パリ・オペラ座の舞台ジュエリーが煌めく展覧会をガルニエ宮で。
Paris 2025.02.28
今年150周年を祝うパレ・ガルニエ。劇場見学のため、世界から集まる観光客が毎日行列をなしている。3月28日まではガルニエ宮の見学だけでなく、館内の展覧会場にて開催中の『パリ・オペラ座のステージ用ジュエリー』展も鑑賞が可能だ。


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バレエやオペラの公演のためにパリ・オペラ座の装飾アトリエがクリエイトした精巧で見事な舞台用のジュエリー約70点が会場内で輝いている。バレエファンにおなじみのジュエリーはどれだろうか?
『ラ・バヤデール』のニキヤとガムザッティの映像ビデオが流されているように、この作品ではラジャの娘ガムザッティがジュエリーを差し出して、ソロルを譲れとニキヤに迫る。そのガムザッティが身につけるネックレスとカフブレスレットは、コスチュームと同じくフランカ・スカルチアピーノのデザインがベースだ。

『マノン』では作品中、ブレスレットを巡ってデ・グリューとマノンが諍いをするパ・ド・ドゥがあるように主人公はジュエリーには目がない。あいにくこのブレスレットは展示されていないが、マノンの首元を飾ったネックレスを見ることができる。ステージ用ジュエリーに多用される素材の真鍮とラインストーンがこのネックレスにも用いられている。
『眠れる森の美女』のオーロラ姫のティアラ、さらにデフィレの時に女性エトワールがつけるティアラの展示も。2024年春にエトワールに任命されたブルーエン・バティストーニが同年9月に初デフィレを行った際に作られたもので、とてもゴージャス。隣に並ぶのはプルミエール・ダンスーズ用のティアラで、こちらはエトワールのに比べるとシンプルだが、オペラ座バレエ団が階級社会であることを改めて思い出させる。

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パリ・オペラ座の装飾アトリエではバレエだけでなく、オペラ用のジュエリーも手がけている。ダンサーが踊るバレエと違って、オペラの場合ジュエリー装飾が施される可能性が衣装やベルト、帽子などにも広がるようだ。ビスチェもあれば、背の高い帽子など展示アイテムのバリエーションも豊か。
このアトリエは1972年にパリ・オペラ座内に設けられた。ここでは衣装デザイン担当者がデザインした、ステージでアーティストたちが身につける宝飾品の制作を行っている。ゴールドには真鍮、貴石にはガラスといった素材で本物には価値的に劣るものの、その制作に用いるサヴォワールフェールはハイジュエリーと同じ。展示作品のひとつひとつに、アトリエの職人の技がジュエリーにもたらす素晴らしいクオリティを確認できる。



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なおガルニエ宮150周年を記念する催しとして、劇場内のパブリックスペースでの1950年からいまにいたるまでのバレエとオペラのコスチュームの展示もそのひとつだ。たとえば『ジゼル』のウィンドーでは1954年から1998年までの衣装の変遷を見せている。また、今年はシャガールの天井60周年でもあり、その記念として「ダフニスとクロエ」のコスチュームも展示。これは1959年にジョルジュ・スキビンによって創作され、衣装デザインがシャガールに託されたのだ。


「Bijoux de scène de l'Opéra de Paris」展
開催中~3月28日
Bibliothèque - musée de l'Opéra
Palais Garnier
入り口:Rue Scribe/Rue Auberのコーナーのチケット販売センター
開)10:00~17:00
休)月、祝
料)見学料金(15ユーロ)に含まれる
https://www.operadeparis.fr/visites/expositions/les-bijoux-de-lopera
editing: Mariko Omura