
フランス人が春の訪れを感じる復活祭
十字架に架けられたイエス・キリストが3日目に復活したことを祝う復活祭。フランス人にとってクリスマスと同じくらい大切な行事で、お祝いの昼食にはアニョー・パスカルと言って復活のシンボルである羊の料理、卵やウサギの形をしたチョコレート、羊を模ったケーキなどが食卓に並びます。日本人が桜の開花で春を感じるように、フランス人はショコラティエに卵型のチョコレートが並び始めたら春の訪れを感じるのです)^o^(
7区の一角にあるひときわ目立つ、センスが光る花屋さんのショーウインドーは、本物のダチョウの卵で復活祭を祝福。
コロナウイルスの規制措置で閉まっている店もショールインドーはすっかり復活祭ムードで、目を楽しませてくれます。
食器屋さんは復活祭の食事を演出。ネジがついたカトラリーは、今ではほとんど使うことがなくなったクラシックな道具で、焼いた羊の骨を固定する道具です。羊の骨つきモモ肉を焼いて食卓に出すときに、チューリップのような先端に骨を差し込んでネジを締めて固定して肉を切り分けます。
春野菜のえんどう豆とラディッシュ。そしてチューリップやヒヤシンスの春の花。陶器の野菜や花が可愛い♡
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復活祭の前日は料理の仕込みです。朝マルシェに行き、肉屋さんに注文していたお肉を取りに行きました。お祝いごとなので近所のいつものお肉屋さんではなく8区の肉屋さん「 Nivernaises 」へ。昨年美味しかったのでプレ・サレの子羊(モン・サン・ミッシェル周辺の海水を含んだ草を食べて育った子羊)のつもりだったけれど、店の人に勧められて今年はアニョー・ド・レに変更しました。フランス語でアニョーは子羊で、生後12ヶ月未満の羊を指します。そしてアニョー・ド・レは生後45日未満のお母さんのお乳しか飲んでいない赤ちゃんで、クセがなくてとても柔らかいのです。
アニョー・ド・レのモモ肉をニンニク、タイム、オリーブオイルで一晩マリネします。
別に、子羊の首の肉でフォン(出汁)を取ります。フォンはジャガイモを煮るのに使います。
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ところで、マルシェで驚いた出来事が。春野菜が積み上げられていて、復活祭のための買い物をする人々で賑わっていました。
当然ながら肉の出店には羊肉がたくさん並んでいて、見た瞬間に思わず目が点になりました。
「これがアニョー・ド・レ?!」と顔がひきつる私に、隣で見ていたムッシューが「アニョーだよ。よく見て。成長して脚が長いでしょ」と教えてくれました。
たしかに隣の袋に入っている小ぶりなアニョー・ド・レのモモ肉と比べると大きさが違う。かわいそうだからアニョーだけは絶対に食べないというフランス人の知人が何人かいるけれど、愛らしい子羊の写真を見たり、こんな姿を見たら気持ちが分からなくもない・・・。
そして、そのムッシューはこのアニョーを注文。後で取りに来ると言って去って行ったけど、庭で丸焼きにするのかな?ジビエが盛んな国だし、肉屋だから売っていても不思議はないけれど、住宅街にあるマルシェで普通の人が買って行くということが衝撃でした。フランス人の食べ物への情熱はすごい。
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