CHICHI PARIS ~パリに住むエステティシャンのblog~

プロヴァンスの小さな村の結婚式

先月、友人夫婦の結婚式に出席するために南仏のリュベロン地方に行って来ました。新郎新婦はパリジャンで、出席者の殆どがパリ或いは海外から来るということで、ワインテイスティングやゴルフやパーティーなど連日盛り沢山のプログラムが組まれた4日間も続く大きな結婚式でした。

残念ながら仕事の都合で、私達は土曜日の夕方からの挙式とパーティーのみ出席して翌朝にはパリに戻らなくてはならなかったのですが、やっぱりプロヴァンスに来るとたった1日でもバカンス気分が盛り上がります。

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宿泊したのは挙式が行われるホテルではなく、隣村のルールマラン村のオリーブオイルとワインを作っているファミリー経営のホテル。ホテルのマダムに案内されて広い敷地に入ると、オリーブ畑を見渡す絶景のプールがある。パートナーがホテルを予約したのでプールがあることを知らなかったのだ。「水着を持って来るべきだった〜。なんでプールがあるって教えてくれなかったの!?」とうらめしそうに見ていたら、「サイズが違うかもしれないけれど、私のでよかったら貸してあげますよ。今年買ったばかりだし、洗濯して乾燥機で乾かしてあるからきれいだから遠慮しないでね」とマダムが親切に言ってくれました。どうしてもプールに入りたかったのでありがたくお借りすることにして( 後から友人に人の水着を着るなんて信じられないと言われたけど )部屋に荷物を運んで一休みするという彼を残して、ホテルに着いた早々にプールへ飛び込みました。

「最高!気持ちいいー!!!」

一休眠りして私を探しに来た彼がまだ私がプールで遊んでいるのを見てびっくりしてましたが、ホテルのマダムが気を利かせて昼食もプールサイドに運んで来てくれて、美容院の予約時間ギリギリまで水に浸かっていました。

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***

夕方5時に隣のロリ村のシャトーホテルの庭で挙式が始まりました。教会式の予定だったのに、ホテルの庭でのベネディクション(祝祷)へと直前に変更になったのです。神父さま立会いのもと教会以外の場所で結婚式をするのでベネディクションと呼ぶそうです。

新郎新婦は再婚同士で、それぞれが成人した子供達を持つ大人のカップル。水色のドレスを着て息子と腕を組んで新郎の元へと歩いて来る新婦は顔をくしゃくしゃにして既に号泣しており、息子から新郎へ託された後は、ずっと手を握って見つめ合って幸せが溢れ出ていました。

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それぞれの子供達が詩を朗読したり、小さな甥っ子や姪っ子が歌を唄い、温かな雰囲気の中で式は進み、市民婚(区役所の式)で証人を務めた新郎の親友のスピーチの中で、なぜ急遽教会からベネディクションになったかの説明がありました。新郎新婦は結婚式がコロナで一年延期になって以来ずっとサンパ(感じが良く楽しい)な神父を探していたけれども、残念ながらこの村近辺の教会ではサンパな神父には出会えなかったそうです。その友人はその話を聞いたときに、自分が幼い頃から通っているボルドーの教会の神父さまの他を於いてフランスにこれ以上サンパな神父はいないと閃き、無理を言ってなんとかボルドーから今日のために来てもらえる手配が整ったのがほんの数日前。そういうわけで、村の教会式を取りやめて庭でのベネディクションに変更になったんだそう。

新郎新婦は共にお祭り騒ぎが大好きな性格なので、神父さまも自分達みたいな人がよかったのかしら。何はともあれ、アフリカ出身の神父さまはとてもユーモラスでアフリカンジョークを飛ばし、話も面白く、最後はゴスペルを歌って新郎新婦は退場しました。

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その後、すぐに全員で記念撮影。ところが、新郎の母親がいない。彼女はベネディクションが終わると、とっとと着替えに部屋に戻ってしまったのです。皆んなで並んで今か今かと新郎の母親の着替え待ちすること数十分。さっきの白いスーツ(フランスの結婚式ではしばしば親族が白い服を着ている)から艶やかなブルーのイブニングにダイヤモンドジュエリーをつけて悠々と登場。列の真ん中に収まったところで、はいチーズ!まるで彼女が主役のようでした(笑)

