再開したジャックマール・アンドレ美術館で、ボルゲーゼ美術館の傑作を鑑賞。

Paris 2025.01.06

改装工事のために1年以上もクローズしていたジャックマール・アンドレ美術館。再開した初回の展覧会は、9月6日から始まった『ギャルリー・ボルゲーゼの傑作』。展示されているローマのボルゲーゼ美術館の所蔵品から選ばれた約40点はカラヴァッジョ、ラファエロ、ティツィアーノ、ボッティチェリ......ルネサンス・バロック時代のこれらの傑作を美術館が海外に貸し出すことは滅多にないという。1月5日までの会期予定が好評につき、2月9日まで延長となった。パリなのにイタリアの美術館?と言わずに、パリでこうして鑑賞できる貴重な機会なのでぜひ!

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カラヴァッジョ作『Garçon à la corbeille de fruits』(1596年頃)。少年が抱える果物のバスケットの部分は、静物画としても評価される見事さだ。©️Galleria Borghese/ph. Mauro Coen

これほどの傑作がいかに集められたのかというと、スキピオ・ボルゲーゼ枢機卿のことを知る必要がある。現在ボルゲーゼ美術館となっている豪奢な建物は、彼が1607~1616年に建築させたものだ。この邸宅の建築の意図は彼の夏の住まいであり、ここに古代の作品、当時の絵画や彫刻をコレクションして展示しようというものだった。その入手方法については欲しい気持ちが強すぎて、非合法な場合もあったらしいけれど、コレクレクターそしてメセナとして後世に名を残すことになった彼が集めた作品を鑑賞できる我々は、彼の強い情熱の恩恵に預かることができているのだ。

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Léonard de Vinci(d'après)『Léda』(1517年頃)©️Galleria Borghese/ph. Mauro Coen
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Titien作『Vénus bandant les yeux de l'Amour』(1565年頃)©️Galleria Borghese/ph. Mauro Coen
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Sandro Botticelli作『Vierge à l'Enfant avec saint Jean-Baptiste enfant et six anges』(1488〜1490年頃)©️Galleria Borghese/ph. Mauro Coen
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Raphaël作『La Dame à la licorne』(1506年頃)©️Galleria Borghese/ph. Mauro Coen

彼の死後は遺言に従い、この家から作品がひとつも外に出ることはなく200年間彼の生前のままに所蔵品が守られていた。しかし19世紀の初頭に、ナポレオンがコレクションからの何点かをルーヴル美術館に持っていってしまうのだ。これには、当時のボルゲーゼ家当主が金銭的に困っていたこと、彼の妻がナポレオンの妹だったという背景があったようだ。それでも量も質も芸術的に申し分ないボルゲーゼ・コレクションは、1903年からイタリアの国立美術館として一般公開され世界中から人々を魅了している。

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ジャックマール・アンドレ美術館ではその豊かなコレクションの基礎を築いた夫妻のように、美術史に名を残すコレクターに光を当てた展覧会を開催している。今回は、前出のような著名作家に比べるとあまり世に知られていないアンニバレ・カラッチ、グイド・レニ、ル・カヴァリエ・ダルパン、ヤコポ・バサノといった芸術家たちの作品も展示。ボルゲーゼ家の審美眼にたっぷり浸れる時間が過ごせる展覧会だ。

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Bernin(d'apres)作『Neptune et le dauphin』(1622年以降) ブロンズ。ベルニーニの彫刻を目指してボルゲーゼ美術館を訪問する人も少なくない。その貴重な作品もパリで展示。©️Galleria Borghese / ph. Luciano Romano
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「愛とエロス」というテーマの部屋。左はMichele di Ridolfo des Ghirlandaio作『Léda』、中央はJacopo Zucchi作『Psyché et l'Amour』、左はMichele di Ridolfo作『Lucrèce』。photography Mariko Omura
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『Vierge à enfant avec saint Jean-Baptiste enfant』2点。左はAndrea des Sarto作、右はGiullio Romano作。
『Chefs-d'oeuvres de la Galerie Borghèse』展
会期:開催中〜2025年2月9日
Musée Jacquemart-André
158, bd Haussmann 75008 Paris
開)10:00~18:00(月〜木、土) 10:00〜22:00(金) 10:00〜19:00(日)
料金:18ユーロ
https://www.musee-jacquemart-andre.com/fr

editing: Mariko Omura

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