10kg減を叶えたフランス人が解き明かす、パリジェンヌがスリム体型でいられる秘密。
Paris 2025.02.14
食べることを愛し、パンもワインも、チョコレートも我慢しない。そのうえ特別な運動をしなくても、スリムな体型をキープ。フランス人とは特殊な体質を持った人種なのか? その答えはNO。彼女たちは、自分の喜びを我慢することなく、賢く健康的に生きる方法を知っている。
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その秘密を紹介する書籍が『フランス人はなぜ好きなものを食べて太らないのか』(日本経済新聞出版刊)だ。著者のミレイユ・ジュリアーノは、米国留学中に10kg増量し、帰国後にドクターの助言のもと健康的に減量、そこからフランス流の「贅沢で、太らない」ライフルールを見いだした。書籍の中から、彼女がドクターに教わった内容を一部紹介!
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小さな悪魔と対決する
君子危うきに近寄らず。ドクター・ミラクルはわたしに、甘いものという危険を避けることを提案した。まったくお金を持たずに、あるいは地下鉄やコーヒー1杯分に必要なお金だけしか持たずに学校に行くほうがいい、とドクターは言った。
わたしにとって、ペストリーの店を避けることは、通学路を変えることだった。仕事に行く場合でも、毎日同じ道を通らないほうがいい。変化は栄養においても環境においても大切なのだ。
あなたの「敵」が通りに出没しなくても、あるいは通りがそれほど刺激的でなくても、他の感覚を研ぎ澄ますようにしよう。菓子店の魅力のひとつは、焼き菓子の濃厚な香りだった。香りのいい花を買うことは、贅沢な気分になれるだけではなく、防御にもなった。ベーカリーの近くにさしかかると、花の香りを嗅いだ。香りは味覚の半分を占めているので、匂いを嗅がないと甘いものをほしいという気持ちはなかなかわいてこない。ラベンダーの匂い袋も驚くべき効果を発揮する。
体を動かそう
もしかしたらあなたは車での移動があたりまえの場所に住んでいるか、毎日歩く習慣がないかもしれない。だからといって、あなたの体重がふたつの変数によって決定されるという事実は変わらない。すなわち、摂取するものと、燃焼するものだ。ドクター・ミラクルはわたしがスポーツをしないことを知った(フランス女性はたいていしない)。とはいえ、体を動かす必要があった。1日に2度、学校と家のあいだの20分の距離を歩くことは、わたしにとって絶好の治療だった。
仕事場や学校まで歩いて行くのが遠すぎるなら、途中だけでも歩くようにしよう。あるいは、昼休みか夕食後に30分の散歩をするといい。散歩はカロリーを消費するだけではなく、思索にうってつけで、頭をすっきりさせ、心理的満足のために食べたくなる気持ちを抑制する働きがある。日々の肉体的活動を穏やかに増やしていくことが肝心だ。エレベーターを使っているなら、代わりに階段を使うようにしよう。そうすれば余分な手間をほとんどかけずに、カロリーを大量に消費することができる。
空腹になりすぎないこと
これはドクター・ミラクルの賢明な処方のひとつで、あなたの肉体が新しい世界のルールを学んでいくときに、とりわけ重要なことである。
空腹になりすぎることは食べすぎと同じぐらい、気が散って不快だ。ガソリンタンクに燃料を入れることをさぼらないのと同じように、決して食事を抜くべきではない―あとで立ち往生する羽目になるだけだから。肉体の法則に逆らわない、というのが目標なのだ。適量を規則正しく肉体に食べさせれば、あなたの肉体のエンジンは空腹の悲鳴をあげることはない。この方針を厳しく守ることは、体質改善の初期の段階ではきわめて重要である。
空腹をなだめる効果的な秘訣はヨーグルトだと、ドクター・ミラクルは教えてくれた―砂糖入りのスーパーマーケットで売られている品ではなく、裏ごしされた本物のヨーグルトだ。それは舌触りや風味がすぐれているばかりか、健康維持に必要な乳酸菌などの細菌が豊富だ。酪農場の近くに住んでいないと、アメリカでは入手がむずかしい。だが信じられないほど簡単なレシピに従って、週に1度自分で作ることができる。ドクター・ミラクルは体質改善のあいだ1日に2度、好きなだけ食べるように指示した。朝食といっしょに、デザートとして、あるいはおやつに。少量のハチミツや小麦麦芽や新鮮なフルーツを加えると、いっそうおいしく感じられたが、ヨーグルトが好きになると、なめらかでクリーミーな酸味をそのまま味わうほうが好きになった。空腹に襲われそうだと感じたときに食べたヨーグルトは、見事に空腹を癒してくれた。
