CHICHI PARIS ~パリに住むエステティシャンのblog~

Kobe-Gyuとカーペントラのトリュフ

今日1ヶ月半ぶりに会ったムッシューJの雰囲気が今までと何かが違う。顔が晴れやか。「何か良いことがあったの?」と声を掛けたら、なんと離婚以来15年ぶりに恋人が出来たという。お相手はときどきカフェや食事に行く間柄だった30年来の友人で、あるとき突然友情が愛情だったことに気付いて急接近。今ラブラブらしい。偶然にも昨日サロンにお越しになったいつも塞ぎ込んでいた未亡人のマダムも、打って変わって急にウキウキと足取りも軽くやって来てキレイにしてほしいと言う。一体何があったのかと思ったら、外出制限でひとりでいるのが辛くなり40年間会ってなかった元彼に電話してみたら、相手も離婚してひとりで昔話に花を咲かせているうちにあっと言う間に話がまとまってボルドーの彼の家で1週間一緒に過ごすことになったというのだ。40年間音信不通でどうやって電話番号をゲットしたのか気になるけれど、人生何が起こるかわからないもんですね。しかも一回りも年下だって。Jは70代、マダムは80代。まさに何歳になっても『ラブ・ストーリーは突然に』を地で行くフランス人。コロリと人を変えてしまう愛の威力は素晴らしい!

そして、Jは先日のバレンタインはドーヴィルのホテル・バリエール・ル・ノルマンディ(ノルマンディー地方の高級ホテル)に1週間彼女と宿泊して、ルームサーヴィス(コロナでレストランは営業していないのでホテルの食事はルームサーヴィスのみ)でバレンタインの特別ディナーを食べたり海辺を散歩したりして、そうはそれは楽しいバレンタイン休暇を過ごしたと嬉しそうに話していました。

フランスと日本のバレンタイの違いは、フランスは【男性が女性へプレゼントを贈ったり、レストランへ招待する】【片想いの人が告白する日ではなくてカップルの日】【義理チョコやホワイトデーは存在しない】【プレゼントはチョコレートに限らず、お花、アクセサリー、ランジェリーなど何でもOK】で、要するに愛の囁きを聞きプレゼントを貰って彼に感謝すればよいという日本人女性からすると非常に楽ちんなイベントです(^m^) Jと彼女のバレンタイン休暇も何から何までJがオーガナイズした筈で、彼女はお姫さまみたいな1週間を過ごしたに違いありません。素敵だわ〜。私もそんなバレンタインを過ごしてみたい♡

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私がバレンタイン当日にパートナーから渡されたのは花のブーケとステーキ肉の包みでした。「バレンタインはKobe-Gyuだよ」「えーーーー!!」数日前から近所のお肉屋さんに売っている神戸牛を食べたいか何度も訊くので「いらない。神戸牛なら日本へ帰ったときに食べに行った方がいいもん」ときっぱり断ったのに「日本で松阪牛と但馬牛と近江牛を食べたけど、神戸牛はまだ食べてない・・・」と不満げだった彼。日本でも高価な神戸牛は、フランスだとさらに倍の値段する。「その全部のブランドが神戸牛も含めて但馬牛が素牛なんだから、但馬牛を食べれば神戸牛を食べたも同然。それに日本から冷凍輸入されるお肉は味が落ちてるかもしれない」と諭してしぶしぶ諦めてもらったという経緯があったのです。 

ならばバレンタインのプレゼントを口実にしようと思いついたらしい。その気持ちは分からないでもないけれど問題はお肉の質。確かにKobe-Gyuとは記載されているけれど霜降り肉というよりも半分は脂身。明らかに食べる部分は少ない。日本で見る神戸牛とは違う見た目なんですけれど・・・。

でももう買ってしまったのだし食べたけれども予感的中。まず小さい。脂を除いたら半分の大きさに。味は脂が多めのステーキという感じで普通に美味しいけれどもそれ以上の感動はなく、さらに値段を聞いて大ショック。「半分しか食べる部分がないのにその値段払ったの?!だったらアクセサリーを買ってよ!」と、喧嘩になり険悪なムードでのバレンタインディナーになってしまいました。

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実はプレゼントはもうひとつあり、肉の包みと一緒に「来週届くけれど、これもバレンタインのプレゼントだよ」と見せられた写真がこれ↓ 一応差別化したらしく、測りに乗っている大きくてきれいなトリュフが私用で、後ろが友人達から頼まれたトリュフらしい。大袈裟にバレンタインのプレゼントと称しなくても堂々と買えばいいのに(笑)

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こうしてバレンタインの1週間後にプロヴァンス地方のカーペントラから届いた私のトリュフちゃん。

IMG_2814.jpg香りを吸収させるために卵と一緒に保管して待つこと1週間・・。

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ようやくバレンタインから2週間後に2回目のバレンタインディナーを作ってもらいました。

削ったトリュフを溶いた卵に加え混ぜて、低温で加熱していきます。湯煎にかけて作る方法もあるそうですが、我が家では加熱したり火から外したりして温度が上がらないようにして作っています。泡立て器で混ぜ続けてトロっとしたら火から下ろします。スクランブルエッグよりももっと液体に近いトロトロ具合に仕上げます。

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上からトリュフを削って出来上がり。Myトリュフなので思う存分掛けられるのが嬉しい)^o^(

卵とトリュフの相性最高!スプーンですくって、軽くトーストしたバゲットと一緒に食べるとものすごく美味しい。

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もう一品は帆立とトリュフのパイ包み焼き。シンプルだけど帆立から出る汁とトリュフが美味しいソースになります。食べる前にこの上からもトリュフをスライスしてかけました。

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今年はカーペントラのトリュフが豊作だそうで、香り高く幸せな気持ちになりました。Kobe-Gyuへの不満も挽回。

うーん。それでもやっぱり、来年のバレンタインはホテル・バリエール・ル・ノルマンディのほうがいい!

chichi

立神詩帆 / Shiho Tatsugami
2002年渡仏。エコール・フランソワーズモリスで学び、エステティック・コスメティックCAP国家資格を取得。2011年からパリ7区でエステサロンCHICHI(シシィ)を自営。All About のフランス流美容ガイドとして、パリジェンヌから学ぶ美容情報やライフスタイルに関するコラムを掲載中。
好きなものは、フランスの食文化、1日の終わりのアペリティフ、アルゼンチンタンゴ、旅。

www.chichiparis.com
https://allabout.co.jp/gm/gp/1693/
Instagram: @chichi_paris7

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