職人技が装ったブーケボトルが秘める、ディオールの香りの3部作「レ レコルト マジョール」。

Paris 2025.10.03

とてもエクスクルーシブな存在で、知った時には手に入れたい香りはすでにソールドアウト! 香りによっては、まだギリギリ間に合うかも......。そんな3つの香りのコレクション「Les récoltes majeures(レ レコルト マジョール)」。スズラン、ローズ、ジャスミンというディオールの美の夢を象徴する花々への賛辞として、メゾンのパフューム クリエイション ディレクターであるフランシス・クルジャンが調合した稀有な香りの3部作である。

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レ レコルト マジョール。メゾンにおける重要な花の収穫を意味している。左からスズラン、ジャスミン、ローズ。各200本の限定販売(1,200ユーロ)。

花そのものの名前が付けられているように、「レ レコルト マジョール」で彼が目指したのは、3つの花それぞれの繊細で儚いオーラを捉えること。ノルマンディー地方のグランヴィル、フォンテーヌブローの森に近いミリー・ラ・フォレ、そして南城仏のラ コル ノワール城でクリスチャン・ディオールが嗅いで幸せを感じた香りを求めたのだ。そのためにグラースのサヴォワールフェールに由来する伝統的な抽出手順に、クルジャンは現代の技術を組み合わせるという新たな方法を用いた。手間と時間と情熱が込められた、いとも贅沢な香りの誕生である。どれも、まるで花畑で摘みたての花が香るように芳しい。スズラン、ローズ、ジャスミンの各花について200本という限定販売で扱いはフランス国内および海外の一部のブティックにおいてというように、「レ レコルト マジョール」はとても特別な香りなのだ。

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ドレスのヘムに縫い込んだり、顧客やスタッフに贈るなど、クリスチャン・ディオールがとりわけ愛した花がスズラン。その中でもフォルタンズ ジャイアントやナントのスズランが彼のお気に入りで、パリの花屋が彼のためにこの品種を温室で一年中育てていたそうだ。彼のスズランへの愛から1956年に生まれた香水がディオリッシモ。スズランは香りを抽出できない花なので、ほかの花や要素でその香りを再構築する必要がある。クルジャンはいまや稀少となったFortin種を見つけ、それをラ コル ノワール城に植えてこの花の香りを捉えることから作業を始めた。

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バラはクリスチャン・ディオールがノルマンディーのグランヴィルで過ごした子ども時代の記憶を宿す花。南仏の家ル・コル・ノワールの庭ではアブソリュートを得たいと願い、何千本もセンティフォリア ローズを栽培していたそうだ。クルジャンは、「蜂蜜が感じられるまろやかさ、フルーティでスパイシーな美しさを放つ花の中に、バラの素のまま、本物のバラの印象を求めました」と語る。

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フランシス・クルジャン。ジャスミンの小さな花において、動物的な面とグリーンの面、フルーティな香りとフローラルな香りが完璧に調和する瞬間がある。南仏グラースのジャスミン グランディフロラムの畑がもたらす、そんな感覚的な陶酔感を伝えたい、というのが彼の調香の願いだった。

香りを収めるのは1956年にクリスチャン・ディオールが香水「ディオリッシモ」のためにデザインした古代の壺のアンフォラ型のボトル。クリスタルボトルの底の部分には、ローズ デ ヴァンのモチーフが浮き彫りされている。このボトルについて特筆すべきは、毎年、卓越した技を持つアルチザンやアーティストによって装いを新たにしてゆくことだ。2025年の初代のブーケボトルは、ディオールのオートクチュールの刺繍を手がけるメゾン ヴェルモンの解釈による3つの花がボトルを飾っている。金色のビーズ刺繍が施された小さな鐘のようなフォルムが愛らしいスズラン、チュールの花弁とピンク色のビーズ刺繍がロマンティックなローズ、花弁を縁取るゴールドのビーズがゴージャスなジャスミン。通常は平面での刺繍作業を行うヴェルモンにとって、これは立体の刺繍という挑戦となった。アンフォラの上に咲く花々には、夢のよう!とうっとりさせられる。季節の花を待つように、自然と芸術が織りなす香りの来年の開花が待ち遠しくなる新しいコレクションである。

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MUGUET

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釣鐘状の花。花弁に施すゴールドのデリカビーズの刺繍は外側も内側も美しく仕上げられている。葉にはヴェルモンを象徴する下に向かって広がる"サンレイプリーツ"を思わせる技術が用いられた。

ROSE

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絹の花弁が重なった上に、淡く繊細なピンクのチューブを刺繍したガーゼの花弁がふんわり。その中央にはビーズを繋げた花芯が。チュールの葉の輪郭と葉脈にもビーズの装飾。

JASMIN

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縒り合わせた真鍮の糸で施した伝統的な刺繍の花弁に、さらにゴールドのデリカビーズの刺繍を重ねて。

Dior
30, avenue Montaigne
75008 Paris
営)10:00~19:30(月~土)、11:00~19:30(日)
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@diorbeauty

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問い合わせ先:
パルファン・クリスチャン・ディオール
03-3239-0618
https://www.dior.com/ja_jp/beauty

 

editing: Mariko Omura

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