春が来た!復活祭のご馳走とお菓子
You Tubeに投稿された動画が物議を醸している、パリ9区のサン・ウジェーヌ・サント・セシル協会。復活祭の前夜の土曜日から日曜日へと日付が変わる時刻に行われる、一年で最も長いミサ「ヴィジル・パスカル ( 復活徹夜祭 )」を、司祭や信者など約280人が、マスクなし、ソーシャルディスタンスなしの3密状態で、しかも外出禁止の19時以降に4時間にわたって行っている様子が映っていたのです。
ロックダウンのなか、マクロン大統領は例外的に復活祭の週末の長距離移動を許可しました。復活祭の日曜日はフランス人にとっては家族で集まって昼食を摂る大事な日で、翌日の月曜日はランディ・ドゥ・パックと言う祝日で連休になるからです。春のバカンスに行けない国民の不満とうまく折り合いを付けながら、復活祭の移動や会食には目をつぶるという、感染を抑えたい大統領の苦肉の策でしょう。
我が家から一番近い教会は、土曜日の夜の代わりに日曜日の早朝6時半からヴィジル・パスカルをするという。ノエルと復活祭のミサには必ず参加するパートナーと今年こそは一緒に行くつもりでいたのに、朝6時に起こされてウトウトと二度寝をしてしまいその間にミサは終わってしまいました・・。
ミサは行けなかったけれど、もちろん復活祭の昼食は食べました。といっても昨年と同様に、家族や友人に「Joyeuse Paques(よい復活祭を!)」のメッセージを送ったり電話をして、子羊料理を食べて自宅でゆっくり過ごしました。
前菜はホワイトアスパラガスのオランデーズソース。卵黄とレモンとバターを乳化して作るフランス生まれのソースなのに、なぜか名前はオランデーズソースと呼ぶ、卵黄の黄色が春らしいホワイトアスパラガスのソースです。
アスパラガスが真横になるようにお皿を乗せたら「アスパラガスの向きが間違っている」と、彼が皿を45度回転させました。アスパラガスは先端は左下の向き、つまりそこに座る人の心臓の向きに置くのが伝統的なフランス式なんだそう。今ではレストランでも家庭でも皆んな好きな方向にアスパラガスを置いてるけど、復活祭はきちんとした方がいいというのが彼の意見。ふーん、初耳。勉強になります。
オーブンで焼いたアニョー・ド・レのモモ肉がメイン。生後45日未満の母乳でのみ育った赤ちゃんのモモ肉なので、子羊より一回り小ぶりです。コリエ・ダニョーと呼ばれる子羊の首のお肉と一緒に、出てくる肉汁を掛けながらロゼに焼き上げます。
普段は滅多に食べないアニョー・ド・レですが、ジューシーで柔らかくてとても美味しい。
付け合わせは、前日に子羊の首でとったスープで煮たじゃがいもと、ホワイトアスパラガスを茹でたときの茹で汁で煮たえんどう豆。ホワイトアスパラガスを茹でるときは剥いた皮も一緒に茹でて、その茹で汁も美味しいのでフランスでは他の料理に活用します。
デザートは昔習ったレシピを見て作ったババロワケーキと、マルシェで買った初物のカーペントラ(プロヴァンス地方の苺の生産で有名な村)の苺でした。
そして、最大の楽しみの卵のチョコレート!大きな卵型のチョコレートの中には、小さな卵と海老の形のチョコレートが。魚介類の形のチョコレートも、キリスト教のシンボルとして復活祭の定番です。昔まだフランス人ショコラティエの店が日本になかった頃に、フランス人の友人がプチプチでぐるぐる巻きにした大きな卵型のチョコレートを紙袋に入れて、日本へ送ってくれたことがありました。無事割れずに届いたチョコレートの中から、沢山の小さなチョコレートが出てきて感激しましたが、チョコレートに目がないフランス人は大人も子供もこの卵型のチョコレートが大好きです♡
ところで、カトリック教徒は復活祭の前に40日間断食をする習慣があり、復活祭はその断食期間が終わる解禁日です。それまで我慢していた物を思いっきり食べる日だから、食いしん坊のフランス人は復活祭のご馳走には並々ならぬ気合が入っているんですね〜(^m^)
断食といっても、普段より粗食にするとか、肉類を食べないとか、プチ断食するとか人によって様々だし、もちろんやらない人もいます。パートナーは金・土曜日の最後の2日間だけを大好物のワインと肉を絶ってサラダなど軽めの食事を摂っていましたが、普通に食べてワインも飲んでいる私が目の前にいるし、お腹が減った状態でマルシェに行ったり料理をするのは結構辛かったらしい。料理をしているときから殺気立っていて(笑)、それはそれは見事な食べっぷり飲みっぷりでした。
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