熱気球の聖火台、フランス人記者はどう感じている?

Paris 2024.08.04

大会期間中、編集者ジョセフ・ゴーンの使命はただひとつ。パリの夜を皆さんにお伝えすること。グラン・パレからセーヌ川の岸辺へと移動し、オリンピックの気球に導かれた。

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オルセー美術館の前で、トーマス・ジェファーソンの像は、空中に吊るされたオリンピックの聖火台に背を向けている。photography: Joseph Ghosn

「祖国の子らよ 栄光の日が来た!」21時31分、フランス国歌「ラ・マルセイエーズ」がグラン・パレの広大なガラス天井と19世紀の鉄骨の下で楽しげに響き渡った。国歌は、ここで自身の得意競技であるフェンシングの決勝を戦うフランスの選手を応援するサポーターによって即興で歌われた。

フランスはラグビーで金メダルを獲得し、興奮が高まり、喜びが増して、夜が始まったばかりだ。しかし10分後、ナショナルチャンピオンのオーレリア・マローブルトンは、その競技の世界ランキング1位の相手に敗れてしまった。決勝戦を見るために急遽訪れたエマニュエル・マクロン大統領は、フランスの選手の敗北と同時に姿を消した。短時間の登場だった。彼はどこに去ったのだろうか? 敗北にもかかわらず、フランスは銀メダルが授与される。そして、グラン・パレを23時ごろに離れると、すでに夜は深まっていた。

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光の街

今夜のパリはどのような様子か? 気球はセーヌ川の周りの涼しい空気の中で、オリンピックの聖火台から立ち上る煙と振り子のように浮かんでいるように見える。開会式で空中に運ばれ、チュイルリー庭園の上に無重力状態で浮かんでいる。それは金色の点と均衡を象徴し、街を見守っている。

「気球の見学予約がすべて埋まっています」と言われた。夜の間に密かに登ることはできるのだろうか? グラン・パレの出口のひとつであるアレクサンドル3世橋から見ると、気球が方位磁石のように感じられる。この地域では車の音はほとんど聞こえない。2020年のロックダウン時の感覚が蘇る。静けさの中にあるパリが非常に心地よい。特に、車の通行禁止のおかげで橋の彫刻を間近で見ることができ、その繊細な輪郭や形の優雅さを、暗闇の中でしっかりと感じ取ることができる。それらは夜の中で輝いているように見える。同行している友人は写真を撮りながら、長い眠りから目覚めたようなパリの夜の美しさに感動する。観光客たちがバカンスに出かけたパリジャンたちに代わり、街の雰囲気は軽やかで、少し遊び心も感じられる。通りや河岸では、人々が笑い、楽しみながら、パーティが開かれる船の周りを囲んでいる。遠くから見ると、「ローザ・ボヌール・スール・セーヌ」は内部が照らされたルービックキューブのように見えるが、近くで見ると、この場所は巨大なカラフルなディスコボールのように見え、夜が空に固定された後も決して消えることはない。まるで光と人々、ダンス、アルコールの万華鏡のようだ。これこそパーティの精神である。

コンコルド橋の向こう側、コンコルド・アトランティックの船上も同じように賑わっている。開会式の後、パリは再び終わることのない夜の雰囲気に戻った。国民議会の下のこれらの岸辺は、決して灯りが消えない別世界のようだ。オルセー美術館までの道は、憧れの夜のパリを求めてさまよう観光客で混雑し、オルセーに向かって突如巨大な姿を現す熱気球に催眠術にかかったように目を奪われ、つまずいてしまう。真面目に「オリンピックがパリの上に新しい月を作り出した」と言う声が聞こえる。またひとつシュールな偉業を成し遂げた。

text: Joseph Ghosn (madame.lefigaro.fr) translation: Hanae Yamaguchi

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