空腹に襲われたら
わたしたちは緊急事態のための準備もしておかねばならない。ドクター・ミラクルは不時の備え(まさに空腹に襲われた場合の備えだ)について説明した。それはきわめて簡単だった。いつもちょっとしたものを、あなたの肉体がおやつだと認めるようなものをポケットに入れておくこと。それは手軽であるばかりか、強力な精神的抑止力を発揮する。自分の中の小さな悪魔を黙らせるのだ。それが手の届くところにあるとわかっていれば不安は減り、ほしいという思いがなだめられる。
実際、不時の備えをとりだしたときは、そのおかげで夕食のときにいつもほど空腹ではないことがうれしかった。いわば埋め合わせだ。いまだにわたしはそれを持ち歩いている。塩味ナッツの小袋。ただし、体によくて、しかも満足感を与えてくれるものを選ばなくてはならない。
週末のごほうび
誘惑にあふれた世界ではわたしたちが脆弱だということを、ドクター・ミラクルは知りすぎるほど知っていた。欠乏感は失敗のもとである。罰を与えられていると感じるような計画は、当然心の造反を招きやすい。あなたの楽しみがディナーのときのグラス1杯のワインであれ、朝食のクロワッサンであれ、長期間にわたってそれを奪っておいて、肉体が復讐に走らないと期待することは無理である。
そこで体質改善の期間であっても、肉体には安息日が必要だ。断わっておくが、週のあいだじゅう差し控えてきたものを何でも飲み食いしてもいい、と言っているのではない。適度な量の好物を楽しむことができる安息日なのだ。ダイエットの権威の中には、食べ物をほうびにしないように忠告する人もいる。しかし、わたしはほうびになるような食べ物なら、かまわないと思っている。つまりジャンクフードではなく、大量にではなく、きちんと味わって食べられるなら、ということだ。
ドクター・ミラクルは土曜日は多少脱線し、新しい週を正しいやり方で始めるために、日曜にはまた計画に戻るのがいいと勧めた。しかも、わたしの場合、それは重要な意味があった。学生時代、土曜の夕食は、パリのおしゃれな友人たちの自宅にしばしば招かれたのだ。彼らの家には住みこみの料理人がいた。その見事な料理は罪悪感を覚えながら、ちょっとだけつつくということがむずかしかった。ドクター・ミラクルの答えはこうだった。「だが、ミレイユ、頭を使いなさい」もしも食前酒のシャンパンとデザートが抵抗しがたいほどおいしそうに思えたら、それをもらう、ただしパンは食べない。自分にとって意味のある選択をすることは、フランス女性の秘密の極意なのである。
この体質改善のあいだ、数週間後のイースターに家に帰り、家族といっしょに豪勢な休日のごちそうを囲むことを恐れていた。彼らはパリのしゃれた友人たちほど慎み深い性分ではなかったのだ。わたしは正しい道を歩みはじめてから、すでに4.5キロ減っていた。注目を集めずに、食習慣を変えないようにしたかった。
ドクター・ミラクルは賢明にもこう忠告してくれた。フォアグラを食べ、デザートを楽しめば、さまざまなパンはわずかしか口にせず、フレンチフライをちょっぴりしか皿にとらなくても、誰も気づかないだろうと。翌日、その埋め合わせをすればいい。制限だけではなく楽しみも自分で管理するように。
それでも、わたしの胸には、これが長期的にどこに行き着くのか不安が兆していた。悲しいかな、邪悪な「敵」がまた顔を出していたせいだ。当分のあいだだけなら、「敵」を制御できるのはわかっていた。だが学校生活が始まっても、「敵」に屈服せずにいられるだろうか?
わたしが学んだ答えは「少し」という意味の言葉、「プティ(petit)」と「プ(peu)」にあった。あらゆるものを食べてもいいが、少量ずつにする。
わたしが自分の成果に誇りを感じているものの、少々楽しみを奪われていると感じはじめていたので、ドクターはささやかな調整をしてくれた。週に2度の昼食―たいてい友人たちといっしょに歩道のカフェでとった。わたしと同じように、彼らも学校のカフェテリアでは満足できなかったのだ―では、エスプレッソについてくる小さなダークチョコレートを食べてもいい。何曜日でもかまわないが、週に2度以上にはならないようにする。いつにするかは自分で決める。午前中に難しいテストがあったあとでは、そうする必要があった。クラス全員の前での朗読のあともしかり!
