CHICHI PARIS ~パリに住むエステティシャンのblog~

フランス人の子育て

8月に2週間ブルターニュでバカンスを過ごしたときのこと。前半は知人がひと月前に購入したばかりの別荘に招待してくれたのですが、奥さんは入院中のお祖母さんに会うためノルマンディーに発っていて、到着したときにはご主人と8ヶ月の女の子アリスと3歳の女の子ルイーズが待っていました。

私達が到着するまでの1週間の間、幼い娘二人の面倒を看て、買い物や準備を整え、家の修理や手入れでてんてこまいになっていた彼は私達が到着するや「協力してくれ。料理・アリス・ルイーズのどれがいい?」

というわけで、一番楽そうだと引き受けたルイーズの子守でしたが後から激しく後悔することに。3歳児って動き回るのね・・・。

ブルターニュといえば海!海を見下ろす高台に家があり、歩いて数分でビーチに行けるのに、生憎お天気があまり良くなくてビーチに行ったのは一度きり。殆ど家でルイーズの相手をして過ごしました。

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幼い子供がいるフランス人の友人達とバカンスを一緒に過ごしたことは何度もありますが、フランス人の子供の躾や扱いは日本とちょっと違います。子供優先の日本の教育に対してフランスは絶対に大人優先。大人の都合で子供の人格は無視されることも珍しくない。まずもって母親が幼子二人置いて1週間以上も家を空けるのは日本人なら変に感じるかもしれないけれど、足手まといになるから置いて行った方が良いと考えるのがフランス人です。

*フランス流子育てその一

ゆうことを聞かないと、「アーン・デュー・トワーッ(日本語でいーち・にー・さーん)」とカウントが始まり、トワまでにちゃんとしないとペシッとお尻を叩かれる(もちろん軽くポンっと叩く程度です)。

ルイーズの場合、お尻ペンペンの他に、サルドバン(浴室)に閉じ込められる、すぐベットに行って寝なくてはならない、アペリティフ抜きパターンがありました。昔子犬を飼い始めたとき犬の躾の先生から、悪さや悪戯をしたら「サルドバン!」と怒鳴って犬を浴室に閉じ込めるように指導を受けたから、ルイーズは犬と同等な扱いなのかぁ・・。彼女にとっていちばん辛いのがアペリティフ抜きの刑。このお宅では昼と夜の食事前に必ずフォアグラや生ナム、パテなどかなり豪華なアペリティフをする習慣があり、好き嫌いなく何でも食べる食いしん坊の彼女にとって相当ショックなようで大泣き(>_<) こうして幼い頃からアペリティフが大好きなフランス人に育って行くんだろうなぁ。

ルイーズのパパは典型的なフランスの子育てをする人で結構厳しい。日に幾度も「アーン・デュー・トワーッ」をするので、ルイーズもすっかり慣れたものでアーン・デューでは動揺せず、トワーで猛ダッシュで行動していたし、罰を受けて大粒の涙をこぼして泣いてもすぐにケロっとしてまた悪戯を繰り返して懲りないようでしたが、それでもパパの「アーン・デュー・トワーッ」が始まるとビクッと緊張していました。

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*フランス流子育てその二

子供は絶対にひとりで寝る。

フランス人の子供は生れたときから子供部屋でひとりで寝るというのはよく知られていますが、これってかなり大人の都合ですね。寝る時間帯が違うから子供の眠りを邪魔しないためとか自立心を養うというのが建前だけれども、本音は大人が邪魔されたくないということだと思う。ルイーズはパパが本を読んで電気を消したらちゃんとひとりで寝ていて、暗闇で寝るのが最近まで怖かった私よりずっと大人だなぁと感心。

びっくりしたのは8ヶ月のアリス。アリスの部屋がまだ工事中で出来上がっていないため、2つあるサルドバン(浴室)のひとつにベビーベッドを置かれていてそこで寝ていました。両親の広い寝室は浴室のすぐ隣なのに、頑なに浴室で寝かしつけるパパ。8ヶ月のベベには浴室も寝室も分かんないからと言ってたけれど、真っ暗な浴室で寝るなんて大人の私でも嫌だ!子供達が寝ている様子はベビーモニターで常に確認していたけれど、アリスが目を覚ましたり泣いてもあやしに行かない。泣くたびにあやしに行くと朝までちゃんと寝られない子になったり夜泣きする子になってしまうんだそう。泣き疲れて再び眠りに落ちてたけれど大丈夫なんだろうか・・?

ルイーズは時々夜泣きしていたけれど、その度に「夜中に声を立てたら皆んなが起きるから静かに寝なさい!」とむしろ叱られていました。

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*フランス流子育てその三

愚図ったら寝かす。

その後子供達のママが戻ってきて、さらに近所に住む彼女の両親も毎日やって来て賑やかになり子供達も大喜び。ところが、子供達が食事中にちょっとでも愚図り始めたり機嫌が悪くなったら「疲れているんだ!」と速攻でベットへ連れて行ってしまうジジババ。ルイーズは眠たくないと愚図ってサロンに戻ってきてしまい、さらに「オララー。そんなに疲れているのね。可哀想なべべ!」とベットへ強制送還(汗)要は大人の食事を邪魔して欲しくないということなんですが、3歳なんだしそんなに寝られないよねぇと可哀想でした。

私の知っている両親共にフランス人の家庭はどこも似たような感じです(もちろんそうでない親も大勢いると思いますが)。スキンシップと愛情表現は欠かさないし、ママに掛かるストレスや負担も少ないなど、フランス人の子育てには良い点も沢山あるけれど、常に大人の生活に合わせなくてはならないフランスの子供はなかなか大変です(^_^;)  

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話が変わりますが、本場のクイニーアマンはすごく美味しい!ブルトン(ブルターニュの人)は皆んな、バターと砂糖の塊で太るから3ヶ月に1個食べたら十分だと言うけれど、大きいサイズのクイニーアマンはパリでは見かけないし、こんなに美味しいのはパリでも食べられないからほぼ毎日食べていました(^ ^)

chichi

立神詩帆 / Shiho Tatsugami
2002年渡仏。エコール・フランソワーズモリスで学び、エステティック・コスメティックCAP国家資格を取得。2011年からパリ7区でエステサロンCHICHI(シシィ)を自営。All About のフランス流美容ガイドとして、パリジェンヌから学ぶ美容情報やライフスタイルに関するコラムを掲載中。
好きなものは、フランスの食文化、1日の終わりのアペリティフ、アルゼンチンタンゴ、旅。

www.chichiparis.com
https://allabout.co.jp/gm/gp/1693/
Instagram: @chichi_paris7

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