CHICHI PARIS ~パリに住むエステティシャンのblog~

3回目のロックダウンでも顕著なフランス人らしさ

3月31日の夜8時、マクロン大統領がテレビ演説を行い、パリを含む16県に適応していたコンフィヌモン(ロックダウン)を、4月3日から少なくとも4週間フランス本土の全ての県に拡大すると発表しました。大統領が最後まで避けたかった学校閉鎖も3週間実施することになり、復活祭のバカンス期間は4月12日から2週間と全国で統一することになりました。学校のバカンス期間は、場所でゾーンA ・B・Cと分けられていて1週間ずつずらして設けられているので、つまり本来19日からバカンスの予定だったゾーンCのパリのバカンスは1週間前倒しになります。生活必要品を扱う店は続けて開店ということは、17日から再開できるはずだった私の仕事(エステ)もそれまでは休業ということになりそうで、テレビを見ながら思わずため息が出ました。

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ワクチン接種数は増えているけれど、毎日新たな感染者数が4万人前後を行ったり来たりで全く減らず、この31日にはなんと59,038人まで増加。医療機関はパンク寸前。止む終えない決断ですが、感染防止に効果あるのかは甚だ疑問です。7〜19時の間は時間制限なしで自宅から10Kmの範囲で外出OK、今週末の復活祭のための長期移動はOK、会食は極力避けるべきだが6人までの少人数はOK、そして何より不思議なことに警察のコントロールに出くわしたことがない。昨年3月の1回目のロックダウンのときは厳しくて、わずか1時間の外出中に3回もコントロールを受けたこともあり違反者への罰金も容赦無かったけれど、2回目のロックダウンでは数回コントロールをしているのを見かけただけで、その以降は見かけることすらなくなりました。

言葉は悪いけれども、だから皆んな確信犯でばんばん違反。フランス人の友人達は天気が良い日は自宅から遠いパリ近辺のゴルフ場に出掛け(ゴルフ場は営業可)、自宅で6人以上の会食もしているようです。あるときは夜8時半からのディナーに招待されました。夜7時以降は外出禁止なので、もちろんお断りしましたけど。
ちなみに彼らは常識ある至極真っ当な人ですが、彼らのような人こそフランス人らしいと言えるのかもしれません。
 

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毎日通るアンヴァリッド広場です。上の写真が昨日の夕方5時半で、下の写真が6時50分の外出禁止時刻の10分前。全く変化なし!このすぐ前にあるセーヌ川の河川敷にはさらにこの何倍もの人が寛いでいました。ちなみにアンヴァリッドは軍事博物館で、すぐ横には国民議会や外務省の建物があり常に大勢の警察がいてパトロールカーも停まっているけれど、コントロールしているのを見たことがありません。

誘われても断るし、家に誰も招待しなくなった私のほうがむしろ変人だと思われているらしい。以前はしょっちゅう一緒に食事をしていた友人と道でばったり会ったときのこと。「サヴァ?(元気にしてる?)すごい久しぶりね」「ああ、とっても元気だよ。熱があってドリプラン(フランスのポピュラーな解熱鎮痛剤)を飲んでいるけどピンピンしてるよ」と嫌味を言われました。

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フランス人に感染防止意識が低い人が多いのは、少々違反して感染しても感染経緯を非難されたり、感染したことを白い目で見られることもないのに加えて、他人へ感染させたら大変だという気持ちがすっぽりと抜けているからだと思います。回復した人と話していても、「〜からうつされたとか、もし他の人へうつしていたら大変だ」という恨みや自責の念は聞いたことがありません。

フランス生活が長いからかもしれませんが、日本のニュースなどで感染した芸能人が回復後に「ご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした」と謝ったり、感染者を責めるようなコメントを目にするとものすごい違和感を感じます。常識的な範囲で気を付けて生活していて感染してしまったなら、医療従事者に感謝するのは当然としても、謝る必要や非難される所以はないと思います。他方では、皆んなが規則を守ったり他人に感染させないように注意を払う日本人らしい連隊意識は素晴らしいと感じます。

日本人が利他主義・全体主義ならフランス人は利己主義・個人主義。国民性の違いが人々の態度に顕著に表れている。せめて日本とフランスをミックスした意識を持つことができれば、フランスの感染者数が減るのでしょうけれど期待はできないだろうなぁ(^_^;)

***

3週間ぶりに友人夫婦がパリに戻ってきました。田舎の家で、お兄さん家族、お姉さん家族、両親の10人で食事をしたら、3日後にお姉さんが発熱。検査したら陽性でその後すぐにご両親の具合も悪くなりました。全員の検査の結果、お姉さんと両親、無症状の中学生の息子の4人が陽性で、87歳で持病があるお母さんは呼吸困難で即入院。パリに戻ってきていた友人らも濃厚接触者ということですぐに田舎へ引き返して、無症状だけど陽性の息子と発熱したお姉さんは別の家に隔離され、友人夫婦は父親の看病をしていたのです。

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その友人夫婦がお土産に持ってきてくれた畑で収穫した野菜。「立派なポワロー葱!美味しそう!」「だろ?89歳の親父がコロナが回復した後に、初めて畑に出て収穫した野菜なんだよ」「ものすごい貴重な重みがあるわぁ・・」幸い入院中のお母さんも容態が安定して回復に向かっていること、田舎はワクチン摂取が遅れていてご両親がまだワクチン摂取を済ませていなかったこと、人との接触が少ない田舎でまさか感染するとは思わなかったこと、最後はフランス人の好きな一言「Il faut vivre!(直訳は生きるべきだですが、この場合は人生を謳歌するべきだのニュアンス)」。ケロッと悪びれもせずに話しているけれど、日本だったら100回は頭を下げて謝罪させられているぞ!

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それからこれもと渡された袋の中身は、ノワール・ド・ムティエ島のじゃがいもとロワール地方のホワイトアスパラガス。春の風物詩のホワイトアスパラガスとノワール・ド・ムティエ島の小粒の美味しいじゃがいもは、パリで買うと高価なのです。生産者から直接買ったので、ついでにうちの分も買ってくれたと言う。「わーい、嬉しい」「あのさ、息子の学校も閉鎖になるし、明日から別荘へ行くからすぐに清算してもらえる?」「はぁ?」見ると袋の中にじゃがいもとアスパラガスのレシートが入ってました。

まったく、これだからフランス人は!嘘でもいいからシュンとして悪びれた様子を見せなさいよー、軽率なことをして大変迷惑をかけたと医療従事者や職場の人に謝んなさいよー、あなた達のような人がいるから感染者が減らず私が休業させられているんですけどー、と心の中で叫びました。言っても無駄だけど・・・反省しなさいよ!

chichi

立神詩帆 / Shiho Tatsugami
2002年渡仏。エコール・フランソワーズモリスで学び、エステティック・コスメティックCAP国家資格を取得。2011年からパリ7区でエステサロンCHICHI(シシィ)を自営。All About のフランス流美容ガイドとして、パリジェンヌから学ぶ美容情報やライフスタイルに関するコラムを掲載中。
好きなものは、フランスの食文化、1日の終わりのアペリティフ、アルゼンチンタンゴ、旅。

www.chichiparis.com
https://allabout.co.jp/gm/gp/1693/
Instagram: @chichi_paris7

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