
オテル ドゥ ラ マリーヌとカフェ ラペルーズで、栄耀なパリを体験。
昨年から一般公開が始まったオテル・ドゥ・ラ・マリーヌ(Hôtel de la Marine )。1978年に海軍省の本部となる前は、200年以上の間王室調度品の保管所として利用されていた歴史建造物です。2015年に海軍省が移転したのち改修工事が行われ、昨年から一般公開されています。
併設されているル・カフェ・ラペルーズ(Le café Lapérouse)に、友人とランチに行ってきました。ラペルーズの装飾に携わったエステのお客さまから、多くのアーティストが集まって作り上げた細部にまでこだわった内装だと聞いていて、前から来たいと思っていたのです。
一歩中に入るとそこは別世界!マリンブルーの壁にワインレッドの家具が配置された、開放感溢れる空間が広がっていました。
制作に大変苦労したというバーの屋根。よーく見ると小さな白い貝殻が一枚一枚屋根全面に貼られています。バーのスツールも背もたれが貝殻!家具もファブリックも、シャンデリアも花のブーケも、壁紙も何もかも美しくて夢みたい。食事をしながら談笑しているお客達までお洒落な人達ばかり(に見える)。
来る前に、総合監督であり空間デザイナーの女性のインタビュー動画を見ました。ベースの海を表すマリンブルーを基調に様々なカラーや捻りを利かせた要素が入り混じっているのに不思議と統一感があり、彼女がコンセプトにしたという「究極のパリジャン」の世界が見事に表現されています。とっても素敵。
メニューとお皿も、島に辿り着いた船をイメージさせるオリジナル柄。「さぞかしオリジナリティあるシーフード料理が並んでいるはず」と、期待に胸膨らませてメニューを広げると、意外にもごく普通のカフェメニューでした。
私が頼んだのは、チキンの胸肉グリルとトリュフ入りポテトのピュレ。友人はクロックムッシュ。
「ええ?」テーブルに置かれたお皿を見て声にならない驚きが。ポーション少なくない…。フランス全土でも特にパリジャンが痩せているのは周知の事実だし、昔に比べて年々パリのレストランは一皿のポーションが減って、口当たりの軽い料理が流行になってきている。それにしたって、クロックムッシュなんて食いしん坊の私にはアペリティフサイズにしか見えず、優雅なランチタイムになるはずだったのに、「〇〇のサロン・ド・テのクロックムッシュも小さいけど、これよりは大きいのではないか」などと、つい意地汚い会話が弾む。
期待が大きかっただけに少し残念でした。お客達の殆どがいかにもこの界隈で働いている風のコンサバ系パリジャンやビジネスマンのようだけど、ああいう人達は少食なのかしら。何と言ってもコンセプトが究極のパリだし。
さて、ランチの後は予め予約していた館内の見学です。45分と1時間半のコースがあり、1時間半のコースを選択。王室の調度品を保管していたというだけあり、豪華な装飾が施された部屋の数々や、修復復元された調度品を見ることができます。
可愛いらしい鏡で囲まれた小部屋がありました。この部屋に限らず、さりげなく置かれているオブジェに女性らしい装飾が施されていたり、美しい花柄の壁紙だったりと、各部屋に違う個性があり目を楽しませてくれます。
とりわけ目を見張るのが、サロンと呼ばれる豪華絢爛な大広間。素晴らしい巨大シャンデリアが吊り下がり、ゴールドをふんだんに使用した装飾にかつての栄華が偲ばれます。
サロンの奥にある回軍司令官の部屋。天井を落下させて敵を一網打尽する忍者屋敷の吊り天井のように、落下したらそこにいる人皆んな死んでしまいそうなほど巨大なシャンデリア。
当時の貴族達の舞踏会を再現した映像が流れていました。サロンで踊り疲れた人々はテラスに出て、コンコルド広場を眺めながら優美に夜風に当たっていたのでしょうか。
ル・カフェ・ペレーズも館内も一見の価値があります。次回来るときは、ランチは中庭を挟んで向かいにあるレストラン「ミモザ」へ行くかもしれないけれど。笑。
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