CHICHI PARIS ~パリに住むエステティシャンのblog~

パリのモロッコ料理

前ブログのアントワーヌの個展のオープニングパーティーが開かれたギャラリーは、東駅から近い10区のストラスブール=サンドニにあります。先日ジャン=リュック・ゴダール監督の映画『女は女である(Une femme est une femme)』を見たら、ストリップダンサーのアンナ・カリーナ演じる主人公が恋人と同棲しているアパルトマンがあるのがストラスブール=サンドニでした。つまり歓楽街で移民が多くちょっとごちゃごちゃした雰囲気なんですが、エスニック料理屋さんが集まっている界隈でもあります。

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ギャラリーの場所を聞いた時から、パーティーの帰りにモロッコ料理店「Zerda cafe」で夕飯を食べようと楽しみにしていました♪
一緒に行った友人は毎日のように高級レストランで食事している人なので、パリに長年住んでいてもまずこの界隈に来ることがなく「あんまり好きな雰囲気じゃない〜。早くタクシーで帰ろう」を連呼していました。案の定、モロッコ料理を食ようと言った途端に「マラケシュの〇〇ホテルで食べたクスクスは美味しかったけれど・・・。」と、明らかに躊躇しているのを、半ば無理やり引っ張って入店。だってもう予約しておいたんだもの〜(^_^;)
 
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(写真はZerda cafeのHP https://zerdacafe.fr/frから使用しました)
 
Zerda cafeは雰囲気や内装はごく普通なので、あまりモロッコ料理を食べ慣れない日本人の知人と来るなら別の店を選ぶことが多いけれど、味で選ぶならここのクスクスが一番美味しいと思う。
 

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モロッコ産のワインを頼んで、前菜は鳩のバスティラ。甘塩っぱくスパイシーな鳩肉のミートパイでシナモンや粉砂糖がかかっています。オーダーのときSが「昨日のディネは3つ星レストラン〇〇でピジョン(鳩)を食べた」と言ったので、3つ星の鳩とここの鳩を比べる気かしらと懸念していたら、パクリと食べて「Super bon!(うまい!)」

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バスティラを食べてこの店が気に入ったS。ラム肉や肉団子、メルゲーズなどが添えられた、この店のスペシャリティー「クスクス・ゼルダ」が運ばれてきた頃には上機嫌になりました。

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20年以上前、クスクスという料理名を聞いたことすらなかった私は、愛読していた料理雑誌でクスクスのシレピを発見。外国の食材専門店でスムールとハリッサを買って来て、レシピ通りにボールに入れたスムールに熱湯をジャーと注ぎ、ひとかけらのバターを加えて、布巾をかけて10分間放置。スープはビーフブイヨンを溶いたお湯にトマトの水煮とセロリ、人参、ズッキーニ、ひよこ豆、鶏肉、ソーセージを入れて1時間ほどグツグツ煮込みました。そして、写真通りにシチュー皿にスムールをよそってスープをかけて、食べてびっくり。

「全然美味しくない!!!!」

レシピ通り作ったのに、スムールは固くぼそぼそ、スープは味の薄いトマト味、ソーセージは全く調和していなかった・・・。今思えば、メルゲーズの代わりにソーセージを使い、鶏肉もソーセージも一緒に煮込んで(本来はスープと煮込まない)クスクスを蒸す代わりに熱湯を注いでふやかしたりして美味しいわけがないのですが、そのくらい日本ではモロッコ料理が知られていなかったというお話。

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その後パリに住みエステの学校に行き始めたら、モロッコ人やアルジェリア人のクラスメートのお母さんが作るクスクスやタジンをご馳走になる機会が何度もあり、奥の深い美味しさと日本でレシピで作ったクスクスの違いに心底驚いたのでした。

Zerda cafeのスムールはふっくら蒸されていて、スープもさらっとしているけれど濃厚な旨味があり、ここのクスクスなら毎日でも食べられると思うほど好き。Sは心配になる程何度もお代わりしてお腹が張って動くのが辛そうで、最後はミントティーすら喉を通りませんでした(笑)

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Zerda Café 

15 Rue René Boulanger, 75010 Paris

chichi

立神詩帆 / Shiho Tatsugami
2002年渡仏。エコール・フランソワーズモリスで学び、エステティック・コスメティックCAP国家資格を取得。2011年からパリ7区でエステサロンCHICHI(シシィ)を自営。All About のフランス流美容ガイドとして、パリジェンヌから学ぶ美容情報やライフスタイルに関するコラムを掲載中。
好きなものは、フランスの食文化、1日の終わりのアペリティフ、アルゼンチンタンゴ、旅。

www.chichiparis.com
https://allabout.co.jp/gm/gp/1693/
Instagram: @chichi_paris7

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