CHICHI PARIS ~パリに住むエステティシャンのblog~

ラ・パイヴァ伯爵夫人のお屋敷で、ツール・ド・フランス観戦

パトリモワンヌ(ヨーロッパ文化遺産の日)の日曜日は、友人達とエリゼ宮殿を見学した後、友人夫婦が「倶楽部で皆んなでシャンパンを飲みましょう」と誘ってくれてラ・パイヴァ伯爵夫人の館 (Hôtel de la Païva) に連れて行ってもらいました。

この日はシャンゼリゼ通りで行われるツール・ド・フランスの最終日でもあり、エリゼ宮とシャンゼリゼ通りは目と鼻の先ですが、警備のために周辺の道が通行止めになっていて、遠回りしてシャンゼリゼ通りにあるラ・パイヴァ伯爵夫人の館に歩いて行くことに。前日に日本大使館から、ツール・ド・フランスのためにシャンゼリゼ通りは5千人の観客がシャンゼリゼ通りに入った時点で閉鎖するとメールが来ていましたが、予想に反して拍子抜けするほど閑散としていました。

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さて、久しぶりに訪れたラ・パイヴァ伯爵夫人の館。ラ・パイヴァ伯爵夫人( 1819-1884 )が彼女が住むために建てた屋敷で、現在は男性限定の倶楽部として使用されています。倶楽部と言っても日本でいう美しいホステスさんがいてお酒を注いでくれるクラブではないですよ(笑)実業家やビジネスマンなど一定の条件を満たした者だけが会員になることができるラグジュアリーな施設のことです。 ビジネスの話をしたり、食事をしたり、ゲームを楽しんだり、紳士の社交に使われていたことから、昔から女性禁制でその伝統は今も続いていて、パリにはこのような男性限定の倶楽部がいくつかあるそうです。

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現在は会員と同伴で女性も施設を利用できるそうで、友人夫婦に誘ってもらって何度かここを訪れる幸運に恵まれていますが、何度来ても本当に素敵な屋敷です。ムッシュー達がお酒を片手にビリヤードやチェスに興じたり、新聞を読んで寛いだり、優雅な世界が広がっています。

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ビリヤード室(上)とサンルーム(下)。女性らしいやわらかな雰囲気のサンルームが一番好きな部屋♡

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水とお湯が出るそれぞれの蛇口、そしてシャンパンや香水が流れるようになっていたと想像されている3つ目の蛇口が付いた大理石の浴槽がある美しい浴室。

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モスクワ出身の貧しい少女が、裕福になることを目標に掲げてパリでクロチザンヌ(高級娼婦)になり、お金持ち・お年寄り・病身の三拍子揃った(?)男性と結婚を繰り返し、その度に富を手に入れて最後には伯爵夫人にまで登りつめたラ・パイヴァ。贅を尽くして建てた屋敷には、彼女に招待された文化人らが集うようになり、彼女は文化サロンの女主人としても人気を博したそうです。エリゼ宮殿もルイ15世の公妾だったポンパドゥール夫人の屋敷として使用されていたし、昔は女性が成功するには男性を利用する他に成功する道がなかったのかも(最もポンパドゥール夫人はブルジョワ階級出身ですが)。

対照的に、オペラ「椿姫」のヴィオレッタはクロチザンヌとして優雅に暮らしていたのに、純真な青年に恋をしたばっかりに富を失い、病を患い死んでしまう悲しい結末。イタリア語の原題は「堕落した女(「道を踏み外した女」)」を意味するLa Traviata(ラ・トラヴィアータ)で、フランスで上演されるときも必ずLa Traviata(ラ・トラヴィアータ)です。純粋な恋に目覚めることが、クロチザンヌにとっては堕落や道を踏み外したことになるなんて可哀想に・・・。ラ・パイヴァ伯爵夫人の「私なら絶対にそんなドジは踏まないわ」という笑い声が聞こえてきそうです (^_^;)

***

シャンパンを飲んで、昼食を食べて、お喋りしていたら夕方になったので、せっかくならこのままツール・ド・フランスの選手達が来るのを待つことにしました。

シャンゼリゼ通りに面した屋敷のテラスは特等席。嬉しい!

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選手の到着前にシャンゼリゼ通りを行き交うスポンサーの宣伝カー。事業内容がめちゃくちゃ分かりやすい(笑)

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5時半にようやく選手が到着。長時間待っていたのでやっと見れると目を凝らしていたのですが・・・

ピューン=3、ピューン=3、ピューン=3

と、あっという間に選手の群れが目の前から消えた。

な、な、何!?このスピードは?

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選手はシャンゼリゼ通りとチュイルリー宮殿の間を8往復しますが、目にも止まらぬ速さで疾走。凱旋門の様子ですが、まさに目に映るのはこんな光景で、何処にどの選手がいるのかなんて全く分かりません。初めて生で見たけれど、テレビで見るのとは全然違う迫力に驚愕しました。

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優勝者はダディ・ポガチャルという22歳のスロベニアの選手で、シャンゼリゼ通りは最後まで観客が少なく閑散としていましたが、スロべキアの応援団は白・青・赤色の国旗を掲げて大喜びしていました)^o^(

エリゼ宮の見学とラ・パイヴァ伯爵夫人の屋敷のテラスからの人生初のツール・ド・フランス観戦と、夢のような一日でした。きっと一生忘れない大切な思い出になるでしょう。

chichi

立神詩帆 / Shiho Tatsugami
2002年渡仏。エコール・フランソワーズモリスで学び、エステティック・コスメティックCAP国家資格を取得。2011年からパリ7区でエステサロンCHICHI(シシィ)を自営。All About のフランス流美容ガイドとして、パリジェンヌから学ぶ美容情報やライフスタイルに関するコラムを掲載中。
好きなものは、フランスの食文化、1日の終わりのアペリティフ、アルゼンチンタンゴ、旅。

www.chichiparis.com
https://allabout.co.jp/gm/gp/1693/
Instagram: @chichi_paris7

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