マルゴーで、お婆ちゃんの昔ながらのトラッドな仏料理にほっ!
Paris 2025.02.05
テレビの料理番組「トップ・シェフ」に参加した料理人たちによるレストランが次々とオープンしたパリ。その結果、調理法に凝り、珍しい素材を組み合わせ、スパイスを活用したクリエイティブな料理が手頃な価格で味わえる場所を見つけるのが簡単になった。こうした"ヤング・ガストロノミー"と呼びたいレストランもいいけれど、その反動かシンプルで伝統的なフランス料理が恋しくなって、と言う声も聞こえてくる。2025年はクラシックなビストロやブラッスリーが人気を集めそう、そんな予感がする。
1月14日に開店したのは地下鉄ポン・ドゥ・ラルマ駅から、セーヌ河沿いに対岸のエッフェル塔を眺めながら歩いて4分の場所の「Margaux(マルゴー)」だ。オーナー、ミッシェルが自分の祖母の名前を店名につけていることから察せられるように、昔ながらのフランスの伝統的な料理がメニューに並んでいる。前菜にはオニオン・グラティネ、ウフ・マヨ、エスカルゴなどがあり、メインはコルドンブルー、ヴォロヴォン、ブッフ・ブルギニョン......。いまの時期にはじっくり時間をかけて煮込んだポトフやサヴォワ風フォンデュも。デザートにしても然りで、タルト・タタンやクレープシュゼットなどビストロのクラシックだ。もちろん季節の素材を重視しているので、内容に変化はあるものの、マルゴーではお皿の中に三色旗が見えるような料理ばかりであることは間違いなし。シェフはポール=アレクサンドル・ローモン。彼の料理はまろやかで優しい。飲み物もいま流行りのカクテルはあるものの、やはりこの店ではブルゴーニュやラングドックといったフランス産ワインがトリコロール料理にお似合いだ。
ドアのガラスに描かれているのはタバコを口端でくゆらすマルゴー婆ちゃん。この扉から店内に入ると、控えているのは彼女のダイニングルームというイメージで作られたこぢんまりしたスペースで、目に飛び込むのは大きな食器棚。そこにはお皿やグラスの代わりにワインが並べられ、手前にはほかの席から離れてとてもプライベートな雰囲気で4名が食事できるテーブルが置かれている。レストランは通りのコーナーにあるので、表と脇が外に面していて日中は自然光が差し込む明るい空間。清潔な白いテーブルクロスがかけられたビストロテーブルが並び、ボワズリーの壁にはオーナー自ら蚤の市などで掘り出してきたという額が飾られヴィンテージ感が醸し出されている。料理に使われるお皿は模様さまざまにブロカント色があふれ、食事がより楽しいものに。
パレ・ド・トーキョーの下側の隣で、セーヌ河を挟んでケ・ブランリー美術館が向かいにあるという立地だ。ガリエラ美術館からも近い。展覧会鑑賞の前後にフランスのクラシックを味わいたい時、カジュアル・シックなマルゴーで素敵な雰囲気とおいしい料理を。窓からのエッフェル塔の眺めもご馳走だ。
Margaux
10, avenue de New York
75116 Paris
営)12:00~15:00、19:00~
休)日、月
https://www.restaurantmargaux.com
Instagram:@chez_margaux_paris
editing: Mariko Omura