フランス人はなぜ好きなものを食べても太らない? 食生活に取り入れたい「魔法のスープ」のレシピを伝授。

Paris 2025.02.13

ジムには行かない、食事を抜かない、パンもチョコも我慢しない......それなのにフランス人は、なぜ太らないのだろうか。

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photography: shutterstock

その秘密に迫る書籍『フランス人はなぜ好きなものを食べて太らないのか』(日本経済新聞出版刊)が話題だ。著者は、ヴーヴ・クリコの米国現地法人クリコ社の開設に携わり、のちに社長兼CEOをつとめるミレイユ・ジュリアーノ。彼女は10代の頃、1年間の米国留学のあいだに10kg増量し、帰国後にドクターの助言のもと「フランス流のやり方」で体質改善に成功。それは体重を減らすだけではない、一生ものとも言える生活の知恵だった。

書籍の中から、彼女が教える"食生活の基本原理"を一部紹介!

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喜びを見出しながら「敵」を減らす

フランス女性の秘密はおもに頭の中におさめられている。「敵」を知ることと、それを管理することとはまた別の問題である。誰もが鉄の意志を持っていれば、この本の出番はない。一般に、フランス女性は他の国の女性に比較して意志が強いわけではない。だが、彼女たちは自分をだます技術―精神的に上手に生きるための技術―をきちんと身につけているのだ(ただし、精神によって肉体を完全に管理することは望ましくないと思う。そうなると五感で衝動的な喜びを味わうことができないからだ)。

それでは、新しい習慣と新しいバランスを追求するときに、ふつうの女性はどうやって「敵」を減らそうとするのだろうか?

わたしがドクター・ミラクルから学び、長年の試行錯誤のうえに調整した基本原理をご紹介しよう。とりあえず体質改善を始めるために概略だけお伝えしておくが、フランス女性の生涯にわたる秘密の方法を身につけるためには、このあとの章で、その方法をじっくりと自分のものにしていただきたい。食べ物と和解するためには、何度も繰り返し学ばねばならない特別な教訓があるのだ。とりあえずは以下のとおりである。

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ゆっくり着実にやせる

急速な体重減少では、継続的な効果が期待できない。そうしたダイエットが与えてくれるものは何か?

一時的な結果を得るための短期の(何カ月ではなく何週間の)惨めさだ。たとえ意志の力で何キロも減らすことができても、たちまち失った体重がまた元に戻るか、さらに数キロ増える可能性が大きい。ひと月以内に体質改善が劇的な効果を発揮しはじめたら、あなたは幸運である。だが、たいていの場合、体質改善はあなたの肉体のバランスを調整し直すので、3カ月仕事になる。大切なのは、快適な3カ月にすることである。

たくさんの種類の食品をとる

ドクター・ミラクルが主張するように、過激なダイエットは栄養不足を招きかねない。それは体重超過以上に危険になりうる。それを防ぐには、栄養補助食品ではなく、可能な限り幅広い食品をとることが肝要だ。遠回りだが、そうした多様な食べ物は、あなたが食べられなくて残念だと思っているものの埋め合わせをしてくれる。そして実際には、それほど残念ではなかったことに気づくだろう。

いつも同じようなものばかりを食べている人がいることは、フランス女性にとっては意外でならない。食生活の単調さは、おうおうにして不健康な食べ物に通じる。食生活に即興や実験的な部分がないなら、あなたはきっと型にはまった食生活を送っているにちがいない。それは泥沼の恋と同じぐらい手に負えず―しかも、そのときめきすらない―そして、同じように厄介な羽目になる!

フランス女性はささやかな楽しみを興奮に変えるすべを心得ている。市場の中をよく知らない? 料理する時間がない? 肩の力を抜こう。世界じゅうの自然の味わいを楽しむためには、金持ちである必要はないし、3つ星シェフである必要もない。いくつかの技術を学べば、驚くほど少ない労力で、あまり時間をかけずに、多様性のある料理を作ることができるのだ(巻末にたくさんのレシピを載せている)。

このダイエットは、今まで口にしたことがなかった食べ物やスパイスを試す機会だと考えてほしい。これまで聞いたことのなかったチーズは? 生のハーブは? あるいは、わたしの好物のひとつ、さまざまな種類の牡蠣は? 目新しさというのは強力な娯楽だ。量よりも質を優先し、季節の食品を選ぼう。たいてい、季節の最高の品は、季節はずれの最低の品よりも安い!

食べ物に多様性を持たせるための最後のコツ。たいていの食べ物の楽しみは、はじめの数口にあるので、少なくとも食事の最初は、集中して完全に味を楽しめるように、一度にひとつずつ皿に盛る。ごたまぜの食べ物を頰張ることは、多様性の目的をだいなしにしてしまう。

儀式としての食事の準備

フランス女性は、食べ物を買ったり準備したりするのが大好きだ。何を買ったか、作ったかについてもとうとうと語る。これはきわめて自然な食べることへの愛だが、他の多くの文化では消滅してしまっている。大半のフランス女性はそのことを母親から、ときには父親から学ぶ。だが、両親がフランス人でなくても、独力で学ぶことはできる。

わたしは学生だったが、ドクター・ミラクルに指示されて、パリの住まいの近くにあるすばらしい地元の市場に、週に2、3度は足を運んだ。彼の忠告はシンプルだった。翌日、あるいは2日後に必要なものだけを買いなさい。月に2度、スーパーマーケットで大量に買いこむことはしないように。わたしは何を体に入れているのかきちんと確認するために、簡単なものだが、家で料理を作った。体質改善のためには、自分で昼食を作って持っていくことはおおいに役に立つ。既成の食品、とりわけ加工食品に含まれるわけのわからないものを避けるためだ(秤を仕事先に持っていけば、いっそう楽だ!)。

