CHICHI PARIS ~パリに住むエステティシャンのblog~

3度目の隔離と日本に入国したらどうなるの?

先週18日夜にカステック首相から発表された3度目のコンフィヌモン(ロックダウン)。対象地域はパリがあるイル・ド・フランスを含む16県で19日金曜日の午前零時から4週間実地。前回のロックダウンと違うのは、19時(夏時間に合わせて夜間外出禁止は18時から19時からへ変更)までなら住居から10km以内は時間制限なく出かけてもいい。開けていい商店は生活必需品を扱う店のみで、但し前回閉まっていた本屋とレコード屋は文化的生活に必要と見なして開けていい。

エステは前回と同様に閉店対象だろうと思って直ぐにお客さまに連絡して、金曜日に来れる方は来てくださいと予約を変更していただきました。最も素早かったのはフランス人のマダムLとマダムF。カステック首相の発表が終わらないうちに「昼に会議があるけど明日の朝10時より前なら行けるわよ」「仕事を始める前の朝8時か8時半なら大丈夫」と連絡が入りました。同僚の美容師さんも朝7時半から始めるという。翌朝店に行ってから開けていい店・閉める店のリストを確認したら、新たにショコラティエ・花屋・ヘアサロンに加えてエステ・マッサージ・ネイルも開けていい店リストに載っていた。なーんだ、大丈夫じゃないのとホッとして、再びお客さまに閉めませんよと連絡をしました。

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そしてその夜19時。ショコラティエ・花屋・ヘアサロンはそのまま開けていい店のリストにあるのに、エステ・マッサージ・ネイルが消えていた(泣)ショコラティエはもう直ぐ復活祭で既に卵形やウサギ型のチョコレートを製造してしまっているし、フランス人にとってチョコレートなしの復活祭はあり得ないという理由らしい。ヘアサロンは既に衛生管理がしっかりされていて開けても問題ないと判断されたとのこと。1年前のコンフィヌモンのときは皆んな髪がボサボサに伸びて根元の白髪が目立っていたものね。花屋は前回のコンフィヌモンで大量に余った花を捨てたことで業界から猛烈な抗議があったため。

柔軟性があるのは良いことだけど、ちゃんと決めてから発表してくれないと困るよ〜。政府関係者の話では発表の直前まで週末だけのコンフィヌモンにするのか完全なコンフィヌモンにするのか決断が下されなかったというから、詳細までは詰める時間がなかったのかもしれないけれども、リストに載ったり消えたりしたグレーゾーンの商店や事業主は対応に右往左往したはず。言い換えれば、今後も変更がある可能性があるわけで、ニュースでは美容業界からの「髪がよいならエステやマッサージも認められるはず!」の抗議に会議をやり直す可能性があるとかないとか。

ところで、新たな外出許可証も2枚携帯しなくてはならないのはややこしいと不評で、あっという間に取り消されて19時までの外出は住居証明のみの携帯になりました。マルセイユでの6千人超が参加した路上パーティーがありましたが、セーヌ川沿いや公園で大勢で音楽をかけて踊ったりピクニックをする人達や食事会をする人達を厳しく取り締まる方が、衛生管理を徹底している店を閉めるよりもずっと効果的で経済を回せると思うのだけど一体どうなってるんでしょうね?

***

現在やむおえない理由がありフランスから日本へ入国する場合は、出発前72時間以内に実地したPCR検査の陰性証明書の提示・空港に到着時にPCR検査・入国後3日間は指定の宿泊所で待機・3日後に改めて検査をして陰性と判断された場合は公共交通機関の利用を避けて移動して、14日間の残りの期間を自宅やホテルなどで待機することが義務付けられています。

仕事の都合で一時帰国している友人によると、フランスからの飛行機は乗客が10人くらいしかいなかったのに、成田に到着したら大勢の家族連れがいて驚いたそうです。4月の新学期が始まる時期に合わせて駐在員のご家族が本帰国されているんでしょう。世界各地からのフライトの到着を待って検査して結果が出るまで指定された場所で待機して、結果が出てバスでホテルに着いたのが到着から7時間後。待ち時間が長くトイレに行く以外は指定場所から動いてはいけないので売店には行けないし、途中おにぎり1個が支給されたけれどお腹が空いたので、あらかじめ飛行機に乗る前に食べ物を買っておいて良かったと言っていました。

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3日間のホテルでの待機生活の間に彼女から送れてきたお弁当の写真です。ホテルの部屋から一歩も出られず、アルコールと喫煙は禁止。朝・昼・晩とお弁当とお水の入った袋をドアノブにかけてくれるので《お食事の準備ができました》と館内放送が流れたらドアを開けて取って、食べ終わったらまたドアノブに掛けておくと回収してくれます。

1枚目の写真は朝食。朝はフルーツ付き。昼食は中華でデザートは杏仁豆腐。夕食はお肉の炒め物に焼きうどん。毎食内容が変わり男性でも満足できそうなボリュームで、味付けも美味しく飽きないように工夫されているそうです。ただし温められないので冷たいままです。それでも空港やホテル、そしてお弁当を作っている業者さんなど沢山の人が、帰国者のために働いていて費用は日本政府が負担してくれているので本当にありがたいと感謝して、毎回空のお弁当箱を返すときはサッと洗って感謝の言葉を書いたメモを入れていました。部屋に電気ポットとインスタントコーヒー・紅茶と緑茶のティーバックが備えてあったそうなので、今後入国する人はインスタント味噌汁やスープ、お菓子などを持参するといいかもしれません。

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友人は3日間が過ぎた朝に、唾液検査をして無事に次の待機場所のキッチン付きホテルへ移動しました。ずっと冷たい米食だったので真っ先に温かいパンケーキを食べて美味しかったと喜んでいました。でもその後地震が起こったときに、咄嗟にドアだけ開けてお風呂場で揺れが収まるのを待っている間がすごく恐かったそうで、3日間の指定の宿泊先ホテルに待機中だった人達も部屋から一歩も出てはいけない状態では強い恐怖を感じたと思います。

入国と入国後の行動に厳しい措置をとってウイルスを国内に持ち込まないようにしている日本の様子を知ると、隔離措置をとっても行動に気をつける人とそうでない人の落差が激しいフランスで、収束が実現する日が本当に来るのかなという不安が大きくなるけれど、平常心を保って3度目のコンフィヌモンを過ごしたいと思います。

chichi

立神詩帆 / Shiho Tatsugami
2002年渡仏。エコール・フランソワーズモリスで学び、エステティック・コスメティックCAP国家資格を取得。2011年からパリ7区でエステサロンCHICHI(シシィ)を自営。All About のフランス流美容ガイドとして、パリジェンヌから学ぶ美容情報やライフスタイルに関するコラムを掲載中。
好きなものは、フランスの食文化、1日の終わりのアペリティフ、アルゼンチンタンゴ、旅。

www.chichiparis.com
https://allabout.co.jp/gm/gp/1693/
Instagram: @chichi_paris7

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