そしてディナーまではカクテルタイム。ここで半分位の女性はホテルの部屋に戻って着替えていました。私も念のためパールグレーのロングドレスを持参していたけれど、庭での食事と聞いてそのままの赤いドレスで通すことにしました。ホテルのシャトーが作っているワインやシャンパン、魚介類のバーベキューや様々なプチフールが用意されていて、他の招待客と歓談。夕食後のダンスタイムが待ち切れずに、着替えに戻らなかった女性達は早速踊り出していました。フランスの結婚式は、食べる・飲む・喋る・踊るに尽きる。厳かな雰囲気とは真逆にあり、まさに体力勝負です(^m^)

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ディナーが始まってしばらくすると、ひとりで踊りながら花嫁登場!白いパンツにふわっとした白いコートドレス、ぎゅっと絞ったピンクのサッシュが背の高い彼女によく似合っていてすごく素敵!

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新郎とファーストダンス踊るかと思いきや、息子とダンス♪♪♪ 踊りまくる母と子。

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ディナーは日本人ということを配慮してくれたらしく(?)私はNYから来た外国人達のテーブルでした。フランス語よりもさらに苦手な英語のテーブル、しかも全員初対面。このテーブルで4〜5時間過ごすなんてかなりキツイ・・。すると、隣の席のロングドレスを着たアメリカ人の女性が、私と同レベル程度の拙いフランス語で話しかけてくれた。「あなたフランス語話すの?」「ええ、子供のとき仲良しの子がフランス人で、バケーションはフランスで過ごしていたのよ。マンハッタンに住んでいるけれど、パリにアパルトマンを持っていて行ったり来たりしているの」おお、渡りに船!しかも家もご近所さん。彼女はデザイナーで、有名歌手のコンサートの衣装を担当したこともあり日本ツアーの際には一緒に日本にも行ったらしい。同じテーブルにいた人達も「彼女はとっても有名なデザイナーだよ」と言うので、「ではそのドレスはあなたのデザインなのね」と褒めたら「これはH&Mで買った」「ふーん、お似合いね・・・」いや、でも体にぴったりと沿った美しいドレスはハイブランドにしか見えなかったので、やはりセンスある人はお目が高い。正直で見栄を張らない所がアメリカ人らしさ?

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ケーキカットは午前零時を過ぎてから。パリの区役所式のパーティーではピエスモンテ(シュークリームを積み上げた、フランスの伝統的なウェディングケーキ)だったので、今回は三段に重なったウェディングケーキでした。

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新婦がテーブルに登って「モ・ナムルゥー(私の愛する人)、登ってきてー♡」

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ビスーXXX

ジュ・テーム♡♡♡♡♡

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ダンス♪♪♪

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「さー、これから朝まで踊り明かそう!皆んなディスコに移動して!」と叫ぶ新郎新婦。

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朝5時起きのうえに、昼間のプールが効いて疲れが押し寄せてきた。パートナーも前日の朝1時に出張から戻って来てばかりだったので、瞼が閉じかかっている。それでもふたりで頑張って踊ったけれども1時半にはパワーダウン。新郎新婦の両親に次いで、早々にホテルに戻って泥のように眠りました。

新郎新婦自身がそう若くないので、彼らの子供達を除いては当然ながら招待客は私達を含めて40代後半〜初老の人達ばかりでした。それでも朝まで踊り続けたり、恋愛したり再婚したり、子供達の前でも堂々とイチャイチャする、歳をとっても枯れないフランス人って色んな意味ですごい。何歳でも幸せを掴めるって夢がある *\(^o^)/*

chichi

立神詩帆 / Shiho Tatsugami
2002年渡仏。エコール・フランソワーズモリスで学び、エステティック・コスメティックCAP国家資格を取得。2011年からパリ7区でエステサロンCHICHI(シシィ)を自営。All About のフランス流美容ガイドとして、パリジェンヌから学ぶ美容情報やライフスタイルに関するコラムを掲載中。
好きなものは、フランスの食文化、1日の終わりのアペリティフ、アルゼンチンタンゴ、旅。

www.chichiparis.com
https://allabout.co.jp/gm/gp/1693/
Instagram: @chichi_paris7

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