
アントワーヌ・クルックの "ありえない、パリジェンヌ"
アントワーヌ・クルック氏の個展のベルニサージュへ行ってきました。
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ヴェルニサージュとは、個展開催の前夜に関係者や知り合いを招待して行われる、オープニングパーティーのことです。アーティスト本人もいらして、アペリティフ&歓談しつつ、作品を鑑賞します。
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クルック氏はティエリー・ミュグレやルイ・ヴィトン、イタリアの超高級ブランド、カバリやヴァレンティノなどのデザイナーとしてだけでなく、パリのクレイジー・ホースの衣装や演出、内装も手掛ける才能あふれるアーティストであり、さらにイラストレーターとしての顔も持ち、フランス版マダム・フィガロにイラストを提供し、本を出版するなど多方面で活躍されている方です。
日本でも、昨年の宝塚歌劇100周年記念公演の衣装は彼が手掛けたものなんですよ☆
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日本人のお母様をもつエキゾチックな顔立ちのアントワーヌ・クルック氏
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個展のテーマは、
"Impossible Parisienne"
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Impossibleは直訳すると不可能という否定的な意味ですが、
Tu es Impossible ! (ありえないよ!)
という具合に、否定的な意味だけでなく、例えば美しい恋人を見て(ありえないくらい美しいよ!)というふうに感嘆の表現としても非常によく使われます。
つまり"Impossible Parisienne" は、
部屋でくつろぐパリジェンヌ、仕事に急ぐパリジェンヌ、ソワレを楽しむパリジェンヌ、ショッピングをするパリジェンヌ・・・・など
クルック氏が想うパリジェンンヌの姿を様々な角度からユーモラスに表現しています。
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それぞれのイラストにちょっとしたパリジェンヌの気持ちが添えてあるのも愉しい。
上のイラストだと"エッフェル塔がピカピカ光るのは5分だけだけど、私は今夜ずう〜っと輝いているのよ"
パリジェンヌは負けず嫌いですから 笑
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印象的に感じた点をいくつか。
まず、日本人のイメージするバゲット小脇に抱えていたり、可愛いだけのパリジェンヌ、愛を語るパリジェンヌとは異なる、パリジャンから観た本物のパリジェンヌの姿が描かれていること。
せかせかと大股で歩いていたり、iPhoneで自分撮りをしていたり、ちょっとストレス気味で不機嫌だったり、ショッピングで真剣に品定めしている姿が、日本のマスコミが発信するパリジェンヌのイメージをいい意味で裏切ってくれるのが新鮮です。
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そして、パリジェンヌと一緒にエッフェル塔がたくさん描かれていること。
何年住んでも、毎日眺めているにもかかわらず、エッフェル塔を見るたびに感激する私ですが、パリに来たツーリストや外国人がエッフェル塔を見て「ステキ!パリだわぁ〜」と感激するように、やはりエッフェル塔はパリジェンヌにとっても、自分がパリで生きていると感じさせてくれるシンボルなのかしら。
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最後に、どのパリジェンヌもセクシー。パリジェンヌにとってセクシーでいることはとても大切♥︎
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イラストの他にも色々と展示されていました。
パリ6区にあるエルメスとシャネルを専門に扱うビンテージショップ 〈 Les 3 Marches 〉のマダム Bカトリーヌへ贈ったケリーバック。
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La Parisseuse(怠け者)と描かれたクッション。ソファーでくつろくパリジェンヌの指輪やブラに本物のビジューが付いていてすごくかわいい!
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東京のファッションや風俗、そしてパリのクレイジーホースの衣装をイラストと文章でつづった本も。
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どのイラストもクルック氏のパリジェンヌへの愛が感じられるのがすごくいいです。いきいきと人生を謳歌するパリジェンヌ達。「そうそう、こんなパリジェンヌいる〜」と、とても愉しく見させていただきました。
何より、彼自身がとっても愛情深いチャーミングな方なので、イラストを通して彼の人柄も感じられる展示でした。
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2月末まで開催されているので、ぜひクルック氏の描く愛すべきパリジェンヌに会いに行かれてみてはいかかでしょうか o(^-^)o
〈 info 〉
La Galerie Arludikにて2月28日まで開催
12-14 rue Saint-Louis en l'Île
75004 PARIS
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Antoine Kruk
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