジリコなどフランスの夏らしさたっぷりのセレクションだ。シェフのニコラ・アムランはエスプレット唐辛子を使って、ちょっとばかり自身の出身地のバスクタッチをプラスしている。バーベキューメニューはランチとディナーに共通。夜は庭の周囲にライトや豆電球が灯り、昼とは別世界の雰囲気になる。このパティオはランチとディナーの間もスナッキングタイムとして営業をしているそうで、クロックムッシュ、クラブハウスサンドイッチ、ハンバーガーといった軽食が取れるだけでなく、ティータイムやちょっとグラスワインを!!といった活用ができるのもうれしい。
メインディッシュから、タコのグリル。添え野菜1種付きで24ユーロ。©️Novotel Paris Les Halles
前菜から、キウイの酸味が爽やかなスズキのカルパッチョ。16ユーロ。©️Novotel Paris Les Halles
シェルのニコラ・アムラン。シェフの姿勢を反映し、メニューには廃棄物ゼロ、べジタリアン、ビーガン、グルテンフリーの4つのシンボルが該当料理に付けられている。©️Novotel Paris Les Halles
285室のこのホテルは1985年にオープンしたというから、レ・アールの歴史とともに歩んでいるホテルと言える。現在オルリー空港近くのランジスにある中央市場は、1971年に取り壊されるまで19世紀後半からこのレ・アールにあった。そもそもレ・アールとは中央市場の意味だ。市場のランジス移転後、跡地はフォーラム・デ・アールというショッピングセンターとなり、1980年代はパリの話題を一身に集めていたのだ。その後治安が不安な地区となったが、2016年にリニューアルされて未来的な建築物カノペが作られてイメージを一新。ホテルの徒歩圏内にはデパートのサマリテーヌだけでなく、ラ・ブルス・ドゥ・コメルスやサントノーレ通りなどが。ル・ジャルダン・プリヴェは宿泊者以外にも開かれている。今すぐ行けなくても、覚えておきたい素敵な都会のオアシスだ。
冬場は透明の囲いが庭の中に設けられて、その中で食事が取れる。©️Novotel Paris Les Halles
Le Jardin Privé / Novotel Paris Les Halles
8, place Marguerite de Navarre 75001 Paris
営)ランチ 12:00~14:30、スナッキング 14:30~19:00、ディナー 19:00~22:30
休)なし
www.novotelparisleshalles.com
@jardinprive.restaurant
editing: Mariko Omura