異国情緒あふれるベルヴィルのバベル、手頃な価格も魅力のホテル。
Paris 2024.09.13
中華街でおなじみのベルヴィル。20区というとなんとなくパリの外れのように感じるけれど、地下鉄2号線のBelleville(ベルヴィル)駅までルーヴルやオペラからたったの15分と遠くない。ベルヴィル駅から徒歩2~3分という便利な場所にあり、口コミ人気で旅人たちを集めているのが3年前にオープンしたホテルのBabel(バベル)だ。1階には、カクテルバーとしても滞在客や地元の若者たちに愛されているレストラン、Bahar(バハール)がある。
週に2度朝市が立つ表通りの賑わいを背に入り、歩行者専用通りに面した31室のこじんまりとした3ツ星ホテルだ。通りと反対側も、建物は5階の高さまで育った樹が見事な中庭側に面しているのでとても静か。シルクロードとベルヴィルの魅力を詰め込んだ内装は、パリ市内でいくつものホテルを手がけているダブネ・デジュゥによる。アーティストのジュリエット・スバンが描くエレベーター内の墨絵のフレスコ画、階段には北アフリカのモチーフにインスパイアされたカーペット、廊下にはアジアのどこかの国の木彫り細工などと、異国情緒が宿泊客を包み込む。3カテゴリーある客室はブルーやオークルなど、どの部屋も落ち着いたトーンでまとめられている。ベッドの大きなヘッドボードに驚かされ、まるでオリエント急行に乗ってるかのような気分にさせる室内の洗面台......居心地の良さと列車で旅する高揚感が共存するインテリアだ。各客室にはゲストのためにCBD入りのお茶、地元のブリュールリィ・ドゥ・ベルヴィルのカフェ、近所にブティックがあるLa Rose de Tunisのオリエンタル菓子が用意され、モロッコ風のティーポットも備えられている。
ホテルの共同創設者ジョリス・ブリュネールとグループのディレクターであるマリー・アッジの強い希望で、ホテルは可能な限り環境に負担をかけないエコロジーを実践し、社会的弱者に雇用を開き、さらに難民など泊まる場所を必要としている人を一時的に受け入れる部屋も用意。未来に開かれた新しい形態のホテル作りをふたりは使命と考えているそうだ。
editing: Mariko Omura