おいしいもの好きが集まって、ル・ディプマットでワインと食事とおしゃべりと。
Paris 2025.07.18
地下鉄駅Ternes(テルヌ)から徒歩3~4分と便利な場所にあるle Diplomate(ル・ディプロマット)。地元民に愛されているカフェであり、ブラッスリーであり、レストランである。この名のカフェ兼タバコ屋がオープンしたのは1928年で、その後何回かレストランとして変身し、そして2019年に4代目のセバスチャン・ポルトが引き継いだ。彼はコロナ禍の時期に大改装を行い、その結果、味の良さを追求した料理にもポイントを置いた店として新生したのだ。
1928年から同じ場所で営業を続けるル・ディプロマット。現在のオーナー4代目のセバスチャン・ポルトが温かく客を迎え入れる。
シェフのフロリアン・ブルーレックはオリエント・エクスプレスの厨房で働いた経験の持ち主である。ブラッスリーらしい伝統的料理に、ペコリーノ・チーズも使えば、わさびも、というようにアジアンタッチやイタリアンタッチを取り入れた新しい味を提案するル・ディプロマットだが、店の名物料理がある。それはロール・キャベツ。といっても、これはセバスチャンが13歳の時に彼のママ、マリネットが新解釈したレシピによるものなので、キャベツの葉がファルシを包む、といったおなじみの姿と全くイメージが異なる。台形のテリーヌ型を使ってキャベツの葉、肉と野菜のミックスファルシをお菓子のように焼くのだ。その後、型から出したらテリーヌのようにカットしたものをバターで炒めて......というのが「マリネットのロールキャベツ」。これは他のどこの店に行っても見つけられない、ル・ディプロマットのユニークでおいしいランチメニューの一皿である。
左:ある日の前菜から。小イカのフライ(上/15ユーロ)、サラダとセットのシュー・ファルシ(13ユーロ)。 右:メインから、ジャガイモのニョッキ(26ユーロ)、ハドックのブランダット(27ユーロ)。photography: Mariko Omura
メニュー内容は季節の素材を用いているので、時期によって内容が微妙に変わる。スマッシュバーガーもあれば、オーソブッコや成熟牛のステーキなど肉料理も充実。フランス人の食いしん坊が好きなブーダンノワールもオニオンのタタン添えで人気料理のひとつとなっている。バスク地方で有名なChristian Parraのブーダンだそうだ。もちろんメニューには魚料理もベジタリアンのための料理も見つかる。前菜もメインもなかなかのボリュームなので、カリッとした皮が魅力のシューや先代の時代からの味であるプディングなどホームメイドのデザートに至れるようにお腹をすかして行くのがいいだろう。
左:ブラッスリーの前菜の定番、ウフ・マヨネーズ(9ユーロ)。 右:ヴィッテロ・トナートはサラダとセット(26ユーロ)。
左:ボジョレー・ブランやヴァン・ナチュールなども揃えたワインリストは毎月替わる。 右:メインはどちらかというと肉料理が豊富だ。
寛いだ雰囲気が流れる店内の室内装飾を担当したのは、エマ・ルーとクリストファー・マティニョンのデュオである。彼らがイメージしたのはフランスの豪華列車。革のベンチ席、ニスでタバコ色にした木素材、ブルーやグリーンの色調、真鍮、ベッルベットのカーテン、籐の扇風機......。イザベル・バシネロが手がけた壁のモザイク装飾は青列車やオリエント・エクスプレスの車内を思わせ、優雅な旅気分も味わえる。オシャレだけど気取りすぎず。近所なら朝のカフェ、ランチ、食前酒、ディナーにと頻繁に通いたくなるル・ディプロマットだ。
左:天井の扇風機や丸いライトがいかにもパリのブラッスリー。 右:壁のモザイクにも目を向けよう。photography: 左 Mariko Omura
110, boulevard de Courcelles
75017 Paris
営)8:00~22:00(ランチ12:00~15:00、ディナー19:00~)
休)日
https://www.lediplomateparis17.com/
@lediplomateparis17
★Google Map
editing: Mariko Omura