パリから2時間ちょっとのホテルに、寛ぎ100%!のスパと1ツ星レストラン。【ル・ドメーヌ・ドゥ・ラ・クラウスへ5ツ星の旅/前編】

Paris 2024.12.12

パリ東駅からTGVに乗り2時間弱で到着するロレーヌ地方のThionville(ティオンヴィル)。そこから車で20分くらいの場所で、7つの丘に囲まれたモントゥナックという小さな町にスパのあるホテル「Le Domaine de la Klauss(ル・ドメーヌ・ドゥ・ラ・クラウス)」が2016年に誕生した。現在ルレ・エ・シャトーに属する5ツ星ホテルで、ブノワ・ポドゥヴァンがシェフのレストラン「Le K(ル・カー)」は2024年に1ツ星を獲得。また今年新しく生まれたミシュランガイドのホテル指標による、ワン・ミシュランキーも得ている。パリからどこか地方に旅をしてみたいと思ったら、寛ぎと同時に食をはじめ、いくつもの体験を楽しめるこのリュクスなホテルを目指してみるのはどうだろうか。

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美しい景色に囲まれたル・ドメーヌ・ドゥ・ラ・クラウス。素敵な夢が見られる滞在が約束されている。

大自然の中に建つ石造りのシャトー

開業以来拡張を続けているル・ドメーヌ・ドゥ・ラ・クラウス。ホテルのしっかりとした石造りの建物は昔からそこにあるといった印象を受ける。2年がかりの建築が始まる前、いまホテルがある場所はオーナーのアレクサンドル・ケッフのファミリーが有する穀物畑だった土地というのが信じがたく、また材料に用いた石は一家の敷地内から採れたものということも驚きだ。"城主"アレクサンドルにとってホテルのゲストは彼の一家のゲストと考え、ホスピタリティを大切にした経営をしている。ホテルの扉を開けて中に入った時から、どこか家族的な雰囲気を感じるのもそれゆえだろう。"世界で最も素晴らしいバー"と評価を得た地上階のバーとそのサロンも、朝から宿泊客以外も迎え入れていて、贅沢感を醸し出しながらもリラックスな空気が流れ、オーナーの"自宅のように寛いで"という声が聞こえてくるようで、それに甘えてのんびりしたくなる場所である。

最近、このバー・サロンでは午後にティータイムも楽しめるようになった。ホテルの宿泊客にはパティスリー1個の無料サービスも。サロンでゆったりとしたアペリティフ時間を過ごす際には、バーマン自慢のオリジナルカクテルをオーダーしてみよう。

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バー。ここからビストロ「Le Komptoir」、サロンへと続く。
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中央にストーブを設け、モノクロームでまとめられたサロン。ガラスドアの向こうに広がる広大な景色を眺め、のんびりとした時間が過ごせる。週末の夜はピアノのライブも。
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左: カクテルのPercy Fire。 右: L'Andoriaはまさに"煙に巻かれる"おいしさ! photography: (右)Mariko Omura

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ホテルの客室は全28室。そのうち12室は4タイプのスイートでブリジット、シュザンヌ、フィリップなどいずれもオーナーのファミリーの名前が付けられている。オーナー夫妻のアイデアが生かされた内装は客室ごとに異なるものの、どの部屋も落ち着きと温かみがあり目に快適だ。自然の中に建つホテルである。窓からの広がりある眺めもとても贅沢。

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28室のうち、ジュニアスイートが6室、スイートが3室、トップスイートが2室、そしてパノラミック・スイートが1室。残り16室はスーペリアおよびバルコニー付きスーペリア。
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ジュニアスイート「Alexandre」。スイートルームは全室バスタブが備えられている。

ちなみに最上階を占めるテラス付きのエクスクルーシブ・パノラマ・スイート「Simone(シモーヌ)」は、80平米の客室からモンテナックの7つの丘が270度眺められる。冬の雪景色、夏の緑......窓の外を眺めながら、備え付けの巨大なジェットバスで身体を休める時間は悪くなさそう。また、このスイートだけのサービスとしてディナーを部屋でとることもできる。サイトでは写真付きで1部屋ずつ詳細な説明があるのでチェックしてみよう。宿泊客はアクセス無料のスパもあり、1年中、どんな季節でも素晴らしい滞在ができるとあって、ホテルは年間を通じて95パーセントの稼働率を誇っているそうだ。

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蹄鉄を組み合わせた2頭の馬の彫刻が出迎えるホテル。その建物左の最上階を見晴らしのよいパノラミック・スイートが占めている。なぜ馬? それについては記事の後半に。photography: Mariko Omura
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ジャクジーを寝室に備えたパノラミック・スイート。窓の外に、夏は緑に輝く自然、冬は日によっては雪!

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スパの快楽、エステティックサロンの悦楽

地上階から庭へと広がる800平米のスパは、宿泊客ならチェックイン日は15時から20時、チェックアウト日は8時から11時30分まで自由に利用できる。この時間帯以外でも有料(35ユーロ/各オプション)だが、チェックイン前12時から、チェックアウト後15時30分までのオプションも。パリのホテルにあるスパだと外部客はスキンケアやマッサージなどを受けた人だけに利用が限られることが多いけれど、ル・ドメーヌ・ドゥ・ラ・クラウスでは宿泊していなくてもスパだけの予約利用も可能(16歳以上)。時間帯は10時〜19時(土日祝は15時まで)と宿泊客が優先だが、2時間、3時間、ランチとスパのセットなどのコースが用意されている。バスローブ、スリッパ、タオルなどは貸与されるので水着さえ持参すれば良いという便利さもあり人気だ。

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スパ。プールの周囲に並べられたリクライニングベッドでリラックスタイムを。宿泊客以外の予約利用には人数制限があるので、ゆったりとした雰囲気が保たれている。
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プールでは噴流によるマッサージ効果に身を委ねることもできる。

800平米あるスパで楽しめるのは温水プール、ジャクジー、サウナ、ハマム、フィンランド風シャワーなど。ゆったりとしたベッドが多く備えられていて、静かに読書をする人、のんびりとお昼寝をするカップル......。屋外では夏はプールで泳ぎ、ビーチベッドを並べたテラスでくつろいで。秋冬の今は6つの透明なイグルーの中でブランケットにくるまってコクーニング!