夕食の食事を「美食の」催しに変えることも、同じように重要である。「夕食には何を食べよう?」は、さまざまな答えが用意されていれば、わくわくする質問になる。夕食には頭を使い、ひと手間かけなくてはならない。しばらくすると、自然にそれをこなしている自分を発見するはずだ。買い物をして料理をすることは、わたしには比較的目新しいことだった―実家にいるときはなぜかその気にならなかったのだ―。しかし、ドクター・ミラクルは、楽しめるはずだと保証してくれて、それは当たっていた。

水をたっぷりとる

フランス人もフランス人以外の人々も、水は必須でありながら、十分に摂取していない。だが、1日の必要量、グラス8杯の水をごくごく飲むことを想像しただけで、たしかに、うんざりしてしまう。しかも、多くの女性は水のボトルをどこに行くにも携帯することには熱心だが、そのうちどのぐらいの人が必要量をとっているかは疑問だ。

いくらたくさん水をとっても、とりすぎるということはない。1日に8杯はとうてい飲めないと考えるなら、とりあえず、以下のようにして2杯余分に飲んでみよう。朝いちばんに大きなグラスに1杯飲む。睡眠中にいかに水分不足になっているか、気づかない人が大半だ(おそらく、そのせいでどこから見ても「敵」なのに、大きなグラスのジュースが朝いちばんだとおいしそうに感じられるのだろう)。朝の水は顔色を生き生きさせるだけではなく、たとえよく眠れなかったとしても、活力を与えてくれる効果がある。それから、夜寝る前にグラス1杯の水を飲む。水分不足は不眠の原因になる。水の味が気に入らないなら、レモンをひと切れグラスに入れるといい。

食事に集中する

きちんとテーブルにつき、すわって食べる。決して容器から直接食べてはならない。本物の皿ときちんとしたナプキンを使い、食事の重要性を意識しよう。美しい盛りつけも大切だ。ゆっくりと食べ、ちゃんと嚙む(アメリカ人の母親もこのことを口にするが、それは喜びのためというより礼儀だからと考えている)。

テレビを見たり、新聞を読んだりしない。食べているもの、香りのことだけを考え、ひと口ひと口を味わう。数口ごとにナイフとフォークを置く癖をつけ、自分自身に口の中の香りと舌触りを説明してみる(フランス女性みたいだとからかわれても気にしない―最後にはあなたが笑うのだから!)。

量のコントロール

ゆっくりと学んでいこう。もしもあなたの問題がおいしいものを食べすぎることなら、ゆるやかに減らしていこう。サーモンはすばらしい健康食品だが、満腹になるのに250グラム必要なら、食べすぎである。秤を常に手元に用意して、少しずつ減らしていけば、180グラムで満足できるようになるだろう。指針として、1回の食事で何かを250グラム食べたら多すぎる。満足感が変化していくことには気づかなくても、まもなく肉体の変化には驚くことだろう。

「敵」をストックしない

手元にあればいくらでも口にしてしまう食べ物がある。ナッツやポテトチップスはひとつかみだけで満足できるだろうか? そうしたものは家に買い置きしてはならない! そして、徐々に量を減らすことを何よりも優先させよう。最初のひとつかみが6個なら、それを限度とする。次回は1日に3個でやめるようにする。

代用品と空腹を癒すものを見つける

わたしの最大の問題は甘いものだと知り、ドクター・ミラクルはわずかなカロリーでおおいに満足できるレシピを教えてくれた。他のすばらしい処方同様、それはずっと役に立っている。

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ミレイユ・ジュリアーノが教える
簡単に作れるヘルシー・フレンチ・レシピ

魔法のポロネギのスープ

材料
[1人分の週末2日分]
・リーキ(ポロネギ)......1kg

作り方

1 ポロネギは緑の部分をわずかに残しておく。

2 ポロネギを大鍋に入れて、かぶるぐらいの水を入れて蓋をし、火にかける。沸騰したら、蓋をとって20~30分間煮る。煮汁は鍋からあけて、とっておく。ポロネギをボウルに入れる。煮汁を2~3時間ごとに一度に1カップずつ飲む(温め直すか、室温で味わう)。食事のとき、あるいは空腹のときは、ポロネギをそのまま、一度に100~150gずつ食べる。エクストラヴァージン・オリーヴオイルとレモン汁を数滴ふりかけ、控えめに塩、コショウをする。好みでパセリのみじん切りを加えてもいい。

これが日曜のディナーまでの2日間の栄養になる。ディナーには小さな肉か魚(110~170g)を2種類の野菜といっしょにバター少々かオリーヴオイルをふりかけて蒸したものと、フルーツをひと切れ食べてよい。

ポロネギの甘い味と繊細な舌触りが嫌いな人は気の毒である。最終的には、それが好きになるはずだ。しかし、好物でなければ、香りのいい栄養のある他の材料の中にポロネギをまぎれこませるという工夫をしてみよう。ミモザスープとして知られているプロヴァンス版の方が口にあう方もいるだろう。

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『フランス人はなぜ好きなものを食べて太らないのか』
ミレイユ・ジュリアーノ 著(羽田詩津子 訳)
¥990(日本経済新聞出版刊)

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