「フトソバ」って? シェルシェ・ミディ通りのキモノで新しい和の味を。
Paris 2025.06.30
そばであり、うどんでもあり。そばでなく、うどんでもない"フトソバ"。これはパリ6区に新しくオープンした和風ビストロKIMONO(キモノ)が、新しい和の味として提案するクリエイションだ。このレストランは過去に紹介した寿司のBlueberry、蒸し物のSteambar、イタリア料理のMarcelloと同じ、フローラ・ミクラがエグゼクティブシェフを務めるグループDining Roomsによる最新のレストラン。グループの他店同様に、このキモノもいまの気分にフィットする内装とおいしい料理が待つ店だ。
デパートのボン・マルシェからも近く、買い物が楽しいシェルシュ・ミディ通り、しかもカジュアルに和食を味わえるとあって、パリっ子たちが嗅ぎつけるのも簡単なのだろう。いかにもニッポン、という店名に日本人はちょっと驚くけれど、フランス人には魅力的であり、また覚えやすいようで、開店間もないというのに盛況ぶりを見せている。
左:シェルシュ・ミディ通りとラベ・グレゴワール通りのコーナーにオープンした和食ビストロ、キモノ。 右:手前がシェフの守屋壮大、奥がスー・シェフのマコト。photography: @Pierre Lucet Penato
蕎麦粉と小麦粉を合わせたほのかにベージュがかった麺は、蕎麦の香りとうどんの滑らかな口触りが楽しめる。キモノのシェフの守屋壮大(モリヤマサヒロ)はフランス料理界出身だが、味噌を始め和食の素材を取り入れていたそうで日本の味にも精通。その彼とパリのウドン店出身のスー・シェフのマコトが、キモノのために試しを重ねてフトソバを生み出したのだ。温・冷の両方で味わえるだけでなく、ランチタイムにはフトソバ・サラダもメニューに並んでいる。
キモノのオリジナル、フトソバ。photography: @Pierre Lucet Penato
フランス語として定着しつつある日本語"イザカヤ"とメニューにあるのは、小皿料理の数々だ。メニューは昼と夜で大きく異なる。昼は小皿料理5種とセットメニュー5種で、フトソバだけでなく、おにぎり弁当あり、お好み焼き弁当あり......。夜は小皿料理もフトソバも全てアラカルトでのオーダーとなる。わさび味のヴィテロ・トナート、カラスミ茶碗蒸し、備長炭焼チキン、そば粉の皮の餃子など、試してみたくなる味のオンパレード。ミル・クレープやホームメードのアイスクリームといったグループのシェフパティシエによるデザート、グループのシェフ・ソムリエールによる日本酒やワインの飲み物のメニューも充実しているキモノは昼にゆき、夜にも行く店となりそう。
ランチタイムメニューから。左:カラスミとアニスのフレンチタッチが添えらえた、フランス人が大好きな茶碗蒸し(8ユーロ)。 右:ランチメニューのひとつFutosoba Express(21ユーロ)。白ごまソースかかけの出しのチョイスがある冷フトソバと、温泉卵、生野菜のマリネがセットされている。photography: Mariko Omura
左:ランチタイムのBento Classsique(26ユーロ)には、豚肉のお好み焼き、野菜のお好み焼き、チキンカツ、魚料理のひとつに、出汁ブイヨン、温泉卵、生野菜のマリネ、おにぎりがセットされる。 右:昼夜ともにデザートは同じ。写真はチョコレートとそば茶のミル・クレープ(12ユーロ)。photography: @Pierre Lucet Penato
夜のアラカルト・メニュー。photography: @Pierre Lucet Penato
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インテリアを担当したガブリエル・ピストル(Studio Boxwood)は、1920年代に国籍様々なアーティストたちが集まったモンパルナスで、藤田嗣治を中心に日本人コミュニティーが作られて界隈を賑わしていたという歴史にインスパイアされた内装をキモノにもたらした。どことなくアール・デコの香りが感じられるのも、その時代ゆえだ。以前、この場所にあったのは人気店マミー・ガトー。その木のテーブルやレトロタッチのペンダントライトなどはそのまま残され、場所の歴史を守っている。65席のレストランで、店の中央に設けられた12名が座れるカウンター席は、買い物ついでにちょっと!という感じに一人での食事も取りやすい。
photography: @Pierre Lucet Penato
66, rue du Cherche Midi
75006 Paris
営)12:00~14:30、19:00~22:00(火~金)、12:00~15:00、19:00~23:00(土)
休)日、月
https://www.kimono-paris.com/
@kimono_restaurantparis
★Google Map
editing: Mariko Omura