CHICHI PARIS ~パリに住むエステティシャンのblog~

寂しいモンテーニュ通り

外出制限も40日を超えて、緊急事態が今やすっかり日常になり、時間があるぶん時間の感覚や体のリズムもゆっくりになってるように感じます。

経済活動の縮小とロックダウンで世界的に大気汚染が軽減していますが、パリも澄んだ青空が戻り透明度が上がっています。私の住んでいる辺りまで白鳥がやって来ることは滅多になかったのに最近は毎朝のようにセーヌ川の水面に白鳥が浮かんでいて、多種類の鳥も見かけるようにもなりました。パリ近郊や地方都市でも野生動物の目撃情報が増えているそうですが、街から人や車が消えて自然が戻ってきているのかもしれません。

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川沿いをジョギングする人が多かったので、モンテーニュ通りを走ってみました。高級ブランドショップやホテルが立ち並ぶ通りで、オフィスやショップが多くて住宅が少ないので殆ど人がいないし、人と人の距離感も気にしなくてもいいので穴場です。3月のファッションウィーク頃まではファッション関係者やブランドショップに並ぶツーリストの姿を見かけたけれど、今ではすっかり様変わりしてジョギングや散歩をする人が時おり通り過ぎるだけです。

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ホテルプラザ・アテネも休業中ですが、窓の庇を交換したり植木の手入れなどメンテナス作業をしていました。

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話が変わりますが、外出制限が始まってから気が付いたことのひとつに近所に銅像や記念碑が多いことがあります。以前は気にもしていなかったけれど、時間がある今は彫ってあることを読んだり家に帰って調べたりしているのですが、この日は献花している方がいて、見ていたらアルメニア人ジェノサイド(1915年から1916年にかけてのオスマン帝国政府によるアルメニア人虐殺)の生き残りの司祭であり音楽家のコミタス・ヴァダペット氏の銅像だと教えてくれました。アルメニア人ジェノサイドはフランスでは有名で、フランスとトルコの関係が悪化している理由のひとつでもあり、最近では4月24日をジェノサイド追悼記念日だと定めたマクロン大統領をトルコ政府が非難していました。この日はその4月24日だったので平和を願ってパリ在住のアルメニアの方が献花に来られていたんです。

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そういえば先週不思議なことがありました。アルメニア人のお客さまが夢に出て来るので何となく気になって彼女の身の回りの世話をしている方に連絡したら、三日前に亡くなっていたことを知りました。ご高齢だったし長い間自宅療養されていて、動けなくなってからは月に一度程爪の手入れを頼まれて御宅に伺っていました。外出制限が出る直前に御自宅に伺ったときの様子でもう長くないかもしれないと薄々感じて心配していましたが、偶然とはいえ夢を見た翌日か翌々日に亡くなっていて驚きました。こんな偶然ってあるんですね。私が今の仕事を始めて直ぐに予約してくださったお客さまで、5、6年前までは調子の良い日はお手伝いさんに付き添われてサロンにお越しになっていて、両親とパリに移住してきた経緯やジェノサイドの話もしてくださったこと等を思い出して、そっと手を合わせてご冥福を祈りました。

chichi

立神詩帆 / Shiho Tatsugami
2002年渡仏。エコール・フランソワーズモリスで学び、エステティック・コスメティックCAP国家資格を取得。2011年からパリ7区でエステサロンCHICHI(シシィ)を自営。All About のフランス流美容ガイドとして、パリジェンヌから学ぶ美容情報やライフスタイルに関するコラムを掲載中。
好きなものは、フランスの食文化、1日の終わりのアペリティフ、アルゼンチンタンゴ、旅。

www.chichiparis.com
https://allabout.co.jp/gm/gp/1693/
Instagram: @chichi_paris7

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