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ホテルの庭に透明なイグルーが並ぶ。
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イグルーの脇にはジャクジーも備えられ、夜は幻想的な雰囲気だ。photography: Mariko Omura
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自然の眺めが見事なプールが、昨年夏に完成した。

エステティックサロンはパリ生まれの「Gemology(ジェモロジー)」である。名前から察せられるように、宝石のパワー効果を生かしたフェイシャルケアとマッサージなどが受けられる。抗シワ作用と"ソフトフォーカス"効果があるというダイヤモンドを筆頭に、エメラルド、サファイア......。たとえば、ミネラルクラシック(ボディマッサージ30分+フェイシャルマッサージ30分/110ユーロ)など、期待したい肌効果に向く宝石を選ぶことから始まる。妊婦向けのコースや男性用にはヒゲとお肌の美容のためのケアも。

客室のアメニティも、もちろんジェモロジーである。バスルームのシャンプーやボディクリーム、ディナーの後に戻った部屋にオリジナルのチョコレートと一緒に置かれるのはスミソナイトのセラムと翡翠のフェイシャルクリーム! きれいな夢が見られそう。

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ジェモロジーのスパで受けられるケアの種類は豊富。商品の販売も行っている。
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ケアを選ぶにあたり、まずはジェムがもたらす効果が説明される。photography: Mariko Omura

屋外プールができたのは昨年というように徐々に設備が増えていくホテルの敷地内。現在も工事が進行中である。この別棟が完成するとスパは3000平米に広がり、さらに客室も増える。アルザス・ロレーヌ地方ではスパが一種のブームとなっていて、スパのあるホテルとしてもル・ドメーヌ・ドゥ・ラ・クラウスの人気はとても高いそうだ。

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スパがもたらすウェルビーイングは、まさに都会人が求めるところである。さらにホテルでは馬によるリラクゼーションクラスも開催。バー・サロンの前、大自然へと続くホテルの庭の一角にはオーナーの妻で馬におおいなる情熱を抱くマティルドが管理する厩舎が設けられ、そこにはスペインのサラブレッドの調教馬が飼われている。7頭の中にはこの厩舎で生まれたという3歳馬も。乗馬コンペティションの参加者たちが稽古に通ってくる場所でもあるが、ホテルの宿泊客なら厩舎見学ができる。馬について学ぶアトリエも開催(90ユーロ/45分)されているので、それに参加してみてもいいだろう。また馬との関わりを介して自信をつけるというホースコーチングも行なっているが、これは主にホテルでセミナーを行う企業がその一貫として活用するそうだ。

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ここで飼われている馬は調教のレッスンや観客を前にしたスペクタクルなどで活躍する。
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7頭の馬が飼われている厩舎。
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自分たちの夢をル・ドメーヌ・ドゥ・ラ・クラウスで実現したアレクサンドル・ケッフ(左)夫妻。彼はパイロットでもあり、マティルドは乗馬の達人である。

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ワンミシュランキーのホテル、そしてレストランは1ツ星

ワン・ミシュランキーを今年獲得したホテル。「特別な滞在」と評価されるカテゴリーで、これは「独自の個性と魅力を持った目的地。型にはまらず、ほかにはない体験を提供している。サービスは常に一歩先を行き、同じ価格帯の宿泊施設より、はるかに多くのことを提案している」というのがミシュランにおける定義だ。ここまでの紹介でル・ドメーヌ・ドゥ・ラ・クラウスが当てはまることがわかるかもしれないけれど、このホテルの魅力は食について語らなければ終われない。ホテルの1階には春にミシュラン1ツ星を得たレストラン「Le K(ル・カー)」とビストロ「Le Komptoir」が ある。この2軒、そしてホテルの門を出たすぐの場所にある「Auberge de la Klauss」での食事については次の機会に......だけれど、食のティージングとして、ホテルの"目移り"ビュッフェ朝食をここに! クレープ、ワッフルなどは作り置きではなく、オーダーを受けてから焼くので熱々だ。こんなちょっとしたことにも、オーナーのホスピタリティが息づいている。

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フランスの東部でドイツとの国境沿いのホテルらしくプレッツェルも含め、パンのバラエティはとても豊富! パンのためのジャムは、モゼル県のMOFシェフパティシエのAngelo Muza製で、ブティックでも販売している。地元のハム類やチーズもおいしそう。photography: Mariko Omura
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近くの町シエルク・ル・バンのパン屋Peter& Filsによる季節のパティスリー。とてもグルマンなビュッフェ朝食に幸せな気分が朝からもたらされる。

Le Domaine de la Klauss
2, impasse du Klaussberg 57480 Montenach
https://www.domainedelaklauss.com/
Instagram
※冬季休業 2025年1月12日~2月6日
料)227ユーロ~(relais & chateauxサイトにて)

editing: Mariko Omura

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