コンフィヌモン(外出制限)が明けました
ノエルは商店にとっては一年で一番大切な時期です。「このまま営業禁止が続くのか・・いやいや、やっぱりノエルには再開できるだろう」と全ての商店が予想していた通り、ようやく先週の土曜日にコンフィヌモンが解かれて仕事を再開することができました。
「仕事できなくて辛いでしょう?」何度となく聞かれた質問ですが、実は春のコンフィヌモンに続き2回目ともなると家でのお籠もり生活にすっかり慣れてしまい、前回はストレスを感じたり悪夢を見たりしたのに比べて、今回は(もちろん仕事の悩みはあるけれども)毎日家で楽しく過ごしていました。在宅ワークをしている方には申し訳ないけれども、趣味や前からやりたいと思っていたことに没頭していると1日があっという間に過ぎてしまうという充実したひと月で、マクロン大統領の演説を聴いて「えっ、もう終わってしまうの?!」と焦ってしまいました。
早速花屋さんにはモミの木が並んでいます。飲食店は変わらず営業禁止(お持ち帰りや配達はOK)で閉まっているので、ちゃっかり隣のビストロの前にも並べています。
そんなふうにのんびりと暮らしていた反動は再開初日の土曜日にやって来ました!!
嬉しいことに早朝から本当に沢山のお客さまが来てくださって、朝7時半から夜8時まで休憩する暇もなく仕事をして家に着いたのが8時半。クタクタに疲れてシャワーを浴びていたら電話がリーン。アパルトマンの別棟の住人Sの友人M夫婦からで、Sから深刻な相談があるから来て欲しいと言われて来たのに家にいないんだけど・・・とオロオロ声。Sには持病があり、前に家で一人のときに倒れたことがあるから心配だし、30分も前から呼び鈴を何度も鳴らしてドアもノックしているけど全く応答がないし、電話も通じない。「絶対におかしい。中で倒れてるかも?!」「ええー。それは大変!」と、管理人さんに事情を話して鍵を持って来てもらったら、なんてことはない。Sは大きなイビキをかいて寝ていました(爆)お酒の匂いをプンプンさせて。お昼にワインを2本とラム酒を飲んだらしい。
無事でよかったと胸を撫で下ろす一同をよそに、Sは大酒飲みだからどうせこんなことだろうと思ったと心の中で呟く私。昼食を食べていなくてお腹がペコペコで死にそうだったので「さっ。ご飯食べようっと」と帰ろうとしたら「今晩のメニューは何なの?」と聞いてくるM。わざわざ子供を両親に預けて来たMの奥さんは疲れた顔で「私もお腹減ったわ。Sも無事だったし、私らはマクドナルドでもテイクアウトして車で食べようか」。
「あの〜。よかったらうちでご飯食べていく?」と、ここで提案しないでいられる人がいる?!
すぐにご飯を食べてベットに直行したい気持ちだけれども、子供達を両親に預けて郊外から来たM夫婦が気の毒になってしまったのでした。その日の晩ご飯はガルビュール(白いんげん豆、キャベツと塩漬け肉を一緒に煮込んだシチュー)で、買い置きの鴨コンフィを加えたら人数が増えても問題ない。
というわけで、外出制限が解けた日に早速成り行きとはいえM夫婦と寝起きでお腹が減ったSと食事をすることになってしまいました。皆んなで食事してもよいのかな?6人まではOKだっけ?他の人と食事をするのは久しぶり過ぎてドキドキ。
今日一日働いたご褒美に飲もうと思って楽しみにしていたキュベ・ダイヤモンドのマグナムシャンパンとトリュフ入りのブーダンを皆んなに出して、大急ぎでキッチンに立つ。さっきシャンパンを飲みながらMの奥さんが肉は一切食べないと言ったのだ。がーん。マクドナルドはフィレオフィッシュをテイクアウトという意味だったらしい・・・。
幸い朝にマルシェで買った魚があったので、皆んながアペリティフをしている間に、Mの奥さん用に魚とウイキョウをバターで焼いてパスタを茹でて、ガルビュールに鴨のコンフィも加えて温めました。
年末に作られる大好物のアルノー・ニコラのトリュフ入りブーダン・ブロン。焼いてもよいけれども、そのまま切って出すとアペリティフのお供になります。
テーブルクロスを広げてナプキンと食器を並べていたら、Mの奥さんが「わざわざ私のために料理しなくてもいいし、紙ナプキンで十分よ!」と。すかさずSが「大丈夫。この家はいつも布ナプキンだし、食べ物もちゃんと出してくれるから♪」お前が言うなー(怒)
冷蔵庫にあったスモークサーモンとタラマの前菜の後で、メインのガルビュールをモリモリ食べて、デザート(アイスクリームとフルーツとチョコレート)も食べ終えたら午前1時半。眠気で瞼がくっつきそうになりながらハーブティーを用意して戻ったら、男性達が葉巻の準備をしているところでした。葉巻は1時間はかかるので長くなるぞぉ・・・(泣)すると、とうとうキレたMの奥さんが「男どもは長尻でキリがないから片付けてしまうわよ!」と、テキパキと次から次へとテーブルの食器をキッチンへ運び、キャンドルを吹き消して、音楽を切り、あからさまに終了ムードへと持って行ってくれたおかげで2時にはM夫妻とSは帰って行きました。ふー。後片付けをしてベットになだれ込んで目をつぶったらそのまま夢の国へ。
こうして、仕事再開初日は長い長い一日になりました。なんで皆んながあんなにはしゃいでいるのかと不思議だったけれども、実は数ヶ月ぶりの皆んなで食べる食事がめちゃくちゃ嬉しかったらしい。フランス人にとって自由に食事会ができない今の状況は想像以上に辛いことなんですね。そして、お酒が抜けて反省したSがお詫びにと翌日持って来たベルナルドの食器に忽ち機嫌を直して、優しく許してあげたのでした( ^ω^ )
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