凱旋門近くのラヴァンチュール。ホテル完成を待ちつつ、まずはレストランの冒険を。
Paris 2025.04.17
ヴィクトール・ユゴー通りというと、10本の通りが放射状に延びる広場がある同名の地下鉄駅周辺を思い浮かべるのでは? この大通りの始まりは凱旋門広場。1月にオープンしたL'Aventure(ラヴァンチュール)は4番地なので凱旋門のすぐ近くという立地だ。地上階は通りに面して横に広がるレストランで、いまの時期、明るい太陽を浴びてテラス席がキラキラと輝いている。その上には16室のホテルができるのだが、これは現在工事中。地下はプライベート・クラブでこちらはすでにオープンし、その非日常空間に漂う魅惑がパリのナイトシーンを賑わしている。
経営するのはカフェ・コストでおなじみのジルベール・コストが息子ティエリーと共に率いるBeaumarlyグループ。このレストラン&クラブ&ホテルのラヴァンチュールで繰り広げられるのは、その昔の"ジェットセット"という言葉を思いださせるリュクスで華やかな世界だ。



---fadeinpager---
今回のオープン以前、レストランはサイズは小さかったけれど同じ名前で、カール・ラガーフェルドやセルジュ・ゲンズブールたちと親交のあった歌手&女優のダニが経営していた。晩年バラの店をホテル・コストの一階で営業していた彼女の口癖"Ah ! Quelle aventure !(ああ! なんという冒険!)"からインスパイアされた店名で、新たなラヴァンチュールのグラフィックデザインを任されたヴァンサン・ダレはその彼女の言葉を食器などにヘリテージ的に活用している。もちろん、その店名に違わず、思いがけないことがたくさん待つ場所である。


---fadeinpager---
レストランの料理を担当するのは名前は公表されていないがスターシェフだ。グループの信条である"おいしく美しく"に加え、ラヴァンチュールでは料理の軽さにこだわっているという。"コスト"という名前が連想させる料理とは全く異なり、和食を愛するシェフらしい日本料理からインスパイアされたクリエイションをラヴァンチュールは提案している。例えば、"ロワイヤル・ア・ラ・ジャポネーズ"。何が日本風なのかというと、これはフランス人が好きな和食の1つである茶碗蒸しをシェフがアレンジしたものだ。メインの添えに!というオススメはスモークした丸ごとポワローネギ。このビジュアルは日本の居酒屋料理をなんとなく思い出させる。いかにもフランス的料理ながら、メインのチキンローストにしても皮がカリッと焼かれ、意外なほど軽い仕上がりだ。軽さにこだわるのはデザートにも言えることで、蜂蜜の雲を意味する"ニュアージュ・ドゥ・ミエル"はふわんふわんとしていて、驚くほどのサイズながら食べ進んでしまうほど。
洒落たインテリアの中での食事も素敵だけれど、ここは集まる人を見にいき、同時に自分も見られて、という状況を楽しむレストランといえる。21世紀的ハイライフ!をチェックしに、ぜひともおしゃれして出かけたい。


---fadeinpager---
ホテルの室内建築は北欧出身でロンドンにオフィスを構えるマルタン・ブリュディンスキーと息子ティエリーの共同作業で進められている。マルタンはすでにパリの2つのホテルで色彩が溢れるポエティックな内装を作り上げているけれど、今回はこれまでの彼のスタイルとはかなり異なる新しい冒険が見られるそうだ。オープン予定日はまだ明かされていないけれど、その時を楽しみに待とう。

L 'Aventure
4, avenue Victor Hugo
75116 Paris
営)レストラン 12:00~23:00
無休
https://www.laventurehotel.com/fr
@laventurehotel
★Google Map
editing: Mariko Omura