
NODA・MAP "エッグ"パリ公演☆
パリ国立シャイヨー劇場で野田秀樹 作・演出、出演する舞台「エッグ」を観劇してきました。
野田さんの舞台は何回も観ていますが、いつもながら破天荒な設定で展開される、オリジナリティーの高いストーリーについていくのが大変ながらも最高に面白く、また久しぶりに観る日本語での舞台にどっぷりと濃い時間を過ごしました。
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改装中の劇場で寺山修二の書きかけの戯曲が発見され、戯曲に書かれた物語の世界へ入っていく・・・という物語。
エッグというスポーツがまだオリンピックでは公式認定されてはいないが、次回の開催予定地の東京オリンピックでの認定と出場を掛けて、中村トオルが演じる粒来幸吉(つぶらいこうきち)と妻夫木聡が演じる阿倍比羅夫(あべひらふ)のスター選手、さらに深津絵里が演じる苺イチエとの人間関係を軸に展開していきます。
中盤までエッグというスポーツが観客に説明されないまま進んでいきますが、徐々にエッグがどういうスポーツか、エッグが生まれた由来、選手の自殺、満州での日本軍の行った人体実験などが明らかに。さらに時代が、《現代》《東京オリンピックが開催された1964年》《日中戦争で本当は行われるはずだった東京オリンピックが中止された1940年》と時代があっちこっちへ飛ぶので、集中して観ていないと分からないことになってしまいます。
ユーモア溢れる場面からシリアスな場面へ急に切り替わるストーリーの急展開、時代の変化、心情。
たくさんの要素が一つにまとめられているので、全部理解して醍醐味を十分に味わうためには、正直もう一回観たいです。
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俳優達の演技もすごくよかったです!
妻夫木聡、深津絵里、中村トオル、橋爪功、秋山菜津子、大倉孝二、藤井隆、野田秀樹、と豪華メンバーが好演。
まず中村トオルの肉体美がすごいんです(笑)なんて美しい身体なの・・・と目が釘付けでした。
楽曲を担当した椎名林檎のメロディーを歌う、深津絵里の声が透明感があり、かわいくて、素敵でした!
そして、個人的にものすごく嬉しかったのは藤井隆!
苺のマネージャー役をされていて、歌ったり踊ったりの独壇場があるのですが、彼が出てくるとシャイヨー劇場が吉本新喜劇に(笑)
ワクワクしたのは、昔、吉本でハイテンションで歌って踊る藤井隆が大好きだった私だけ?
パリで藤井隆を観れるなんて、と感激でした。
けれど、関東出身の人やフランス人には彼のよさがイマイチ伝わっていなかったようで悔しいー。
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少々残念だったのが、会場が大きすぎたのか、特に序盤は声の聞き取りにくい役者さんがいらしたこと。
また、フランス語字幕が舞台の高い位置にあり、フランス人の方は字幕を読むと舞台の展開を見逃してしまい、分かりづらかったのでは、と思います。展開がとても早いので、舞台の役者達の動きを観つつ、台詞を聞き漏らさないようにしないと野田さんの舞台は分かりづらいはず(私だけかもしれませんが・・・) 途中帰られるフランス人の観客が何人かいらしたのも、そういう理由では、と残念に思いました。
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休憩なしで2時間ぶっ通しの野田秀樹の世界。
それを連日こなす俳優達は凄いパワーですが、観客の私も終わった後はぐったり ^ ^;
劇場の外へ出ると、エッフェル塔。一仕事終えたように、夜風が心地よかった〜
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