CHICHI PARIS ~パリに住むエステティシャンのblog~

懐かしい夏の食事会

フランスは秋のバカンス中です。夜9時以降が外出禁止になり、レストランやホームパーティーに行くこともすることもすっかりなくなってしまいました。

うーん、まるでイソップ寓話の「アリとキリギリス」のような展開かも(^_^;) 日本人がゴールデンウィークも夏休みも旅行や外出を控えて働き続けている間に、フランス人はバカンスだ、パーティーだ、イベントだと遊んで楽しく過ごしました。やがて、感染者数を抑えられている日本に対して、第二波が来て感染者数が爆発的に増加し経済の危機に面しているフランス。この機会にフランス人が心を入れ替えて、マスクもしないで集団で楽しむ若者達(←個人的には彼らが一番の原因だと思っていますが)やバカンスの移動を控える人が増えると変わるのかもしれませんが、もうすぐやってくるのがフランス人にとって一年で最も大切なイベントの親族の集まり、続く大晦日のパーティーで、このトンネルから抜けることができるのは一体いつのことやら・・・。国民性の違いなので比較しても意味がないけれど、フランス人が必ず言う「 il faut vivre!(生きなくては!)」は、COVID-19と共に生きるというよりも、バカンスに行ったり楽しんで生きる権利があるという意味合いで使う人の方が強い気がします。

ちなみに「アリとキリギリス」のタイトルはフランスでは「アリとセミ」。どうせ夏が終わると死んじゃうセミならば、せっせと働かず遊んだ方が人生は楽しいのかも・・?!

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こんな前置きの後でなんですが、夏のバカンスの後に日仏のご夫婦宅で頂いた食事が素晴らしかったので、それについて綴りたいと思います。彼らともこの食事会以来会えてなくて、近頃は写真を見ながら夏の楽しかった思い出に浸っています。

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これから頂く食事が楽しみになる、ナプキンやお皿がセンス良くセットされたテーブル。テーブルセッティングのテーマは「鳥といちご泥棒」ということで、男性にはウイリアム・モリスのいちご泥棒柄のナプキン、女性には苺柄が刺繍されたナプキンが用意されていました。アンティークの水色のグランスも夏らしくて素敵♡

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食卓と同様に家のデコレーションも、小さなオブジェひとつひとつがこだわって選び抜かれていて、彼女のメルヘンな世界が広がっているんですよ。

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歓喜をあげたカラフルなトマトのマリネサラダは、マリネ液に一晩漬け込まれたトマトが甘酸っぱくて爽やか。大きなトマトの中に入っているのはタブレで、ちょこんと乗ったミントの葉もかわいい。

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金粉が乗ったバターが個人のお宅で出てきたのは人生で初めてです。バターはお皿に移すだけで、ヨーグルトが入っていた容器に塩を入れて、コショウもキッチンのペッパーミルのままテーブルに出している我が家となんという違いなんだろう。それを平気でお客さまに出していたことが恥ずかしい・・・。

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ホタテのお刺身(イクラにも金粉!)やタコの酢の物、シソで色付けしたポテトサラダ、ガスパチョの美しい前菜プレート。フランス人のお宅に呼ばれると、大抵は前菜もメインも大皿に盛られていて各自が自分の皿に取り分けるスタイルなので、繊細な盛り付けにフランス人も驚いて目を丸くしていました。

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お肉料理は豚の角煮。添えられたエリンギが柔らかく煮た豚肉とよく合っていてものすごく美味しい。私は豚の角煮に煮卵を付けることが多いけれど、今度作るときはエリンギも加えよう。さすがフランス人の好きな味のツボを抑えているおもてなしの達人の彼女!甘めのコッテリした味付けの料理を好きなフランス人は多くて、豚の角煮はフランス人に喜ばれること間違いなしの料理だと思います(^o^)

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デザートはパティシエ界の王子様☆セドリック・グロレのオペラ店のパリブレスト。シュー生地ではなくてタルト生地にアレンジされていて、その分プラリネクリームの量が多いので、日本人にはちょっと重めに感じるかも?=フランス人には丁度良い感じかなと思いますがこれは好みですね。味はもちろん最高です♡

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話が変わりますが、彼女が大好きで食事会でも使われていた白い食器は、食器好きな方ならすぐにお気づきかもしれませんがAstier de Villatte(アスティエ・ド・ヴィラット)というパリに本店があるブランドの物だそうです。夏のバカンスを過ごしたリュベロン山地の、ルールマランという村で見かけて似ているなぁと思っていたのです。ルールマランはアルベール・カミュが住んでいた村として有名ですが、センスの良い雑貨屋さんが沢山あることでも有名なんだとか。温かみのある質感で女性らしさが感じられる食器ですね。

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テーブルコーディネートもお料理も参考にしたいことばかりで、私も彼女のようにゲストが居心地良い空間と、目にも舌にも美味しい料理を作れるようになりたいな。自由にまた食事会ができる日が早く戻って欲しいです。

chichi

立神詩帆 / Shiho Tatsugami
2002年渡仏。エコール・フランソワーズモリスで学び、エステティック・コスメティックCAP国家資格を取得。2011年からパリ7区でエステサロンCHICHI(シシィ)を自営。All About のフランス流美容ガイドとして、パリジェンヌから学ぶ美容情報やライフスタイルに関するコラムを掲載中。
好きなものは、フランスの食文化、1日の終わりのアペリティフ、アルゼンチンタンゴ、旅。

www.chichiparis.com
https://allabout.co.jp/gm/gp/1693/
Instagram: @chichi_paris7

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