わずかな調整だったが、大きな高揚感を与えてくれた。しかも、ちょっとした再設定の威力を初めて実感することができた。ささやかな変化が、長期的には大きなちがいをもたらすこともあるのだ。
体重計よりスリムなパンツ
イースターまでに、わたしの体質改善は完成した。そして、新しい生活が自然に感じられるようになった。今ふりかえってみても、味気ない渇望の時期だったとは思えない。だが、わたしは何を達成したのか? 何を達成することを期待していたのか? 体重は六キロ減っていたが、それは減らす必要のある体重の半分だった。だが、注意していただきたい│減り具合を確認するために毎日体重計に乗っていたのではない。アメリカとちがい、フランスでは体重計はバスルームの一般的な備品ではないのだ。しかも、体重計が失望する進捗状況を示す可能性もある。女性はひと月のあいだに、水分を保持するせいで体重が増える期間がある。さまざまな理由で体重は変化し(たとえば時刻)、それはバランスよく食べていることとはほとんど関係がない。
わたしはときどき体重の減少を確かめはしたものの、おもに服を着た肉体の外見と感触に気をつけるようにしていた。それがどんどん変わっていくのをこの目で見ることができた。そして、体重計が六キロの減少を示したときは、わかっているはずのことを確認したにすぎなかった。スリムなデザインのパンツをはけば、体重減少がもっとも端的にわかると思う│もっと簡単に、もっと確実に、もっとセクシーに。フランス女性が「ジッパー・シンドローム」と呼ぶジッパーの上がり具合で確認する方法、あるいはメジャーテープを利用するのもいい。
これまで述べたように、あなたにとってバランスのとれた体重はきわめて個人的なもので、多くの要因によって変わってくる。年齢、体型、ときには季節によってすら。そのうえ改善も相対的なもので、絶対的なものではない。フランス女性はカロリーを計算しないばかりか、体重も測らない。3カ月の体質改善のあとだと、すでにかなり前進したと感じるだろう。ゴールまで半ばだと感じたなら、体質改善は成功したのだ。そうでないなら、どれだけ前進したかを考え、さらに数週間続けてみよう。非現実的な目標には用心しなくてはならない―全員がモデル並みにやせることはできないのだ。さらにいくつか変えられることがないか探してみよう。いくつかの「敵」をさらに減らすのだ。たとえば1日に歩く時間を10分増やす。少しずつ調整していくことが、バランスのとれた状態にたどり着くための秘訣である。
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ミレイユ・ジュリアーノが教える
簡単に作れるヘルシー・フレンチ・レシピ
自家製ヨーグルト
材料
[4~6人分]
・牛乳......5カップ
・プレーンヨーグルトまたは市販のスターター用種菌......大さじ2(自然食品店で入手可能)
作り方
1 ソースパンに入れた牛乳を中火にかけて、縁にあぶくが現れ、表面から湯気が出るまで温める。
2 温かい牛乳を大きなボウルに入れて、温度が調理用温度計で43~46度になるまでさます。温度計がなければ、地元の人がやっているようにしよう。すなわち、温かい牛乳の中に20秒間人差し指を入れられれば、ちょうどいい温度だということだ。
3 プレーンヨーグルトか市販のスターター用種菌を小さなボウルに入れて、温めた牛乳を少し加え、よく混ざるまでかき回す。それを大きなボウルにずつ戻し、そのたびによくかき混ぜる。最後にかき混ぜるときには、すべてがよく混じりあっているかを確認する。厚手のタオルで覆い、暖かい場所に6~8時間、またはひと晩置いておく。
4 できあがったら、ボウルにラップをし、8時間冷蔵庫で冷やしてから食卓に出す。もっと濃厚なヨーグルトがお好みなら、冷やしたヨーグルトをボウルの上に置いたモスリンの袋かチーズクロスで漉す。
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『フランス人はなぜ好きなものを食べて太らないのか』
ミレイユ・ジュリアーノ 著(羽田詩津子 訳)
¥990(日本経済新聞出版刊)
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