ヴェルサイユ宮殿のカクテルパーティー

フランスはちょうど１年前の３月１7日に１回目のロックダウンが始まりましたが、TVのインタビューを見ているとフランス人にとっては大きなストレスを感じる１年間だったようです。ここ最近はこっそり夜にパーティーや食事会をしたというような話がちらほらと耳に入ってくるようになってきたり、天気が良い週末に日光浴やピクニックを楽しむ人々で混雑している公園やセーヌ川の河川敷を見ていて、皆んなの忍耐も限界に近づいていると感じます。

ロックダウンになる前は何をしていたかなぁと写真を整理していたら、なんとヴェルサイユ宮殿のレセプションに行っていました！もっと遠い昔のことのような気がしていたけれども、つい１年ほど前のことだったとびっくり。歳をとると日が経つのが早い理由として、新鮮味がないマンネリ化した生活をすると時間が経つのを早く感じるからというけれども、一見コロナで外出もままならない地味な生活を送っているように見えて、その実コロナ以前と以後で生活がガラリと変化して時間が経つのが遅く感じるようになったのかも？！それはともかく、たった１年でヴェルサイユ宮殿でのレセプションに行った生活から今の散歩と仕事だけの単調な生活との差はあまりにも大きい(^_^;)

その夜は一般見学者が去った後のヴェルサイユ宮殿で、マリー・アントワネットも使用していた王妃の寝室や貴人の間がある「アパルトマン・ド・ラ・レーヌ」、王の寝室や閣議の間がある「アパルトマン・ド・ロワ」、その他にも普段公開していない部屋を２０名ずつグループになって見学することになっていたのですが、このレセプションを主催した知人が気を効かせてくれて、皆の到着より早くまだ誰もいない鏡の回廊に入れてくれました。鏡の回廊を独り占めっておそらく人生で最初で最期の貴重な機会！「ベルばら」全盛期の世代だったので感激もひとしお。シーンと静まり返った「鏡の回廊」は豪華絢爛で厳かで、窓から見える夕日に美しく染まった庭園を眺めていると、太陽王と呼ばれたルイ１４世の時代にタイムスリップしたような気持ちになりました。

カクテルパーティーの会場は「戦闘の回廊」と聞いて思い出したのが、同じく「戦闘の回廊」で社費で誕生日会をしたと非難を浴びたカルロス・ゴーン氏。招待客は皆んな「鏡の回廊」を通って「戦闘の回廊」に入るので、ゴーン氏もルイ１４世になったような気分で自分の誕生日を口々に祝う人達を眺めてたのかなぁ。宮殿を貸し切ったりできるなんてすごいと誕生日会の様子をTVのニュースで物珍しく見たのに、今度は自分が同じ場所でパーティーに参加するなんて人生は思いがけないことが起こるもの。でもこういったイベントに使用することは珍しいことではなく、ゴーン氏は会社のお金を私的に流用した疑いで問題になったけれども、ヴェルサイユ宮殿も彼が結婚式をしたトリアノン宮殿も貸し出しOKなんだそうです。

平日で仕事帰りの人達が多くスーツやワンピースでラフな雰囲気でした。そして美味しそうな料理やシャンパンもたくさん用意されていて、お腹が空いていたので皆んな群がってました（笑）

最近は片手でこうやってお皿とグラスを持つことに慣れてきました。日本だと立食パーティーでも結構お皿とグラスを片手ずつ持って両手がふさがっている人が多いし、そうしていても咎められることもないけれど、それは駄目だとフランスに来てから教わりました。お皿とグラスを片手で持って、飲食して、同時にもう片方の手で握手したりジェスチャーを交えて会話をするのが正しいそうです。案外難しくて、器用でないと無理・・・。

こういう場で知人や初対面の人達との会話を楽しむ社交性を身につけていることもフランスでは大切なことで、フランス語力と会話の引き出しが少ないと確実に置いてきぼりを食います(>_<) だからいつまで経っても慣れなくて心配でドキドキするけれど、幸い日本で和紙を作っているというフランス人女性とそのご主人が話しかけてきてくれて楽しく過ごすことができました。

さて、話を今日に戻すとパリを中心としたイル・ドフランスは相変わらず感染者が減らないために数日以内に新たな決定を下すと発表があり、もしかしたら３度目のロックダウンをするのではと囁かれています。経済を回したい政府がロックダウンを実施するとは思えない一方でどんな内容の発表があるのか気になるところです。