「怒り」のレストラン、コレール。ディナーはロシアンルーレットで始める。

Paris 2025.01.09

"傲慢"を意味するレストラン「l'Orgueil(オルグイユ)」を11区に2022年に開いたシェフのエロワ・スピンラー。7つの大罪から店名をとった2つ目のレストランを9区にオープンした。今度は、"怒り"を意味する「Colère(コレール)」が店名だ。

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13歳で料理学校に入り、卒業後はトゥールダルジャン、プラザ・アテネのアランデュカスなどガストロノミーレストランや高級ビストロなどで仕事を経験したエロワ・スピンラー。独立にあたっては経験を生かしつつ、まったく新しく食の冒険を提案する店を開いた。
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コレールの店内はビストロとテアトルの2つのパートに別れている。

若きシェフはインスタグラムで219K 、YouTube で123K のフォロワーを持つソーシャルネットワークのスターである。レストランが次々生まれるパリで最近求められるのは、しっかりしたコンセプトでほかの店とは異なる体験ができること。シェフの知名度、味の良さに加え、コレールはその期待にこたえるレストランなのだ。満席のレストラン内、体験を楽しむ客たちはグループが多く、明るく賑やかな雰囲気を店内に作り上げている。

コレールのディナーで誰もが体験したがるのは、前菜の"ロシアン・ルーレット"だ。これは5つのブリオッシュの中の1つが、強烈なペッパー味。誰がそれに当たるのか? この食事のスタートのお供となるオリジナルカクテルはモクテル2種を含む6種が用意されている。レストラン名をつけた赤い「コレール」は、ピリッとした辛口のカクテルだ。

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ロシアンルーレット。5つのブリオッシュのどれを取るか、スリル満点。12ユーロ
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驚くほど赤いカクテルの「コレール」。photography: Mariko Omura

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怒り、と言っても健全な怒り。それと最高の食事と消費の促進を願って、シェフはこの店でも7つの大罪の探究を続けているという。自然界から取れるものへのリスペクトから、「無駄は出さない、すべては変身する」を合言葉に料理をする彼。季節の素材へのこだわりも強い。世界中の複数の種類の唐辛子、胡椒を巧みに活用して調理している。単にすごく辛い、というのではなく個性のある味わい深い料理として成立させているのだ。メニューを開くと、前菜・メイン・デザートの代わりに、始動・表現・解決という言葉が使われている。

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イカ墨の黒が効いた、怒りの店の「ウフ・ヴォルカン・マヨネーズ」(8ユーロ)
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赤米のリゾット(左)を始め、赤い色もこの店では大切な色だ。
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「ニョッキ・ア・ラ・ロメーヌ」(16ユーロ)
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パセリソースを利かせた豚ロース。

ランチタイムはディナーと料理が異なり18ユーロ、23ユーロ、28ユーロの3種。内容は日替わりだ。ランチタイムにディナーメニューを試したければ、週末のランチタイムに体験できる。なおランチタイムのお任せは4皿で50ユーロ。夜のお任せは7皿で78ユーロ。どちらもワインのペアリングが可能である。

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この体験を楽しむ空間の内装も、「オルグイユ」と同じく女性デュオの建築事務所であるフリードマン&ヴェルサーチェが担当した。インテリアのメイン要素となっているのはブロンズ。これは古代の戦闘における戦士の歴史を想起させる永続的素材としてのセレクションだ。ベンチ席には炎の中から蘇るフェニックスの神話をテーマにしたファブリックが用いられている。レストランのメインルームの壁では、獅子のようでありドラゴンのようでもある生き物が大きく口を開いた暖炉がユニーク。ライオンもパワーと怒りのシンボルとして選ばれた動物だ。

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内装を任されたのは建築事務所のフリードマン&ヴェルサーチェだ。
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この雰囲気の中に流れるプレイリストは、強い感動や社会への抗議などがテーマだった1980〜90年代のラップミュージックだ。

Colère
39, rue Richer 75009 Paris
営)12:00~15:00、19:00~24:00
無休
https://www.bonaloi.com/
@bonaloi.paris @eloi_spinnler

editing: Mariko Omura

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